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「ちょびつき留学英語日記」好評発売中!
未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[作家編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学。コロンビア大学卒業生石黒加奈が、留学生活、ジャパンタイムズ電子メディア局部長を経て作家生活をスタート!子どものころからの夢だった『物書き』の日々を書いた「ちょびつき」留学日記・作家生活編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 6 : 芸術の秋の巻

第1回目に少しご紹介させていただいたように、私が文章を書く練習のために使っている本のひとつはThe Artist's Way。「自分の中のcreativity(創造性)を高める」ためのトレーニングの方法が書かれています。毎日、これを使って地道にコツコツと勉強しているというわけです。

この本では、創造性を高めるための基本的な2つのツールが提唱されています。ひとつは、朝起きてすぐライティングの練習をするmorning pagesと呼ばれるもの。もうひとつはartist dateと呼ばれていて、週1回2時間ぐらい、自分の好きな場所へ出かけて行くというものです。

Artist dateには、とくに小難しい取り決めや、特別のやり方はないのですが、ひとりで行くことが義務づけられています。自分のほんとうの気持ちに向き合うための時間だからだと思います。東京に暮らしていた頃は、どんなところでも、電車や地下鉄やバスを使って行けるので、文房具屋さんとか本屋さんへ、ひとりで自由に出かけていました。とくに家の前のバス停からバスに乗って行くときは、『8マイル』(アメリカの白人ラッパー・エミネムが売れる前の自伝的ストーリー)に出ているエミネムがバスの中でラップを書くシーンが思い出されて、芸術性がアップしていくような気がしました(苦笑)。

ところが、今住んでいる山梨の田舎は、ともすると隣人へ回覧板を届けるときでさえ車に乗って行かなければならないような、車社会。ちょびつき筆者は、車の運転ができないので(高校編第21話をご参照ください)、出不精になりartist dateの存続すら怪しくなってきました。友だちが遊びに来ると言うと

「あのさ〜、今日、車で来るぅ〜?悪いんだけど、最初にちょっと一緒にスーパー・マーケットまで行ってもらえないかな?そうそう、町の。今日、両親が留守でね…」

という、迷惑そのモノの発言を繰り返す筆者。

「芸術の秋だというのにぃ〜」

と対策を考えていると、町にボサノヴァ・シンガーの小野リサさんのバンドがやってくるというニュースが! 私はボザノヴァが大好きなうえに、小野リサさんをライブで見たことはないので大喜び。

「シメシメ、コンサート会場も一人で行ける距離だし」

ということで、おおいに期待していました。

このコンサートは市(注:最近、近所の町が一緒になって市になっただけで、都会だから市なのではありませんぞ)の主催だとかいうことで、父が地元の知人にお願いしてチケットをゲットしてくれるとのこと。

「加奈ちゃん、すごーい、いい席が取れたよ」

と、喜ぶ父からチケットを手渡されて見てみると、確かに、前から4列目のチケットが2枚。一番後ろの席のチケットも1枚ある。

「どうして、3枚もあるの?」

と、純粋無垢な娘が聞くと、

「建ちゃん(父)とカコ(母)も一緒に行くのじゃ〜」

と、満面の笑みの父。

「きえー、今回も、artist dateの掟をやぶってしまった〜」と嘆いてしましたが、優しい母が、父と私に前の席を譲ってくれるというので元気を取り戻して、コンサート会場へ。舞台の上には、カントリーな演出をするため、いろいろな舞台装置が置いてあります。

「石黒さん、今日は、カントリー・ミュージックってことらしいよ。馬じゃいいけんど、音楽じゃあ、どうでい?」

とか、前列に座っている山梨弁のおじさんがフレンドリーに話しかけてくるので、誰かと思えば市長さんでした。

「きえー、市長さんやお父さんと一緒じゃ、芸術性がアップするどころか、ダウンしてしまうよ〜」

と、失礼なことを考えていたらバンドが登場。

カントリー・ミュージックというと、いつも父が家のカラオケで歌う、音痴なジョン・デンバーとかが彷彿とされて、ちょっと気が重かったのだが、小野リサさんが歌うカントリーは、なんとも"She sure has her own style!" (彼女のスタイルは、完全に確立されている!)という感じで、カントリーでもやっぱり、ボザノヴァ。そして、なんと言っても、あの優しいソフトな歌声の小野リサさんカラーなんです。"Country home, take me home" なんか聞いたときは、こういう歌い方もあったのか、と感心しました(日ごろ、父の歌うイメージで散々変なヴァージョンを聞かされていたからかもしれないけれど)。

なんと、コンサートで歌われた曲は、すべて父が知っている曲ばかり! 父は、最初から最後までノリノリで、家に帰ってからも

「加奈ちゃん、あのビートルズの曲は、これだよ!分からなかったでしょう?すごーくアレンジされていたからね〜。建ちゃんは、気合で10個持っているビートルズのテープから、これを探しあてたのさ!」

と、自慢気に『離れ』に暮らしている私の小屋まで来て豪語していました。

いずれにしてもコンサートは素晴らしいもので、とてもいいartist dateになりました。コンサートの後半、小野さんが「皆さんも、ご一緒に」と言ってから、何となく、音がはずれて聞こえたのは、ボサノヴァ特有の音の取り方のせいでしょうか?それとも、隣の父が大きい声で一緒に歌っていたせい…(苦笑)?

つづく

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