「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら

記事全訳

2015年8月14日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

New Taliban leader promises to continue Afghan insurgency (p. 1)

タリバン新指導者「聖戦続ける」

タリバン内での政治的不確実性は、アフガニスタンでの戦争を終わらせる見通しに疑いを投げかけた。8月1日、タリバンの新指導者は、グループ内の平和を望む者たちと未だに自分たちが勝てると信じている者たちの分裂を防ぐことを目的としたメッセージの中で、彼の支持者の結束を促しつつ、闘いを続けることを明言した。

タリバンの指導者に新たに選出されたミュラー・アクタル・ムハンマド・マンスール氏からの音声メッセージは、かつては結束していた最前線にいたタリバンのメンバーの間での亀裂が広がるなかで発せられ、タリバンの長きにわたる隠れた指導者であるミュラー・ムハンマド・オマル氏が死亡していたとするアフガニスタン政府の報告書をそのグループ(タリバンのこと)が認めた2日後のことだった。

30分間の演説で、マンスール氏であるとされる男は、内部の反対意見をなだめ、タリバン内での自身の政治的基盤を確固たるものとするために慎重に言葉を選んでいるように見え、彼の戦士たちに結束を続け、アフガニスタンにイスラム教国家を設立するために聖戦を続けるよう促した。

マンスール氏の最優先課題は、彼の選挙に対する内部での反対を抑えることであるようだった。ミュラー・オマル氏の息子のヤクーブ氏は、パキスタンの都市クエッタで行なわれたマンスール氏の選挙を公に拒絶している。彼は、投票がマンスール氏を支持する小さな派閥内で行なわれたと述べ、タリバンの司令官全員を含めての再選を求めている。

Easy Reading

India to become world's most populous country by 2022 (p. 3)

インドの人口、22年に世界一へ

インドは10年もしないうちに中国を追い抜いて、世界で最も人口の多い国になろうとしている — 前回予測されたよりも6年早い — と、国連が7月29日に発表した。ナイジェリアは2050年までにアメリカを越して、3番目に人口が多い国になると見込まれている。

現在の世界人口73億人は、2050年に97億人に達し、2100年には112億人に達すると予測されている。最も伸びが大きいのは発展途上の地域で、特にアフリカが大きい。

専門家らは、アフリカが今後35年間の世界人口の伸びの半分以上を占めると予測する。アフリカの10カ国 — アンゴラ、ブルンジ、ニジェール、ソマリア、ウガンダ、タンザニア、ザンビア — は2100年までに人口が5倍以上になると予想されている。

Easy Reading

Saudi Arabian king leaves France amid local outrage (p. 3)

ビーチ占拠のサウジ国王、南仏休暇を切り上げ

サウジアラビア国王のサルマン・ビン・アブドルアジズ・サウド・サルマン氏は、8月2日にモロッコへ向けてフランス南部を発った。彼の別荘の外の公共のビーチを閉鎖していることをめぐって住民15万人からの嘆願を受けた後、3週間の予定だった滞在を切り上げた。

フランスの地方自治体職員のフィリップ・カスタネット氏は、取り巻き1000人の約半数が一緒に発ったと話した。出発の理由は明らかにしなかった。

王と王の取り巻きによる3週間と予定されていたヴァロリスの海岸にある一家の別荘への訪問は、地元の経済にとって恩恵となると予想されていた。

しかし、プライバシーとセキュリティ上の理由による公共のビーチの閉鎖は、地元の非難を巻き起こした。ビーチから別荘までのエレベーターを王が設置したことも、何人かの住民の怒りを引き起こした。

National News

TPP delays likely to affect other trade deals (p. 4)

TPP合意見送り、他の自由貿易交渉にも影響か

ハワイで開かれた閣僚会合で7月31日、環太平洋経済連携協定が締結ができなかったことは、長年にわたるデフレーションを経て経済にてこ入れをするための戦略の鍵として自由貿易を推進してきた安倍晋三首相に大打撃となった。

TPP交渉でのさらなる遅れは、日本が確保しようとしている他の自由貿易交渉に向けた努力にも悪影響を及ぼす可能性があると、貿易観測筋は話している。

National News

Abe adviser retracts security bill remarks (p. 4)

磯崎首相補佐官、「法的安定性」発言を撤回

野党から反発を招いた後、安倍晋三首相の主要なアドバイザーは8月3日、現在参議院で議論されている安全保障関連法案が憲法に合致している必要性を軽視した発言を撤回した。

「安全保障法制に関しては、法的安定性が重要だと確かに認識している」と彼は話し、自身の発言が「重大な誤解につながった」と付け加えた。

National News

Park urges Abe to uphold 1995 stance: Okada (p. 4)

朴大統領、安倍首相に村山談話の継承求める

韓国の朴槿恵大統領は8月3日、安倍晋三首相が今月公表する終戦を記念する声明は、第二次世界大戦中の日本の行動を「侵略」と表現して、謝罪した1995年の声明を忠実に守るべきだと話したと、朴大統領と会談した民主党の岡田克也代表が述べた。

朴大統領は、安倍首相が当時首相だった村山富市氏の声明を再確認することは「重要だ」と語ったと、ソウルで岡田代表が報道陣に伝えた。

National News

2nd Tokyo ward to recognize same-sex couples (p. 4)

世田谷区、 同性カップル公認へ

東京の世田谷区は、性的少数派の権利をサポートするために、早ければ11月から同性でのパートナーシップを認める証明書を発行しはじめると述べ、そうした措置をとった日本で2番目の地方自治体となった。

証明書には法的拘束力はないが、世田谷区の職員は7月29日に、この措置は同性愛のカップルに対する「不利を廃絶するのに役立つ」と述べた。同性婚は日本では法制化されていない。

World News

Beijing selected to host 2022 Winter Olympics (p. 5)

2022年の冬季五輪、開催地は北京

北京は7月31日、2022年冬季五輪の開催地に選ばれ、冬季と夏季両方のオリンピック開催を与えられた初の都市となった。

2008年夏のオリンピックが開催された中国の首都(北京のこと)は、天然の雪がないにもかかわらず、最有力候補地のカザフスタンの都市アルマトイと競う投票となった。

北京は安全で信頼性のある選択肢だと見られた。

World News

Obama heralds unprecedented climate plan (p. 5)

オバマ大統領、CO2規制計画発表

アメリカのバラク・オバマ大統領は、アメリカの発電所からの排出量を劇的に削減する計画を明らかにし、気候変動が重大な危機をもたらすと警告した。

オバマ大統領は8月3日、その計画の前例のないほどの二酸化炭素排出制限は、アメリカが気候変動と闘うためにとった中で「唯一の最も重要なステップ」だと述べた。

「気候変動に関しては、手遅れということがある」とオバマ大統領は述べた。

World News

Greek shares dive as stock exchange reopens (p. 5)

ギリシャの株式市場再開、株価は急落

ギリシャは、強制された5週間の閉鎖の後、株式市場を再開した8月3日、数十年間で最悪の株式市場の大不況を味わい、新しいデータでは、救済措置に頼る同国の縮小する経済に対する暗い展望を示した。

投資家たちが6年近く続く同国の経済ドラマにおける最近の展開に反応する機会を6月下旬以来初めて得たのを受け、主要な株価指数は、再開から数分で22%以上下落した。

「パニックのような感覚がある」とアナリストは述べた。

World News

Barnacles on debris may hold clues to MH370 (p. 5)

マレーシア航空機の翼の一部、見つかる

フランスのレユニオン島で打ち上げられた飛行機の破片を覆うフジツボは、昨年239人の乗客と乗組員とともに消えて行方不明になったマレーシア航空機の謎を解く役に立つかもしれない。

マレーシアは8月2日、残骸の破片はボーイング777機のもので、行方不明になっているMH370便と同じモデルだと発表した。その上に付着したフジツボを分析すれば、捜索する区域を数十から数百キロメートルに狭められる可能性があるが、特定の地点に絞ることはできないだろうと専門家らは述べた。

Science & Health

Picky eating can signal child's emotional woes (p. 6)

好き嫌いと精神疾患に相関関係

食べ物の好き嫌いが激しい就学前の子どもは、精神的な健康上の問題を抱えやすい傾向もあるかもしれないと、アメリカのある研究が示唆している。食事の好みが激しく選別的な子どもは、うつや社会的不安などと診断される可能性が、さまざまな食べ物を食べる子どもの2倍以上だった。

この研究は8月3日にアメリカのトップクラスの医学雑誌『ペディアトリクス』に掲載された。

この調査には関わっていないクリーブランドの小児科医、アーサー・レビン医師は、食べ物の好き嫌いは親が彼の診療所に持ち込む心配事のなかで多いものに入っていて、この研究は「誰を心配すべきなのかを我々が理解するのに役立つだろう」と話した。

Science & Health

Study says fat should be the sixth taste (p. 6)

「脂味」は6番目の味覚?

脂味は特異な感覚を引き起こすため、基本的な味覚である甘味、酸味、苦味、塩味、うま味と並んで、脂味の位置が必要だと、アメリカの研究者らが新しい研究で発表した。研究を『ケミカル・センシス』誌に発表したパーデュー大学の研究者たちによると、この6番目の味覚は、油っぽさと味という意味のラテン語の組み合わせであるoleogustusとして知られるべきだという。「脂の味覚成分は、不快なため、苦いまたはすっぱいと表現されることが多かったが、新たにわかった証拠で、脂肪酸は、基本的な味覚を構成するものを定める基準のもう一つの要素を満たす特異な感覚を引き起こしていることが明らかになった」と栄養科学のリチャード・マット教授は語った。

Science & Health

Sporty teen girls live longer: study (p. 6)

10代少女の運動、その後の健康に好影響

団体競技や運動を思春期にすることは、女性に長く続く恩恵がある可能性があり、後の人生でがんなどで死ぬリスクを下げさえするかもしれないと、新しい研究が7月31日に示した。女性の10代での運動の頻度を分析した研究者たちは、週にたった1.3時間運動をしただけで、年をとってから好ましい影響があることがわかった。その研究によると、10代の頃によく動いていた女性はがんで死ぬリスクが16%低く、あらゆる死因での死亡リスクが15%低かったという。この発見は、『キャンサー・エピデミオロジー、バイオマーカーズ&プリベンション』誌に掲載された。

Science & Health

Boy, 8, youngest to receive dual-hand transplant (p. 6)

8歳少年に両手移植手術、子どもでは初

重い感染症で手をなくした8歳の男の子が両手の移植手術を受けた最年少の患者となったと、外科医が7月28日に述べた。ザイオン・ハービー君の前腕は分厚く包帯が巻かれているが、病院での記者会見で7月28日に何度か笑顔を見せるなかで、彼の手はよく見えた。バルティモアの郊外、メリーランドのオウィング・ミルズ出身のこの男の子は、6月にフィラデルフィア小児病院で移植手術を受けた。医療チーム40人がスチール製のプレートとスクリューを使って、古い骨と新しい骨を接合した。外科医らはその後丹念に、ザイオン君の動脈、静脈、筋肉、腱、神経を再びつなぎあわせていった。

Science & Health

Glaciers melt to lowest level on record: study (p. 6)

氷河の縮小レベル、観測史上最高に

8月3日に発表された研究によると、世界の氷河は過去120年の観測史上見られなかったほどのレベルにまで減少しているという。

平均で、氷河は現在、毎年厚さ50から150センチの間で減少していると、『ジャーナル・オブ・グレイシャオロジー』誌に掲載されたその研究は報告している。

「このペースは、20世紀でこれに対応する平均値の2〜3倍以上だ」と世界氷河モニタリングサービスのディレクターで筆頭著者のマイケル・ゼンプ氏は述べた。世界の氷河が現在解けている割合は、科学的な観測が追ってきた120年間で前例のないほどのレベルで、恐らく、もっと長い期間でも前例はないだろうと、ゼンプ氏は付け加えた。

Science & Health

Mental health suffers most in nuclear accidents (p. 6)

原発事故、精神的被害の方が重大

原発事故に巻き込まれた人々は、放射線によるその他の害よりも、うつ病や心的外傷後ストレス障害といった重い心理的な障害に苦しむ可能性のほうが大きいと、7月31日に科学者らが発表した。自宅から避難しなければならないことや、純粋に恐怖だけでもトラウマの一因となる要素だと、『ランセット』誌に掲載された研究で科学者らは述べている。この研究は、原発事故が広範囲で死亡や身体的な病気を引き起こしたとする誤解に反論している。「ほとんどの原発事故では、生命を脅かす量の放射線にさらされる人は極めて少ない」と、福島県立医科大学の大津留晶氏は書いている。

This week's OMG!

Police in China seize Viagra-laced liquor (p. 8)

中国で「バイアグラ入り」の酒販売

中国当局はバイアグラなどの勃起不全治療薬を作るのに使われる化学物質が混入された酒を数千本押収したと、職員らが述べた。

柳州市の製造業者2社が、同社の「白酒」製品に、「バイアグラ」と「シアリス」というブランド名でのほうがよく知られている化学物質のシルデナフィルやタダラフィルを含む物質を添加していたことが判明したと、地元の食品薬品管理局が発表した。

「白酒」はもろこしや麦から蒸留され、独特の風味を持つアルコール度数の高い中国の伝統的な酒だ。

同製造業者は同社の製品を「カンフーアルコール」「生命に栄養を与える酒」と呼び、南部の広西省でほかのレーベルと一緒に販売していたと、8月1日に発表され、5300本以上を押収し、添加物1200キログラム近くを押収したと付け加えた。

中国では媚薬とされる医療目的の飲み物を醸造する長い歴史があり、伝統的に動物のペニスで作られてきた。シルデナフィルなどのような化学物質は、中国の法律で食品や飲料に使われることは禁止されているが、以前にも不法に添加されたことが報告されて、大ニュースになった。中部の湖北省の醸造所オーナーが昨年、自身の製品にシルデナフィルを添加したとして拘束されたと、その報告には書かれている。

Essay

Who's stronger? (p. 9)

強いのはどっち?

現在のグローバルな情報時代に生きる若者が必要とする重要な能力は、批判的思考というスキルだ。批判的に思考できるようになるということは、前提に疑問を持ち、一般化を避け、証拠を吟味し、背景を分析するということだ。

私は単純な真実の時代に生まれ、その頃は、物事は黒か白かに別れ、広く受け入れられた「事実」は疑問を挟まれなかった。例えば、私が子どもの頃、男性の方が女性よりも強いということは当たり前だと思われていた。男の方が体格が大きくで筋力が強い。女性の方が小柄で筋力が弱い。女性は「弱い方の性」だった。

「男と女、どちらが強い?」と誰かが聞くときはいつも、答えは「男だよ、もちろん!」と決まっていた。それは明白だった。誰もが同意した。常識だ!

常識はしかし、いくらか批判的思考を当てはめてみると、崩れ去ることが多い。最初のステップは、一般化に気づくことだ。私の世代の子どもたちにとって、「男は女よりも強い」という主張は、「すべての男性がすべての女性よりも強い」という意味を含んでいた。これは正しいだろうか? もちろん違う!

身の周りでたくさんの証拠を見つけることができる。家族や友人、知人の中に強い女性がいることを私たちのほとんどは知っている。

スポーツの世界にはもっと多くの証拠が見つかる。平均的な男性は平均的な女性よりも身体的に強いということは本当かもしれない。しかし、平均的な男性は、三宅宏実さんのような重量上げ選手や、ライカ恵美子さんのようなプロボクサー、吉田沙保里さんのようなオリンピックに出場したレスラーと、強さで競って勝てる見込みはないだろう。

批判的思考のもう1つのステップは、定義を明確にすることだ。「男は女よりも強い」と言う前に、あなたは「強い」という言葉で何を意味しているのか定義しなければならない。それに、強さはさまざまに定義されうる。

幼児死亡率も1つの定義の仕方だ。医師は、男児の方が出生時に弱いため、男児の方が女児よりも死亡する率が高いことを昔から知っていた。

寿命もまた1つの定義の仕方だ。日本では女性の平均寿命は86歳。男性については79歳でしかない。世界保健機関によれば、世界中のどの国でも、女性の方が男性より長生きするという。世界中の110歳以上の人のうち、95%以上が女性だ。

健康は強さを測る3つ目の方法だ。女性は男性よりも強い免疫系を持っていて、病気に対する抵抗力が強いことが、研究で示されている。女性は男性よりも痛みに強く、男性よりも低い気温にも耐えられることを示している研究もある。

批判的思考の最後のステップは、社会的な背景を分析することだ。社会が男の子には強くて活発になるように促すのに、女の子には弱く受動的になって社会に合わせるようにしているとしたら、「男は女よりも強い」という結論を出すことはできない。

では、男と女、どちらが強いだろうか? 最もいい答えは、男性の方が女性よりも強い面もあるが、女性の方が男性よりも強い面もあるになる。一般化する必要はない。みんな人それぞれなんだから!

Top News
Easy Reading
National News
World News
Science & Health
This week's OMG!
Essay
  • 強いのはどっち?

サイト内検索

2018年6月29日号    試読・購読   デジタル版
目からウロコの英文ライティング

読者の声投稿フォーム
バックナンバー