「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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2013年11月29日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

The careful traveler (p. 6)

慎重な旅行者

「気をつけて!」

私の友人は、私がスペインやフランスに旅行へ行くと知ると、ほとんどの第一声がそれだ。バルセロナでバッグを切り裂かれたとか、グラナダでジプシーにローズマリーの小枝を押し売りされたとか、パリの地下鉄の駅でスリに遭ったなど、ほぼ全員が話せる出来事を持っていた。

旅行友だちと私はするべき用心について考えた。彼は結局、マネー・ベルトをつけることにした。私は自分のお金のほとんどをポーチに入れて、ポーチよりも大きいハンドバッグに隠すことにした。

グラナダは私の心を奪った魅力的なアンダルシア地方の町で、ローズマリーの小枝を握っているジプシーの女性たちにたくさん会った。彼女たちが旅行客の手にローズマリーを押し付けるのも私たちは目にした。たいてい、旅行客はいい香りのするそのハーブ(ローズマリーのこと)にとうとう数ユーロ払うことになった。

ルーブル美術館で私は、モナリザの前に集まった群衆の後ろに立った。隣にした中国の旅行ガイドが自分の旅行客グループにその有名な肖像画(モナリザのこと)に近づき過ぎないようにと注意を促した。彼は「スリはここで犯行に及ぶのが好きなのです。人々がここで写真を取るのにちょうど夢中になっているときに。ほら、そこにいる2人はスリです! 写真を撮るときは気を付けてください!」と言った。私は彼が話していた2人のスリを特定しようとしたが、分からなかった。

バレンシアで借りていたアパートの持ち主が役に立つアドバイスをいくつかくれた。2回スリに会ったことがあり、1回はパリ、もう1回はバルセロナだった。今彼は財布にチェーンをつけている。チェーンのもう一方の端をベルトにつけ、知らぬ間に盗られていることがないようにしている。彼は、「気を許してはいけない。知らない人があまりにも親しくし過ぎてくると思ったら、無視したらいいんだ」と行って、彼の教訓を終えた。

私たちがパリでしたことを、きっと彼はよく思わないだろう。駅で友人と私は目を凝らして地図を見ていて、私たちの借りているアパートへの道順を探していた。女性が私たちに近づいてきて明るい笑顔で尋ねた。「英語を話しますか?」 私たちが状況を説明すると、彼女は私たちが探している街区まで歩いて連れて行ってくれた。

友人と私は彼女の親切さに心を打たれた。この話を興奮して友人たちに話すと、驚いたことに、彼らは私たちをたしなめた。

「バカなことをするな! 運が良かっただけだ。彼女はきっと君たちが友だちのところに泊まるのだと思ったのだろう。下の階で誰かが君と会うことを話したんだろう?」

あの女性が本当に私たちに危害を加えようとしていたのかどうかは分からない。しかし、私は彼女が困っている人を助けてくれる人だと思う方がいい。疑いがあるときは、恐らく、リスクがあるとしても、信頼して信じる方がよい。それこそ旅の心得ではないだろうか?

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