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未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[仕事編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学。コロンビア大学卒業生石黒加奈がトラブル続きの留学生活を終え、帰国してからの生活を振り返ります。就職活動から、ジャパンタイムズでの日々の様子までを振り返る「ちょびつき」留学日記・ジャパンタイムズ編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 3 : 看病してくれた祖母とカウンセラーの先生

大学院を中退してから「アメリカ留学は無駄だった、私は日本では必要とされていない」と、毎日泣いて過ごしていました。両親に迷惑をかけているのは分かっていて、自分を否定しているのも辛かったのですが、そこから抜け出る方法が見つかりませんでした。

母がどんなに心を込めて食事を作ってくれても、ほとんど手をつけず、とうとうベッドから起き上がることもできなくなるほどでした。

当時の両親の気持ちを思うと、どのような奉仕をもってしても償えないような、申し訳ない気持ちになると同時に、これからもっともっと自分らしく精一杯生きていくことで、感謝の気持ちを示していこうと、身が引き締まる思いです。

父の仕事を手伝っていた母は忙しかったので、私の病気が悪くなると、父方の祖母がわざわざ名古屋からやって来て、看病してくれるようになりました。

祖母は、ずっと仕事をしてきたキャリア・ウーマンで、病院での仕事も長くしていたため、私はうつ病ではないだろうかと考え、「このまま家で寝ていてもよくならないから、カウンセラーに話を聞いてもらってはどうだろうか」と提案してくれました。

ちょうどこの頃、高校1年のときの担任の先生が教師を辞めて、カウンセラーになられたばかりで、その先生のお世話になることになりました。

先生が山梨の甲府駅まで迎えに来てくださったのですが、私は「こんにちは」という挨拶のひと言さえ出てこないような、ひどい状態でした。

それでも、先生の誠実な姿勢と、カウンセリングのセッションのお陰で、ほんとうに少しずつですが、話ができるようになり、セッションの間に留学時代の話をしていると、今まで流していた怒りの涙とは違った、「気づき」の涙が流れるようになりました。

がむしゃらに頑張ってきた留学生活で、自分がほんとうに疲れてしまっていることにに気づいたのです。極度の緊張感や重圧が長い間、自分にかかっていたのだと思います。また、英語ができないことから、常にだれかに認められたい、という強い欲求があることにも気づきました。

ひとつのことに気づくと、次のことにも気づくという具合に、「気づき」の輪のように次々と自分の正直な気持ちが出てきて、立ち直る力になっていくのが分かりました。

こうしなければ、こうなるべきだ、という思い込みが自分を苦しめているだけで、周囲はもっと寛容なのではないだろうか、とまで思える瞬間さえ出てくるようになりました。

そして、だいぶ元気になったある日、祖母が言いました。

「加奈ちゃん、そんなに家族も世の中も憎たらしいなら、自分で働いて暮らしてみなさい。そしたら、だれの言うことも聞かないで、勝手に生きていけるわ」

そう言い放たれて、半分ヤケクソになりながらも、なぜか不思議な力が沸いてきました。そして、次の週、初めての就職活動をするべく、小さなカバンをたったひとつ持って、東京の伯母の家に向かったのでした。

つづく

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