(1) A list of gifts I'm thinking about getting Mom
この部分を説明するにはまずgetの用法から解説する必要がありそうです。夏休みに掲載した「体育会式英語塾夏合宿」を勉強した方ならget が英文法で言うところの「第IV文型」を作る動詞だということを覚えているでしょう。第IV文型とは「主語+述語(動詞)+第1目的語+第2目的語」という構成をとり、「第1目的語に第2目的語を〜する」という意味の英文を作るものでした。
ここでのgetは「第1目的語のために第2目的語を得る」という意味になります。日本語として自然にするには「第1目的語に第2目的語をあげる」とする必要があるでしょう。
では、@でgetに対する第1目的語と第2目的語はそれぞれどの単語でしょうか。@は「主語+述語(動詞)+第1目的語+第2目的語」という形はとっていません。get (@ではgetting)の後にはMomという単語しかないからです。実はこのMomが第1目的語で、前にあるgiftsが第2目的語なのです。
@がどのように成り立っているかを説明します。@は a list of gifts と I'm thinking about getting Mom gifts というふたつの語句が合体したものです。このふたつを and で合体させると
a list of gifts and I'm thinking about getting Mom gifts
となります。これを関係代名詞を使って簡潔なものにします。関係代名詞の作り方は共通する単語をandでつなぐことです。するとこうなります。
a list of gifts and gifts I'm thinking about getting Mom
下線部の and gifts を関係代名詞のwhichで置き換えると
A list of gifts which I'm thinking about getting Mom
となります。目的語が関係代名詞(関係代名詞の目的格)になった場合にはそれを省略することができます。省略すると@になるのがわかりますね。
このように関係代名詞が隠れている文は、元になっているふたつの文(または語句)がどうなっているかを考えると意味が正しく理解できるようになります。
また、@は全体でユカリのたずねているwhatに対する答を表しています。つまり、この部分は名詞と同じ役割を果たす単語の集団、「名詞句」を形成しています。
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(2) I leave Japan
ここでのleaveは「〜を去る」という意味です。これをleave forとすると「〜(forのあとにくる場所)に行く」という意味に変わります。すなわちleave Japanは「日本を離れる」という意味で、 leave for Japanは「日本へ行く(ために今いる場所を離れる)」となります。
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(3) I don't think manga magazines are quite right either.
I don't think〜とは〜の部分の内容を否定する決まり文句です。これを使わずに
Manga magazines are not quite right either.
とすると断定的な否定文になってしまいます。これでは相手の意見を真っ向から否定してしまい、ちょっとした摩擦を生みかねません。これを避けるためにI don't thinkを使って表現を婉曲的に、やわらかくしています。
注意しなくてはいけないのは、I don't thinkのあとは肯定文がくるということです。そうしないと二重否定になり、結局は肯定していることになるからです。逆にI think +否定文(I think manga magazines are not quite right either.)は文法的に間違いではありませんが、こういう言い方はほとんどしません。英語では習慣的に否定表現はできるだけ冒頭にくるものなのです。
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(4) "something traditional" would be the obvious and perfect choice.
単語を形容詞で修飾するときには「形容詞+名詞」という語順になります。たとえばbeautiful flowerなどがそうですね。しかし、名詞の部分にsomethingやanythingがくる場合には例外的に形容詞はsomething/anythingのあとにきます。その例がCです。 traditional somethingとは決して言いません。
something とanything (またはsomeと any)は用法が似ていますが、そのニュアンスはだいぶ違います。それについてはEで詳しく解説します。
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(5) You can't do that.
「〜をしてはいけない」という日本語を英訳するとDon't do that.やYou must not do that.といった文を思い浮かべがちです。学校の英語の試験ではこれでOKです。でも、日常会話でこれを使うと、私たち日本人が思う以上にネイティブスピーカーは強い命令口調に感じてしまうようです。そのため、婉曲表現として命令文にあえて主語をつけるYou don't do that.やDのようなYou can't do that.という言い回しが使われます。
「英語には敬語はない」とよく言われます(僕はこの意見には反対です)が、相手の心情を慮って丁寧な表現をする工夫はいろんなところにあります。
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(6) At this point anything unique, nice and relatively cheap will do.
さて、anythingが出てきました。Cで説明したようにこのanythingを形容するunique、 nice、 relatively cheapという3つの語句はいずれもanythingのあとにくる語順となっています。
では、some(またはsomething)とany(またはanything)の違いについて説明しましょう。どちらも「いくつか」とか「なにか」という日本語で表される単語ですがこの使い分けがなかなか難しい。これを完璧に使い分けられる人はかなり英語に精通しているといっていいでしょう。
僕が中学校でこのふたつの単語を初めて習ったとき、「someは肯定文で、anyは疑問文や否定文で使う」と教わりました。間違いではないのですが、someとanyの使い分けを正しく説明しているものでもありません。someは疑問文や否定文で使われることもあるし、逆にEのようにanyが肯定文で使われることもあるからです。
someとanyには「複数のもの」を表現する役割のほかに漠然と「もの」を言い表す意味合いがあります。まず、複数のものを意味する場合についてsomeとanyの違いを解説しましょう。
あなたがいくつかの飴をもっているとします(小学校の算数の教科書みたいですね(笑))。その飴をいくつか友達にあげるとしましょう。そのときあなたはこう言います。I'll give you some candies.(E−1)
では、次の場合はどうでしょう。風邪をひいたのかあなたは喉の調子がよくありません。友達に「飴を持っていない?」とたずねるときはDon't you have any candies?(E−2)となります。
ここでのsomeとanyはどう違うのでしょうか。E−1ではあなたはあなた自身が飴をいくつか持っているということを知っています。実際に目に見えているかもしれないし、それでなくてもポケットやバッグに入っている飴を具体的に思い浮かべることができるはずです。それに対してE−2は相手が飴を持っているかどうかはあなたにはわかりません。ここに大きな違いがあるのです。
someは具体的に目に見えていたり、確実にあるとわかっているものを複数形で表現するときに使う言葉なのです。それに対しanyは実際にあるかどうかの確信は持てないものを複数形で言うときに使います。
それでは、漠然と「もの」を表現するときのsomeとanyはどうでしょうか。ここでもやはり「ある(存在する)」と確信しているものに対してはsomeです。I've got some good ideas. と言うとき、Iには具体的に自分がgoodだと思うideasが存在することになります。
それに対して、anyは「存在するかどうかわからないが」というニュアンスを含みます。また、これはsomeにはない用法ですがanyには「ある特定の条件に合うならば何でもいいから何か」という意味もあります。Do you have any good ideas?とたずねるとき、相手にgoodなideasがあるかどうかは確信できません。でも、「私がgoodだと思えるという条件ならどんなideasでもいい」というニュアンスが込められるのです。
Eの文章がまさにその例です。「unique、 nice、 relatively cheapという条件に合うならどんなものでもいいから」という意味でanythingが使われています。これをもしsomethingと置き換えると「いくつか具体的に想定しているもののうち、unique、 nice、 relatively cheapという条件に合うものだけが」というニュアンスに変わってしまうのです。
Eのdoは「役に立つ」という意味で使われる動詞です。doという動詞が持つ意味の中ではやや特殊な用法ですが、日常会話でもよく使われます。
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(7) you know what?
これは相手に話しかけるときに使う常套文句です。日本語で言う「あのね」とか「そう言えば」にあたる表現です。
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(8) Why don't we stop over at that store
Why don't youは直訳すれば「どうして〜しないのか」という意味です。それが転じて「〜しよう」と誘いかける意味になります。これはLet's stop over at that store.と言い換えてもまったく同じ意味です。
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(9) one of the best places to go for Japanese souvenirs,
英語では「最も〜だ」という断定的な言い方はあまりせず、「最も〜なもののひとつだ」という言い回しをよく使います。厳密に言えば矛盾なのですが、これも婉曲表現の一つですね。これが「one of the 最上級+名詞複数形」の言い回しです。名詞は必ず複数形にすることに注意してください。
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(10) If that's not the case, I'm all for it.
ここでのcaseは「場合」という意味です。ifと一緒に使うことによってif that(thisでも可) is the caseとすることで「その場合には」という意味になります。ここではnotで否定されていますから「そうでない場合には」との意味です。
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(11) It's even better during New Year's
先月は比較級の勉強をしました。比較級の文章で、さらに強調したい場合にはmuch、 far、 evenなどの単語を比較級に変換した形容詞や副詞の前につけます。たとえばmuch betterは単にbetterというよりも「ずっとよりいい」との意味合いが強まります。
ここではit(浅草寺にお土産を買いに行くこと)は普段のときに比べてお正月のほうのときがbetterだといっている文章ですが、普段よりもお正月のときのほうが「ずっと」いいと表現したいためにevenで強調しているのです。
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(12) A card with a beautifully snow-covered Mount Fuji or something on it would be nice,
英語の構文の勉強をしましょう。構文とは英文を主語・述語・目的語や補語などに分解することです。構文をしっかりと勉強することで、英文の意味を正確につかむことが可能になります。この勉強は実はTOEICなどの文章読解で、正確に内容をつかんだり早く文章を読むために必要なものでもあります。
Kの文章の述語(動詞)はwould beです。では、これに対する主語はどれでしょうか。答はA cardです。正確に言うとA card with a beautifully snow-covered Mount Fuji or something on itが主語となる部分です。ではなぜitではいけないのでしょうか。
itがwould beの主語だとするとit would be niceはこれだけで完全な文章となります。するとA cardからsomething onの部分が何の役にも立っていないことになります。
A cardはwith以下によって修飾されている名詞句です。itは代名詞で文法的には用法が名詞と同じです。以前にも説明しましたが、英語では名詞がふたつ並ぶケースはまれなのです。そこには必ず理由があります。第IVまたはV文型を使っている(Kのbeはこれらの文型を作れません)、関係代名詞が省略されている(it would be niceは完全な文章の形をとっているのでそれはありえません。関係代名詞が省略されている文章では目的語が欠けていなければなりません)、ふたつの名詞が同列で後ろの単語が前の単語を説明している(itは同列になりえません)などの理由です。
12の文章ではカッコ内に記した理由のため、itはwould beの主語にはなれないのです。とすれば、A cardからitまでがひとつの名詞句で、これがwould beの主語になっていると考えるしかないのです。
構文については来年からじっくりと取り組むことにします。Kの説明が難しいと感じた人は今はあまり気にしないでいいでしょう。
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