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「ちょびつき留学英語日記」好評発売中!
未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[大学編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学後、高校を卒業し、コロンビア大学に入学した筆者がトラブル続きの留学生活を振り返る「ちょびつき」留学日記・大学編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 8 : ちょびつき筆者は、『プリティ・ウーマン』?

私が、アメリカで偶然見た映画のひとつに、"Pretty Woman"という映画があります。女の子ならだれもが憧れる、現代のシンデレラ・ストリーですが、その中のワンシーンで、主人公のジュリア・ロバーツがリチャード・ギアに連れられて、オペラを見に行くという場面があります。ジュリアが、そのオペラを見て、「おもらししてしまうほど」(笑)感動し、涙するというくだりです。
しかし、私にとってオペラとは、やたら、高い声がキーキー響いているという印象しかなく、たとえ、テレビで流れていたとしても、まったくもって見る気になれるようなシロモノではありませんでした。
ところで、コロンビア大学は、リベラル・アーツの大学ですので、専攻を決めるまえ (declare major)に、"core"と呼ばれる必修科目を取ることが義務付けられています。そのコアには、ほぼ全教科が含まれていて、選択の余地が多少あるものの、最終的に文学を専攻しない人でも、ギリシャ古典の叙事詩から始まる文学のコースや、経済学、心理学、哲学、人類学、美術史、音楽史にいたるまで、ありとあらゆる科目を受講しなければなりません。

ほとんどが苦手だったのですが、中には、好きなものもいくつかありました。コロンビアに入って2年目に受講した音楽史も好きなクラスのひとつでした。

ピアノを習っていたお陰もありますが、クラシック音楽にも親しみがありましたし、作曲家の生涯について学んだり、音楽と宗教、哲学、建築、歴史などとのかかわり合いを学ぶことは、決して退屈なことではありませんでした。

けれども、なんと、この音楽史の講義の課題に、最低2、3回、リンカンセンターにオペラを聞きに行って、レポートを書くというものが!?

"Opera? No way, man. How the hell do you stay awake?"
(オペラー? むりむりぃ〜、先生。もう、爆睡しちゃうよぉ)
と、ちょびつき筆者の心の叫びのボルテージは、かなり高まっておりました。

でも、まあ、課題の一環ですから逆らうわけにもいかず、しぶしぶリンカンセンターへ。

すぐ前のブロード・ウェイから地下鉄に乗って、揺られること10分(←そんなに近いなら、行けっちゅーねん?)。

ダイヤやイブニングドレスがキラキラ光る美しい人たちが、次々にリンカンセンターへ入っていきます。ホールの入り口では、シャガールの絵の前でシャンペンを飲む洗練されたニューヨーカーたち。雰囲気にまったくもって弱いちょびつき筆者は、お酒も飲んでいないのに、完全に大人のムードに酔ってしまいました。

そして、実際、オペラが始まってみると、5幕を4時間近くもかけて上演しているというのに、退屈するどころか、客席の中で一番盛り上がっている石黒さん!

"No, no, he is an asshole! Don't fall in love with him!"
(あーっ、ダメダメ、その男は、悪い男なんだから、騙されちゃ!)
などと、イタリア語なんてぜんぜん分からないくせに、完全に舞台にのめりこんでいます。

最後の幕になるころには、もう、黒いマスカラを目の周り中につけながら、おいおい涙する始末(←見られた顔じゃない。 因みに、ジュリアは、泣いていてもキレイだった)。

"You are taking it a little too personally."
(まあまあ、自分の恋愛じゃないんだから、そんなに入れ込まないで)
とクラスメートに苦笑いされるちょびつき筆者。

けれども、私が思うに、普通の生活の中だったら、ぜったい理解することができない状況だったりするのに、オペラを聞くと、どの登場人物にも"empathy"(共感する気持ち)が溢れてくるので、つい、自分のことのように感じてしまうんですよね。

リンカンセンターを後にする私は、例によって、例のごとく、
"I love the world." (世界ってステキ。)
「オペラを見て涙するあたしは、『プリティ・ウーマン』」の素質(?)があるよねぇ、うんうん。」
と、マスカラでパンダになった目を輝かせて、幸せな気分でいっぱいでした。

リチャード・ギアのような王子様が隣にいないのに、こんなに楽しんでしまっては、実際には『プリティ・ウーマン』の素質はないんでしょうかね……(苦笑)。

つづく

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