インターネットが世の中にもたらした「変化」は数多くありますが、文章を書く機会が増えたというのもその一つでしょう。電子メールやホームページ、ブログなど、インターネットが普及する前に比べると1日のうちに文章を起こすという作業は格段に増えました。
読者の皆さんの中にも仕事で電子メールを使っている人はもちろん、趣味でホームページやブログを展開している方は多いのではないでしょうか。かく言う僕自身もNFLを話題にしたブログを開いています。
ところが、文章を書く機会は増えたのに文章の書き方を教わることはあまりないのではないでしょうか。僕は仕事柄、1日にかなりの数の電子メールを書き、ホームページやブログを読みます。困るのは、意味がふた通りに解釈できるものがあったり、具体性に欠ける文章が多いということです。特に、仕事の依頼を受ける電子メールでこういう文章に出くわすと困ってしまいます。
最近では文章の書き方指南書がたくさん出版されています。そういう本を読んで自分の文章力を上げるのも一つの方法ですが、せっかくこういうコラムを連載しているのですから、どのように文章を書くのかということを僕なりに検証してみたいと思います。
皆さんも記者になったつもりで何か文章を書いてみませんか?
まず、何について書くのかというテーマを考えましょう。このときに役立つのが「ブレーンストーミング」と呼ばれる手法です。なんだか大層なネーミングですが、何のことはありません、ただ頭に浮かんだことを片っ端からメモすることです。
実際にブレーンストーミングでテーマを決めていきましょう。時事ネタでいくなら「参議院選挙」、「サッカーアジアカップ」、「地球温暖化」、「中越沖地震」といったことが浮かんできます。趣味ではどうでしょう。「料理」、「読書」、「映画鑑賞」、「ガーデニング」などなど。
最近自分の身に起こったことも考えてみましょう。「夏休みの計画」、「感動したこと」、「思わず笑ってしまったこと」と、これも次々に浮かんでくるのではないでしょうか。
ここまできたらあとは「自分の書きたいこと」「自分が書けること」を条件にテーマを絞っていきます。書きたくないテーマでは筆が進まないものです。また、どんなに自分が書きたいテーマでも知識がないものは書けません。もちろん、文章を起こすときにはリサーチによって自分に足りない情報を集める作業は不可欠なのですが、ホームページやブログなどの気楽なメディアに書く際にはこの作業は少しハードルが高過ぎます。ここではやめておきましょう。
僕自身の例で話を進めましょう。最近で言えば携帯電話を買い換えたことがちょっとした出来事でした。機種を換えただけでなく、携帯電話の会社も変更しました。これをテーマにします。
でも、僕が携帯電話を買い換えたからといって、これだけでは話題性に欠けますね。「あ、そうなの」と言われてしまっておしまいです。読者の方には何の関係もないことですから。でも、僕が10年間使い続けてきたDocomoからauに換えたのには理由があります。そして、これは最近話題になった携帯電話会社の基本料金価格競争にも深くかかわることです。こういう話題に触れれば読者にもまったく無関係ではなくなります。誰でも携帯電話は料金が安いほうがいいに決まっていますからね。もしかしたら、僕のように携帯電話の会社も換えてしまおうと考えている人がいるかもしれないし、そうすればその人には僕の体験談は参考になるかもしれません。
このように、一見個人的な話題に見えそうなテーマでも、内容を広げていけばそれは必ず誰かの関心を呼びます。だからこそ、日記形式のブログがここまで発達してきたのです。
僕の文章のテーマは「携帯電話を買い換えた」で行きましょう。では来週はこのテーマをもう少し掘り下げて、どういう内容を盛り込むかを考えていきます。
次回予告:テーマを掘り下げる
「携帯電話を買い換えた」という個人的な出来事をどのようにしたら読者の関心を呼ぶ話題にすることができるのでしょうか。次回はこのテーマを基に、話題性を膨らませる作業をしていきます。
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