弟と私を比べて思うのですが、同じ家庭に育ち、同じように山梨の田舎で16歳まで暮らして、その後アメリカに留学した、というバックグランドにもかかわらず、2人のライフ・スタイルや性格は、とても姉と弟とは思えないほどに異なっています。
もちろん姉弟ですから、「よくよく見ると鼻の形が似ている」とか、「しゃべり方が似ている」と言われたりするのですが、職業や趣味も違うし、①ラーメンが好き ②ピアノを弾く、ということ以外、とても似ているとは思えないのです。
まず、私たちと1時間でも同じ空間で過ごされた方は、携帯電話にかかってくる電話や送られてくるメールの量が圧倒的に違うことに気付くと思います。弟の携帯は、ほぼ、なんらかの形で鳴りっぱなしで、私の方は、弟から「鳴らない携帯」と名付けられるほど静か。
「加奈ちゃん、実は、友達、いないんじゃないの?」
と、たびたび疑われております(苦笑)。
事実、弟は、休日といえば何人ものお友だちと出かけるし、1人でレストランに入るところも見たことがありません。On the other hand(一方)、私は、notorious(悪名高い)出不精で、1人で過ごす時間が非常に多いのです。弟から見ると、「いつも」1人で机に向かっているように見えるそうです。
「そんなに1人でいて、退屈しないの?」とか、「寂しくないの?」と聞かれるのですが、留学していたときと違って、今では話をしようと思えばインターネットで24時間、世界中のお友達や、遠距離で暮らす家族・親せきとも話をすることができるし、そういう安心感があるだけで寂しい気持ちにはなりません。
「じゃあ、本を読んだり、文章を書いたりする以外の時間は、机で何をしているの?」と不思議がられるのですが、文章を書くこと一つとっても、やることはいくらでもあるものです。もちろん仕事は別としても、コンピュータで文章を書く、特別のノートに書く、日記帳に書く、誕生日カードに書く、送る相手のために選んだ便せんに書くなどなど、ほんとうにいろいろあります。
中でも、1月によくやってみるライティングで、最も楽しく、また時間がかかるのは、my ideal life(理想の生活)について書き留めておくもの。これは、大抵リスト形式のことが多いのですが、例えばテーマを決めて、「今日は、理想のレストランについて書こう!」となると、まずは、
- メニュー
- 内装
- インテリア
- スタッフ
- 音楽
- キッチンの設備
- ロケーション
- ビジネス・モデル
という風に、理想のレストラン像に関する大枠を決めます。
次に、それらを細分化して、例えばどんなメニューのあるレストランが自分の理想か、順々にリストアップしていきます。「健康のことを考えると、朝食や昼食が充実している方がいいな〜」とか、「レストランに入ってから急に食べたいものが変わるかもしれないから、和食、中華、イタリアンのすべてがそろっている方がいい」などというふうに。考えるのは自由だし、お金もかからないから、夢や想像がどんどん膨らんでいって、楽しいですよ。
ほかにもいろいろなテーマで「理想の〜シリーズ」を書き出したり、今年はどんなものを買いたいか、というリストを作ったりもします。自分自身のために買いたいものだけでなく、「そういえばお母さんが、長く履いていたウォーキングシューズがダメになったと言っていたな」と思い出したら、「母の日=ウォーキングシューズ」としたり、お友達のケイコちゃんが、この間会ったときブランドXのネックレスをしていた、ということに気付いたら、「ケイコちゃんの誕生日=ブランドXのピアス」などとリストにしておきます。
もちろん金額的に買えないことも多いのですが、リストにあることに関する情報は、無意識のうちに吸収・蓄積されて、思ってもないチャンスに恵まれることも、不思議と多いんですよ!(例えば、急に従姉のお姉さんが、私がちょうど欲しいと思っていた形のハンドバッグが、いらなくなったからくれる、と言ってくれたことがありました♪)
最後に、こんな理想の生活リストを作り終えてから、new year's resolution(今年の抱負)を考えると、なかなかいい抱負が思いついたりもします。ついでに、リストを英語で作ってみると、レストランならレストラン、デパートならデパートいったように、特定の場所や場面で使われる英単語が一度に覚えられて一石二鳥!
余談ですが、コロンビア大学の美術史の試験で、それまでに習ったコンセプトや作品を使って理想の美術館について書いてください、という論文の課題がありましたが、試験とは思えないほど面白かったです。
もし英語の先生がこのコラムを読んでくださっていたら、今年は、そんな試験はいかがでしょうか?もっとも、自分の弟すらあまり興味を持たないところからして、こういう fun activity(遊び)には、好き嫌いがあるのだと思いますが…(苦笑)。
つづく
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