「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら

記事全訳

2014年5月2日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Scots look to break free (p. 9)

スコットランド人は英国から自由になれるか

今年末までにイギリス連合王国は少し連結が弱く見えるようになるかもしれない。スコットランドの人々は9月にイギリスから離れて独立国家としてやっていくかどうか住民投票を行なう。

この独立の動きは当然多くの人々を動揺させた。スコットランドは、結局のところ、トニー・ブレアやゴードン・ブラウンを含め、イギリスの首相7人の生まれた場所なのだ。女王の夫はエディンバラ公で通っている。イギリスの魅力と洗練の典型的な象徴であるジェームズ・ボンドでさえスコットランド人だ。ジェームズ・ボンドの映画で最も有名な俳優ショーン・コネリーもスコットランドの伝統料理ハギスと同じくらいスコットランドらしい人だ。

スコットランド人がいなかったら、イギリス帝国が存在すらしなかったかもしれない。多くの人々が、イギリスはアダム・スミス(補足:スコットランド生まれ)の自由経済主義に乗って世界一の大国になれると言ったものだ。それに、ジェームズ・ワット(補足:スコットランド生まれ)と彼の発明した蒸気機関がなかったら、産業革命もなかっただろう。

スコットランド人は、ペニシリン(アレクサンダー・フレミング)、電話(アレクサンダー・グラハム・ベル)、テレビ(ジョン・ロジー・ベアード)など、自分たちの革新の歴史に正当な誇りを持っている。そしてもちろん、ゴルフを発明したのもスコットランド人だ。

日本人なら誰でも、スコットランド詩人のロバート・バーンズの作品の少なくとも1つには親しむようになるだろう。彼の詩、 「オールドラングサイン」はスコットランドの懐かしいメロディーとなっていて、伝統的に大晦日に歌われる。日本ではその歌は「蛍の光」としての方がよく知られている。

スコットランドはスポーツのこととなると支離滅裂な状態だ。サッカーとラグビーでは選手たちはスコットランドを代表し、イギリスを負かすのが好きだ。しかし、オリンピックではスコットランド人はグレート・ブリテンとして参戦する。

エディンバラのサイクリスト、クリス・ホイは史上最も成功したイギリス連合王国のオリンピック選手だ。これはふさわしいと私は思う。自転車もまたスコットランドの発明なのだから。

彼は2009年にエリザベス女王からナイトの称号を授与されて以来、サー・クリス・ホイとして知られてきた。サー・ショーン・コネリーもナイトである。

他のスコットランド人は、自分たちのことをイギリス連合王国の人間ではなく、スコットランド人と考えていたので、王国からのこの栄誉を拒否した。スコットランドとイギリスは実は、1707年以来同じ政治組織の一部であっただけで、『ブレイブハート』を見たことがある人なら知っての通り、その前の世紀のほとんどを犬のように戦って過ごしてきた。

メル・ギブソンのその映画(ブレイブハートのこと)の戦闘シーンは実は私の国アイルランドで撮影された。私の友人の何人かが映画で見られる。スコットランドの戦士たちがキルトをたくし上げてイギリスの射手に卑猥な言葉を叫ぶ有名なシーンで、友人たちがエキストラとして登場していた。

アイルランド人とスコットランド人は古ゲール語を共有しているが、今ではイギリスのアクセントと区別がつけられなくなっている。

よりおいしいウィスキーを作るのはどちらかについて、あるいは、ウィスキーをどうつづるかについて、アイルランド人とスコットランド人で意見が合うことはない。アイルランドではウィスキーはwhiskeyとつづるが、スコットランドではwhiskyとつづる。

私たちのほとんどが同意できることは、イギリスが嫌いだということで、9月のスコットランドの住民投票ではこれが反映されるだろうと予測している。

Top News
Easy Reading
National News
World News
Business & Tech
This week's OMG
Essay
  • スコットランド人は英国から自由になれるか

サイト内検索

2018年6月29日号    試読・購読   デジタル版
目からウロコの英文ライティング

読者の声投稿フォーム
バックナンバー