苦難を乗り越えた日本のジャンプチームが金メダルを獲得
1998年の長野オリンピックで、日本がスキージャンプ団体競技で金メダルを獲
得したときの記事です。まさに長野オリンピックのクライマックスといえる瞬間でし
たが、当日は吹雪で競技が中断するほどの悪天候。取材する側は大変な思いをしたも
のでした。
長野オリンピックで最も金メダルの期待が大きかった日本ジャンプ陣。しかし、そ
れは大きなプレッシャーとの戦いでもあった。4年前のリレハンメル大会で、原田雅
彦がまさかの失速。ほぼ手中にしていた金メダルを逃してしまっていたからだ。
そして、この日も原田は大事なジャンプでミスを犯してしまう。1度目こそ122
メートルを記録した原田は2度目のジャンプで97.5メートルに終わる。4年前の
悪夢がよみがえった。
日本の金メダルの望みはアンカーの船木和喜に託される。トップのドイツとの差は
90.4ポイント。パーフェクトに近いパフォーマンスをしなければ逆転優勝はない
という状況で、しかし、運は日本に味方した。風に乗った船木はその日の最長不倒距
離125メートルを記録し、日本に劇的な逆転勝利をもたらしたのだった。