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未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[高校編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学。わからないことだらけのアメリカでの生活を振り返る石黒加奈の「ちょびつき」留学日記・高校編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 7 : 生物学のジャーナル

午前3時です。

目覚ましがリンリン自己主張しています。まだ14歳のルーム・メイトを起こさないように飛び起きて、前日、机の上に用意しておいた教科書やノートを持ち、パジャマのまま部屋を出る若い乙女(?)が約1名。

寮は、ひっそりしていて、外もまだ真っ暗です。

私が1年目に住んでいた寮はキャンパスの中でも一番大きな「メイン」と呼ばれる寮で、"4th North" (4階の北)のホール(hall [of residence])で10数人のアメリカ人の女の子と暮らしていました。

当時、寮に住んでいる女の子たちの夜のファッションは、パジャマの代わりに男の子が履くようなボクサーを履いて、Tシャツやタンクトップというところ。私もしばらくして、

「このファッションは、なかなかイカスね」

とみんなの真似をしたりしたんですけどね。

そんなボクサー姿の超おしゃべりで、うるさい女の子たちも、まだ、ぐっすり寝ている時間です。

私は、留学1年目、2年目、そして、3年目になってからも、よくこの時間に起きてベランダに待つロミオに会いに行きました。

な〜んてことはありません。

部屋の前の広い廊下には小さなテーブルがポツリと置いてあり、私はそこにすわって、前日終わらなかった宿題を朝8時に1時間目の授業が始まるまでに、なんとか仕上げなければいけなかったのです。

およおよ。なんて、悲惨な毎日だったこと! この留学日記も、いよいよ聞くも涙、語るも涙の物語になってきました。

アメリカの学校で出される宿題と日本の学校で出される宿題とで、もっとも異なっているのは、論文、エッセー、レポート、ジャーナルなどと呼ばれる文章の提出量です。日本で作文を書かされるのは、せいぜい国語のクラスぐらいのものですが、アメリカでは、すべてのクラスで、毎日のように作文のような宿題が出ます。

私が一番悩まされたのは、なんと言っても、バイオロジー (biology) のクラスのジャーナルでした。他の生徒さんたちは、決められたテーマについて書いたりしていましたが、英語のできない私を見て先生は、

「今日、クラスで、どんなことを学んだか、どんな発見があったか、日記のように書いてきてごらん」

と、とくべつに提案してくださいました。

しかし、クラスが始まり、終わり、そして、

「今日は、何を学んだだろう?」

と自分に問いかけても、浮かんでくるのはほぼ何にも学んでない=ぜんぜん授業が理解できなかった、という思いばかり。

こうなるとジャーナルを書きたくても、書く内容がまったくありません。

「先生が、9時にクラスに入ってきました。黒板に心臓のような絵を書きました。隣の席の〜君が、手を挙げて何か言いました(質問か、意見かの区別もつかないので、何か言った、という表現になる)。今日は、7人ぐらいの生徒がクラスに来ました。教科書の36ページを見てくださいと、先生が言いました。おわり」

という内容のジャーナルを書くのに、辞書を使ってなんと2時間!

あの賢いシャーロック・ホームズでさえ「粘土がなければレンガは造れない」と言っていますが、分かってないことを、どう書こうにも・・・。毎日、同じような内容の、ほぼ無意味なジャーナルを見て、バイオロジーの先生は、きっと教える気力をなんども失ったことでしょう。先生、ごめんよ。

7時半頃になると眠そうに若い女の子たちが起きてきて、次々にシャワーに入ります。「カナはまた、朝からジャーナル書いているの?」"You can just bull-shit, no?" (bull-shit = 適当になんとかまとめる) と言われるのですが、そのB.S. (bull-shit)ができずに、毎朝、地獄に落ちる私。

それでも、なんとか5行ぐらい書けた日は、

「あー、今日は、先生に見せるものがあって、よかったな」

などと思いながら、ブタのプリントのトレーナー(英語では、"sweatshirt")とキュロット(英語では、" shorts")とウサギの刺繍のついた靴下(そんなものは、アメリカにはないかも)という超イケてない格好(当時は、それに気付かなかった)に着替えて、いざクラスへ!

つづく。

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