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2015年12月25日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

The weight of memories (p. 9)

思い出の重さ

年末が近づくと、数について考えずにはいられない。人によっては、これはどれくらい体重が増えたか、減ったか、いくら稼いだか、何人の新しい友人に会ったかなどかもしれない。でも私にとっては、考えている数字は年のことだ。来年で私が日本で初めて仕事をするようになってから12年になり、私がまさに初めて来日してからは18年になる。今年は、かなり特別な友人たちグループと私の友情の10周年「フレンドニバーサリー」(友だちの記念日)記念でもあった。

多くの人々が私の日本での経験を明るいものにしてくれた。まず、私には、忍耐強く、関大で、陽気な感謝すべきホストファミリーがいる。彼らは教科書で読んだような典型的なタイプではなかった。料理が大好きなホストファザーがいた。また、夫を煩わせたり、夫に煩わされたりすることなくパーティーを開けるようにするためだけに別のアパートを購入している60代のホストマザーがいた。ホストグランドマザーが企業の最高経営責任者であるホストファミリーもいた。

それから、初めて勤めた日本の会社で出会った日本人の同僚がいる。私たちの部署は専用の部屋があったので、私の恥ずかしい日本語の誤りを目撃したのは私の直接のチームメンバーだけだった。このことにこれからもずっと感謝するだろう。内線の電話で私があまりにも丁寧過ぎるときや、外線や重要な顧客にあまりにもカジュアル過ぎるときでさえ、彼らはとても面倒見が良かった。彼らは社内の政治が分かるように私に説明してくれたし、一緒に過ごすのもとても楽しかった。

私が一緒に働いたり、雇ってくれていたりしたそのほかの人々も忘れることはできない。自分で事業を持っている人たちから、教師やライター、ボランティアなどに至るまで、誰もが本当に影響を与えてくれた。そしてもちろん、10年前からの付き合いの友だちもいる。ハロウィンの夜にゲイバーの外でできた友情のいくつが長い年月が経っても続くかどうかは定かではないが、私たちのものは長い間続いている。きっと暮らしは、こうした人々の誰が欠けても同じにはならなかっただろう。

今年、ある友人が転勤で数ヵ月アメリカで過ごした後で、日本に戻る準備をしている。彼女はどこかから戻るときに、余分なものは何も買っていないのにスーツケースが重くなる現象を呪った。彼女への私の返事は「思い出、重いでー」(思い出ってものは重くなるのよ)だった。

思い出は―いいものも悪いものも―私たちがどこへ行くにも持ち歩くものだ。悪いものしかないと足を引っ張られているように思う人もいる。しかし、私には重荷になるというよりも、小さいながら重大な友人たち、同僚、ホストファミリーのグループとの思い出すべてのことを考えると、来年をむしろ軽い気持ちで迎えられる。

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