今回は、東京都品川区に在住のHさんに登場していただきます。Hさんは中学校2年生の男の子と小学校5年生の女の子のお母さんです。
♣ 英語と子どもたち ♣
二人のお子さんたち
まず、「胎教」についてお聞きしたいのですが、お子さんがお腹にいるとき、英語の胎教はしていましたか。
「英語耳を作る」という類のCDを家で流したりしていましたが、特に「胎教」を意識してということはなかったです。
そうですか。では、英語に関して、お子さんが小さいころに何かお家でやっていたことはありますか。
上の子は、幼稚園にいた頃から3年間、帰国子女のお母さんが教えてくれる英語教室に通っていました。週一回ぐらいだったと思います。その後、小学校に入ってからは、某通信教育が主催している英語教室に通いました。そこは週三回もあったので、かなり身に着いたと思います。というのも、「小学校5年生で、中学校3年間で教わる内容をマスターする」というハードな内容だったんですよ。そのおかげか、中学2年生になった今でも、英語で苦労はしていないようです。下の子も、小学校に上がってからやはりお兄ちゃんと同じ英語教室に通いました。今では英語だけではなく、他のことばにも興味があるようです。去年の夏休みの自由研究では「世界のことば」を調べたのですが、それ以来中国語に興味を持ち始めたようです。英語も好きで、一人で朝早く起きてNHKラジオを聴いて勉強していますよ。親は、まだ寝ている時間なんですが。(笑)
♣ 英語とわたし ♣
偉いですねー。そんな習慣を小学生から身につけているなんて。では、Hさんご自身は、英語とどのように接してきたのでしょうか。
私は中学生からです。いわゆる受験英語をずっと勉強してきたので、英語といえば、机に向かって勉強する科目の一つとして捉えていました。生の英語に触れたのは、高校卒業後、ビジネスを学べる専門学校に入ってからです。その専門学校では、夏休みの一か月間、アメリカ・オレゴンで過ごすという研修があったのですが、そこで初めてホストファミリーと触れ合い、コミュニケーションの手段としての英語を知ったんです。とにかくショックでしたよ。英語って使うものなんだ!っていう衝撃の体験となりました。それまでも、かなり勉強しているつもりでしたし、英検2級も持っていましたが、会話となると全く分からなくなってしまったので。でも、とてもいい刺激を受けたと思っています。
そうですか。話は変わり、最近、キッズ英語ということばをよく耳にしますよね。英会話教室に通わせているご家庭は、増えているんでしょうか。
増えていると思います。どちらかというと、女の子のお稽古ごととして人気があるような感じがします。いくつかメジャーな教室を、私も見て回ったのですが、小学生相手だと、どうも歌とお遊戯で終わっているところが多いですね。それぞれの年代に合った英語の学習法というのがあるとは思いますが。それから、英会話教室に通わせる親がよく言うこととして「私はできないけど、子どもにはせめて英語ぐらい話せるようになってほしい」というのがあるんですが、これを聞くたびに「ちょっと違うんじゃないか」と思ってしまいます。「私はできないけど」ではなくて、「私も頑張る」っていう姿勢を見せないと、子どもは伸びないんじゃないでしょうか。まずは、親が英語に対する拒否反応をなくし、せっかくだから、子どもと一緒に勉強するぐらいの姿勢を見せるべきだと思います。
なるほどねー。確かにそうですよね。親の背中を見て子どもは育つといいますしね。
ええ。あとは・・・そうですねえ、うちの周りでは、中学受験をする子どもが多いので、英語を習わせるといっても、小学校4年生ぐらいまでが限度となっているんですよね。5年生ぐらいからは受験勉強があるので、その時点ではいったんやめざるを得ないのが現状です。そして、また中学に入ってから再開・・・という感じです。
♣ 理想の小学校英語教育とは ♣
そうですか。では、最後にご自身が考える「小学校での理想の英語教育」とはどのようなものでしょうか。
まず、目的は何なのか?というのをはっきりさせることだと思います。というのも、いくら「話せるように早期英語教育を!」といっても、使う場がないんですよね。このままだと、せっかく小学校で英語を習ったとしても、英検に合格するための英語になってしまう気もします。それから、自分の意見をはっきり伝えるためには、やはり「母語」を身につけることが大前提になると思います。あとは、そうですねぇ。これからの時代、英語が出来るのは当然だと思うので、英語だけではなくて、「英語+他の外国語」という発想になったらいいのではないかと思います。
なるほど。今日は、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。
あとがき
ベリーダンスを習っていたというだけあって、とても雰囲気のあるお母さん。品川区の現状を含め、日ごろ感じていらっしゃることを率直にお話して下さいました。Hさんご自身、専門学校時代からフランス語を勉強し始め、今も教室に通っているそうです。二人のお子様の頑張り様は、そんなお母さんの背中を見て育っているからではないかと思いました。
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