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2013年6月7日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

The spoken word (p. 9)

共通語の発音とアクセント

日本で英語指導助手として働いているイギリス人の友人が最近、彼のフェイスブックのプロフィールにこう書いていた。「アメリカ英語のつづりを教えようとするたびに、ちょっとぐったりする」。

半ば冗談だった(そうかな?)と思うが、私には彼の気持ちがわかる。シンガポールは、イギリスの植民地だったので、イギリス英語を使う。だから私は「色」のつづりはcolorではなくcolourと、「お気に入りの」はfavoriteではなくfavouriteと書いて育ってきた。私の英語の先生はとてもつづりにうるさかったので、アメリカ英語のつづりを書くと大ひんしゅくを買った。

しかし、私が日本で英語指導助手の仕事を始めてから、作業計画書や教室ではアメリカ英語のつづりで書かなければならなくなった。正直に言うと、まだそれには慣れていなくて、アメリカ英語のつづりを見るとつづりを正したくなる衝動をまだ抑えなければならない。

とは言っても、本当はアメリカ英語でつづったって、イギリス英語でつづったって、問題にはならないと思う。結局、英語が本当に共通語なのだとしたら、その言語の使われ方における地域差は理解して認めるべきだ。

同じ論理は発音とアクセントにも当てはまる。ネイティブ・スピーカーであろうとなかろうと、出身地域が違えば、同じ単語でも発音の仕方がみんな違うし、みんな自分のアクセントで話している。例えば、シンガポールとイギリスでは、「おば」という意味のauntを「unt」(partと同じように「アーント」)と発音する。アメリカでは、同じ単語を「ant」(pantsと同じように「ェアント」)と発音する。どちらも間違いではない。自分とは発音が違う単語を相手がどのように発音するかを私たちは理解しさえすればよい。

だから私は、日本語のアクセントで英語を話すことが嫌だという日本人に会うと悲しくなる。知り合いの日本人の10代の若者は「アメリカ英語のアクセントで話すと、私の英語が上手に思える」と言った。

日本語のアクセントで完璧な英語を話す日本人をたくさん知っている。また、文法をあまり理解できていないネイティブ・スピーカーや、はっきり言葉を発音しないので理解しにくいネイティブ・スピーカーもたくさん知っている。アクセントだけでは英語のレベルに関係はない。

おそらく、このことについて私が強く反応してしまうのは、シンガポール人はよくほかの国のネイティブ・スピーカーに、彼らが言う「変なアクセント」や「変なアクセントで話す」とバカにされてきたからだろう。私は、どんなアクセントにも「変」だとレッテルを張るべきではないと思う。それに、アクセントなしで話している人なんているのだろうか?アクセントが弱いか強いか、聞く人がそのアクセントに慣れているか慣れていないかだけの違いだ。

シンガポールでは、ほとんどの人がシンガポールのアクセントで話す。もちろん、長期海外で暮らしていたり、海外で育ったシンガポール人もいて、後から身につけたアクセントで話すようになることもある。それ以外の人にとって、シンガポールのアクセントは当たり前のものだ。

英語にはとてもたくさんのアクセントがあって、同じ言語を話しているとしても、ときどきお互いに理解するのが難しいこともある。でも大事なのは、このことを認めて、どんなアクセントを持っているにしても、お互いに理解されるように努力することだ。

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