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「ちょびつき留学英語日記」好評発売中!
未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[大学編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学後、高校を卒業し、コロンビア大学に入学した筆者がトラブル続きの留学生活を振り返る「ちょびつき」留学日記・大学編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 4 : ちょびつき筆者、料理の先生になる!? の巻

私が、大学生になってマンハッタンに暮らすようになった頃、いとこのミコちゃんが、NYの歯医者さんに就職することになりました。日本人の患者さんが大勢やってくるアメリカ人の歯医者さんが、ちょうど、バイリンガルの歯科衛生士さんを探していたからです。
そこで、ミコちゃんと私は、コロンビア大学から6ブロックほど歩いたところにあるビルにあるアパートを借りて、一緒に暮らすことに!

私たちの部屋はピアノが入るほど、なかなか広い、いいお部屋です。キッチンにも大きな冷蔵庫がついていて、ちょっとしたテーブルまで置いて食事ができるほどスペースがあります。

月曜日から金曜日までは、ミコちゃんには仕事がありますので、私が食事を作る当番でした。週末になると、ミコちゃんが代わってくれます。

私たちは、なんといっても、食べることが大好きで、毎週、角の "grocery shop" (マーケット)から山のような食材を買ってきて料理しました。マンハッタンは、比較的物価が高いのですが、それでも、やりくり上手の「リトル主婦たち」の食費は、ひと月ひとりあたり2万円程度です。

夜時間のあるときや、お休みの日は、ふたりでいっしょに料理することもたびたび……。

「タララン、ラン、ラン、ラン、ラン♪ タララン、ラン、ラン、ラン、ラン♪ タララン、ラ、ラ、ラ、ランランラン♪」

という、テレビの『3分クッキング』を真似た、ふたりの口三味線の後に、
「先生、本日のお料理は?」
と、アシスタント役のミコちゃんが聞きます。

「本日は、『フラウンダーの和風マンハッタン・サワー・ソースがけ』でございます。」
と、すっかりなりきった私。気分は、完全にテレビに出ている感じ。

「先生、フラウンダー "flounder" とは、どんなお魚でございましょうか?」
「はい、カレイの一種でございます。角のお魚屋さんで買いました」

こんな調子で、ふたりの料理番組ごっこは延々と続きました。ミコちゃんが先生役で、私が、アシスタントをすることもあり、仕上がった芸術作品(?)は、ミコちゃんのカメラで撮影して、アルバムまで作るというすごい意気込みでした。

同じ頃、ちょびつき筆者のちょびつき弟もアメリカ留学をしていて、夏休みになるたびに、ミコちゃんと私が住むマンハッタンの部屋に居候をしていました。

当時、弟の18番は日本から送られてきたお素麺を揚げて、あんかけをたっぷりかけた中華風の揚げそば。

「ぽーちゃん(弟のあだな=幼いとき、とってもやせっポチだったところから)、例の素麺あげたの作っておくれよー。ぽーちゃん、料理うまいからなー」

とミコちゃんと私に乗せられて、弟も、ずいぶん料理当番を任されたりしていました。

弟の韓国人のお友だちが来れば、
「今日は、豚キムチチャーハンじゃー」 と、ご飯を6ゴウぐらい炊いてみたり、無謀にもスペイン人の友だちを招待しては
「これは、パエリヤです」

と、見よう見真似のチャーハンのようなパエリヤを中華鍋でテーブルに出すと
"This is cool, but it's slightly different from paella."
(いや、これは、なかなかステキだけれど、パエリヤとは、ちょっと違うかな〜)
と彼らは冷や汗を流しています。

でも、そんなことでは、ぜんぜんめげないジャパニーズ・シェフたちは、
「今夜は、ワニックさんのお宅で食べたタイ料理で〜すぅ」
と、タイ人のお友だちのお家でご馳走になったばかりタイ料理に週末またチャレンジしたりと、たいへん国際的(?)な展開を繰り広げていきました。

しかし、ここまで来るには、地道な修行の期間があったのです。

「今日は、カレーです!」

と、ミコちゃんと弟に宣言して、出てきたカレーは?

「せんせー(3分クッキングの先生という意味)、せんせー、これ、スープ?」
とポーちゃん。ミコちゃんは、苦笑い。

「ははは、ちょっと、水を入れすぎたかぁ」

と私。

次の日も、
「今日も、カレーです!」
と、汚名返上?

「こ、こ、これ、カレー・ルーが溶けていないよ、せんせー。」
と、またまた、ポーちゃん。ミコちゃんは、苦笑い。
「あれーっ、昨日は水入れすぎたから、ちょっと控えめにしました。あたしの、性格みたい?」
寒いジョークを言う私。

そして、3度目の正直。
「今日も、カレーです」
こうして、ミコちゃんとポーちゃんは、3日目にして、やっと、「普通」のカレーにありつけたのでした。

有名なジャズ・ミュージシャン、マイスル・デイヴィスも、言っております。
"Do not fear mistakes — there are none."
(間違いを恐れるな、間違いなんていうものは、ほんとうは、存在しないんだから)

"Oh, yes, there totally are!!!"
「(存在)する、する」
という弟とミコちゃんの叫びが聞こえますが、そんな犠牲者の声は無視して…… (笑)。

英語も料理も、ポイントは、@いっぱい練習すること、Aなりきること(料理の先生のつもり、または、"My fair lady" のオードリー気取りか?)、B小さなことを思いっきりエンジョイすることに限りますね〜♪

ときに、ミコちゃんとはお互い、あれから10年経った今でも「せんせー、せんせー」と呼び合っています(笑)。

つづく

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