「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2015年10月23日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

Brave Blossoms beat U.S. to end stunning World Cup run (p. 1)

ラグビー日本代表、1次L 敗退

日本は10月11日、アメリカを28対18で破り、ワールドカップでの見事な戦いを終え、グループ内の試合で3勝をあげながらも準々決勝進出を逃した初の国になった。

ブレイブブロッサムズ(ラグビー日本代表の愛称)は、初戦のプールBの試合で南アフリカを34対32で破り、すでにワールドカップ史上最大のセンセーションを巻き起こした。

「選手たちはみんな自分を超越するプレーをした。よくがんばり、本来の精神でプレーした。ラグビーにふさわしい、ラグビーらしいプレーをした」と、日本のエディ・ジョーンズ監督は語った。監督は今回でこの職務を離れる。「日本代表とするべき課題はこなした。日本チームを引き受けたとき、私は代表チームにプライドを取り戻したいと思った。それはもうできたと思うので、このポストを引き継ぐのは別のだれかの番だと思う」

「複雑だ。私たちの目標は準々決勝に進むことだったので、結果に満足している選手はチームに一人もいないと思う」と、フルバックの五郎丸歩選手は語った。五郎丸選手もチームメートの多くと同じく、感情をコントロールできずにいた。

南アフリカ戦の番狂わせの後、日本はグループBで2位のスコットランドに45対10で破れ、その後、サモアに26対5で勝った。アメリカは、サモアに25対16、スコットランドに39対16、南アフリカに64対0で破れ、誇りのためだけに日本との試合に挑んだ。

Easy Reading

Physical fitness of elderly in Japan continues to improve (p. 3)

高齢者の体力、過去最高に

日本の高齢者の体力は、男性も女性も向上を続けていると、10月11日にスポーツ庁が発表した2014年度の調査結果が示した。

腹筋運動、片足立ち、握力などを含む一連の体力測定で、75-79歳の年齢グループは60点満点中男性で35.34点、女性で35.14点だった。どちらも、同庁の調査が高齢者を対象に入れ始めた1998年以来過去最高だった。

65-69歳の男性は42.56点、70-74歳の女性は39.05点で、どちらも過去最高だった。

文部科学省はこの力強い結果の背景には、高齢者の中で健康意識が高まっていることがあると考えている。「運動する習慣は、高齢者が健康でいるために重要だ」と文科省の職員は述べた。

Easy Reading

Positive feelings toward Catholic Church up in U.S. (p. 3)

米国民のカトリック教会への印象が向上

10月7日に発表されたピュー・リサーチ・センターの調査によると、ローマ法王がアメリカを初めて訪れて以来、アメリカでは、ローマカトリック教会への肯定的な感情が高まっているという。

全体で、調査を受けたアメリカの成人の28%が、ローマ法王が要因となって、カトリック教会に対してより肯定的な見方を持ったと答えた。世界のカトリック教徒10億人のトップ(ローマ法王のこと)による9月の訪問には、アメリカ議会でのスピーチもあった。

この好意的な方向へのシフトは、リベラル層でより多く見られ、39%が教会により肯定的な見方を持つようになったと答えている。一方、保守層では22%だった。ローマ法王が原因で教会に否定的な見方をするようになった保守層は10%で、一方、リベラル層は4%だった。

この調査は10月1日から4日までの間に、1,000人のアメリカの成人を対象に実施された。

National News

Japan, Iran agree on bilateral investment pact (p. 4)

日本・イラン、投資協定締結で合意

岸田文雄外相とイランのモハメド・ジャワド・ザリフ外相は10月12日、二国間の投資協定で合意を結んだ。

この2人の外務大臣は、共同記者会見で、経済協力、環境、医療などさまざまな分野について話し合う日本とイランの協力のための協議会を立ち上げることで一致したと述べた。

イラン政府への国際的な制裁が春にも解除されることが予想され、日本政府は、日本の企業にイラン市場へ進出してもらいたいと考えていると、関係者は述べた。

National News

Nanking docs may cost UNESCO funding (p. 4)

南京登録をめぐり、ユネスコ拠出金停止を検討

菅義偉官房長官は10月12日、政府はユネスコへの金銭的な貢献を停止するか、減額を検討すると述べた。南京大虐殺に関する中国の文書を「世界記憶遺産」のプログラムに追加するというこの国連の団体(ユネスコのこと)による決定を受けてのことだ。

日本による1937年の戦時中の南京占領後に広範囲で起こなわれた中国人の殺害に関する中国政府の関係書類は、ユネスコが新たに追加した遺産の中に含まれている。日本政府は、この国連団体がそれらの文書を登録したことについての中立性について疑問を感じている。

National News

Gutted cafe where 3 died defied safety orders (p. 4)

火災の広島雑居ビル、消防訓練指導に従わず

火災で焼け落ち、3人の遺体が発見された広島のメイドカフェの2階は、複数の小さい窓のない部屋に分かれていて、占有者が火災に気づきにくくなっていたことが10月13日に分かった。

警察は広島市中区の黒猫メイドカフェの間取りが被害者の避難を遅れさせ、災難につながったと疑っている。2人の男性と1人の女性が亡くなって発見された。

消防署によると、このカフェは消防訓練を行なうようにという当局からの5回の警告に従わなかったという。

National News

Manga artist pulls drawing mocking refugee (p. 4)

難民中傷イラスト、漫画家がフェイスブックから削除

シリアからの難民に自己中心的なたかり屋というレッテルを貼ったイラストをフェイスブックに載せた漫画家は、この漫画家に作品を歪曲されたと非難する写真家からの要請を受けて、イラストを取り下げた。

10月8日、この漫画家のフェイスブックのアカウント上で、はすみとしこ氏は謝罪を拒否し、彼女のイラストは、著作権侵害には当たらないと主張した。このイラストは、カナダ人のドキュメンタリー写真家ジョナサン・ハイアム氏が、レバノンの難民キャンプにいた少女を撮影した写真を基にしている。

はすみ氏は、このイラストはレイシズムではないと言っている。

World News

N. Korea a 'global military power,' says Kim (p. 5)

北朝鮮、朝鮮労働党創立70年で軍事パレード

北朝鮮の金正恩第1書記は10月10日、北朝鮮の与党の70周年を記念し、金正恩氏の3代目のリーダーシップを吹聴する豪華な軍事行進で演説し、彼の国(北朝鮮のこと)はアメリカによってもたらされるいかなる脅威にも立ち向かう準備ができていると宣言した。

膝を曲げずに行進する兵士たちと、ミサイルとドローンが蛇行する行列を特徴とする行進で、金氏は、北朝鮮は「貫けない要塞と、世界的な軍事強国」になったと述べ、演説中に途中で何度か拍手喝采が入った。

World News

Tunisia group wins Nobel for democracy push (p. 5)

ノーベル平和賞はチュニジアの民主化団体

チュニジアの労働者、ビジネスオーナー、人権活動家、弁護士たちによる連合が、革命「アラブの春」の火付け役となったこの北アフリカの国(チュニジアのこと)を民主化に向けて推し進め、紛争から遠ざける重要な時期に仲介役を果たしたことで、10月9日にノーベル平和賞を獲得した。

ノルウェーのノーベル委員会は、長い間の独裁者を失脚させたチュニジアでの2011年の革命の後で、「チュニジア国民対話カルテット」が「多元的な民主主義の構築に決定的な貢献をした」ことに触れた。

World News

Soviet missile downed Flight 17: Dutch probe (p. 5)

マレーシア機襲撃、最終報告

親ロシア派の分離主義者が支配するウクライナの地域から打ち上げられたソビエト製のミサイルが、マレーシア航空のジェットライナーを2014年の7月17日に撃ち落とし、乗っていた298人全員を死亡させたと、オランダの調査委員会は10月13日にMH17便についての待望の報告書で発表した。

国際的な調査を率いたオランダの調査チームは、誰がロケットを打ち上げたのかを特定していないが、この悲劇は、東ウクライナの領空が旅客機に対して完全に閉ざされていたら起こらなかっただろうと述べた。分離派は、当時、ウクライナ軍と戦っていた。

World News

Dentist who killed Zimbabwe lion free to return (p. 5)

ジンバブエ、人気ライオン殺害した米歯科医を訴追せず

セシルと呼ばれる有名なライオンを殺したアメリカ人歯科医の送還を要求しないと、大臣が10月12日に述べた。ウォルター・パーマ―氏は、ジンバブエの狩猟に関する法律に違反していなかったので、ジンバブエに「旅行客」として安全に戻ることができるようになったと、環境大臣のオプラ・ムチングリカシリ氏は報道陣に述べた。

パーマー氏は、旅行客や研究者に特徴的な黒いたてがみでよく知られるライオンのセシルを殺した人物と特定された。

アドバイザーを通じて、パーマー氏はコメントを拒否した。

Science & Health

Link between height, cancer risk: study(p. 6)

身長が高いほど、がんリスク高まる

特に女性において、身長が高いことはがんのリスクが高まることと関連していると、スウェーデンの500万人の身体と健康のデータを基にした研究が10月1日に示した。

身長が1メートルから10センチ高くなるごとに、がん発症率が男性で10%、女性で18%高まると、研究チームはバルセロナで開催された医療会議で報告した。例えば、身長172センチのスウェーデン人の女性は、身長152センチの女性に比べてがんにかかる確率が約3割高い可能性がある。

この調査結果が、異なる気候や食事、遺伝的背景のもとで暮らす人々に適用できるかどうかは明らかになっていない。

Science & Health

Third of soccer players have mental issues(p. 6)

プロサッカー選手、3割に心の問題

国際プロサッカー選手会(FIFPro)が10月6日に発表した研究によると、プロのサッカー選手の3割以上がうつ病や不安の問題を抱えているという。

調査対象となった607人の現役選手の38%と、引退した選手219人のうちの35%が、質問を受ける前の4週間にうつ病の症状や不安があったと報告したことが、この調査によってわかった。

この研究はまた、深刻なケガとうつ病との間に相関関係があるという証拠を提示し、こうしたケガを3回以上被った選手は、精神的な健康問題を報告する可能性が2~4倍高まることもわかった。

Science & Health

Sitting no worse for health than standing: study(p. 6)

「座る」と「立つ」、健康リスクに差なし

定期的に運動していれば、座っていることは立っていることよりも悪くはないと、イギリスの研究が10月12日に発表し、座位・立位両方対応のワークステーションの健康上の利点に疑問を投げ掛けた。この研究はまた、他の研究を基にして「どれだけの運動をしていようと、あまりに長時間座ったままでいることは健康に悪い」とする英国の国営保健サービス(NHS)の忠告にも異を唱えた。エクスター大学の研究者らは、16年以上にわたり5,000人を追跡調査した。「エネルギー消費の少ないじっとした姿勢は、座っていようと立っていようと、どんなものでも健康に有害な可能性がある」と、エクスター大学のスポーツ健康科学部のメルビン・ヒルズドン氏は述べた。

Science & Health

EU agency says bugs good to eat(p. 6)

昆虫は栄養価の高い食品、EU調査

イエバエ、コオロギ、カイコは、鶏肉、牛肉、豚肉に代わる安全で栄養価が高く環境にやさしい食品になり得ると、欧州委員会が委託して実施された研究が発見した。しかし、これらは動物飼料で見かけるほど、欧州のレストランのメニューには見当たらないだろう。昆虫を育てることは、牛や豚に比べて温室効果ガスやアンモニアの排出量が少なくなり、飼料をタンパク質に変換する効率も高くなると、この研究は示した。EUで人間の食料や動物飼料として大きな可能性を持つと考えられている昆虫の種類には、イエバエ、ミールワーム、コオロギ、カイコが含まれる。

Science & Health

U.K. bans smoking in cars with children(p. 6)

イギリスで、子ども同乗時の車内喫煙を禁止

子どもが同乗している車内での喫煙を禁止するイギリスの新しい法律が10月1日に施行されたが、警察の報道担当者らは、これを執行するのは「極めて難しい」と述べた。

イングランドとウェールズだけに適用されるこうした法改正により、窓を開けていても、車内に18歳以下の子どもを同乗させて喫煙しているのを発見された者は、50ポンド(9,000円)の罰金が科せられる。子どもを受動喫煙の影響から守ることを目的としたこの法律では、これと同じ状況で乗客の喫煙を止めさせない運転手も罰金を科せられる可能性がある。スコットランド議会は、これと同様の法律を来年に提案することを検討している。

Science & Health

Scientists discover why elephant cancer is so rare(p. 6)

ゾウにがんが少ない理由を解明

どうして、ゾウのがんがそんなに珍しいのだろうか? この謎かけの回答はいつか人間の治療に役立つかもしれないと、2つの新しい研究が示している。

ゾウはがんの発生を抑制する主な遺伝子を非常にたくさん持っていることを科学者らは発見した — (その遺伝子の)コピーが人間に1つあるのに対し、ゾウは20個持っている。この遺伝子は、傷ついた細胞が自己修復したり、がんを引き起こす物質にさらされたときに自然消滅することを助ける。これらの研究の1つを率い、ユタ大学で小児がんを専門とするジョシュア・シフマン氏は、ゾウのがん発生を抑制する細胞を真似した治療法の研究のための資金を求めている。

同氏の研究は10月8日、米国医師会雑誌(JAMA)で発表された。

This week's OMG

Orphaned sisters reunite after 40 years(p. 7)

幼少期に生き別れた姉妹、異国で偶然の再会

孤児になった韓国人の2人の姉妹が、アメリカ人の別々の両親に養子にとられて40年が過ぎた後、同じ病院で雇われ、最近、フロリダで偶然に再会した。

ホリー・ホイル・オブライエンさん(46)と異母妹のミーガン・フューズさん(44)は、1970年代半ばに父親が列車にひかれ、生まれ育った韓国の釜山で孤児になった。ミーガンさんは1976年に最初に養子にとられ、ニューヨーク州キングストンで育った。ホリーさんはそれから2年後に養子にとられ、わずか480キロしか離れていないバージニア州アレクサンドリアで暮らすこととなった。実の(生物学上の)妹のことが頭から離れず、ホリーさんは数年後に韓国の孤児院に連絡したが、妹の記録は全く見つからなかった。

今年、二人はフロリダ州サラソタのドクターズ・ホスピタル(病院の名前)でわずか数カ月違いの時期に雇われ、再会の可能性が高まった。ミーガンさんは、1981年から家族で引っ越してこの地域に住んでいた。ホリーさんは2005年にサラソタにやってきた。

二人は同じシフトで働き、普通では考えられないほどの類似点があることがすぐにわかったと、この姉妹は共同インタビューで話した。彼女たちはDNA検査キットを注文し、検査機関の結果により、二人が姉妹であると証明された。

Essay

Cool in Japan (p. 9)

日本のクール

毎週月曜日、テレビ東京にチャンネルを合わせて『Youは何しに日本へ?』という番組を見る。前置きは単純だ―カメラ・クルーが成田国際空港で外国からの訪問客を待ち構え、なぜ日本に来たのかを尋ねる。訪問客が答え、実に面白いストーリーのある旅行者の場合は、その旅行に番組がついていく。

これは確かに面白くて、月曜日の夜の多くを、日本人のカメラマンが、さまざまなラーメンをたくさん食べるチリ人や、日本の広告のオーディションに出るフランス人のモデルの卵を追うのを見て過ごしてきた。しかしこれもまた、この1年の日本のテレビのトレンドの多くを占めていた。日本人以外の訪問客が日本がどれだけ素晴らしいかをインタビューされるという最も人気のあるジャンルだ―日本人の視聴者のために。

TBSの『所さんのニッポンの出番!』と、テレビ朝日の『スゴ〜イデスネ!!視察団』も、日本列島の外にいる人たちが日本についてよく思っていることに迫っている。これらの番組のエピソードを十分に見ると、この国の文化のありとあらゆる面がすごいと確信するだろう。

日本は、世界に自国の文化を広げたいと思っていて、政府さえもこの目的を達成することを目指した「クールジャパン」と呼ばれるプログラムを持っている。それでも、まるでこの国は、海外の人に認めてもらうというよりも、日本人に世界は日本のことをクールだと思っていると分からせたいだけなのではないかと思うときがある。

『Youは何しに日本へ?』のようなテレビ番組は好例で、ユニバーサルスタジオジャパンが今年初めにオープンした「クールジャパン」ゾーンもそうだ。そのテーマパーク(USJのこと)にあるこのコーナーは、『進撃の巨人』や『新世紀エヴァンゲリオン』など世界で人気の日本のシリーズに特化したアトラクションを呼び物にしている。しかし、それは大阪に建てられている―確かに、訪問中の旅行客も行くかもしれないが、大部分の顧客は日本人だ。そのコーナーはとても成功したので、1月にまた戻ってくる。

私は日本がトレンディーになろうとする必要がなかった頃のことを覚えている。私が子どもだった90年代のアメリカでは、その国(日本のこと)は、クールと同義とされることが多かった。ドラゴンボールZやセーラームーンなどのアニメは人気番組で、任天堂やセガのテレビゲームは学校で必須のアイテムだった。しかし今では、日本のポップカルチャーの輸出は、かつてほど熱くなく、クールさの冠を現在有している韓国との厳しい競争に直面している。

このことはおそらく、『Youは何しに日本へ?』のような番組がそんなに人気になっている理由の一つかもしれない―そうした番組は、日本の世界的な地位がかつてほど輝いてはいないとしても、視聴者に多くの人が未だに日本をすごいと思っていることを思い出させるチャンスを提供する。それでも、これらの番組が非常に面白いだけに、世界中に共有したいような素晴らしい新しいものを見つけて育てていくのに時間を費やした方がよいのではないかと思わずにはいられない。

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