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2017年1月27日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Make the most of it (p. 9)

無駄にしないで

「今日はいいお天気ですね」、私たちのリスニング練習で最初の話者が言った。「そうですね。無駄にしないようにしましょう(Make the most of it)」が応答だった。

私の生徒たちは、その応答に戸惑っていた。「Make the most of it?」と彼らは尋ねた。私は、それは与えられたものを無駄にしないという意味だと説明した。このリスニング練習について言えば、いいお天気の日を無駄にしないようにとの意味だった。

私はいつでも物を無駄にするのが嫌いだ。食べ物、時間、お金…。服の買い物で失敗するといつも、服を捨てなければならないのが心苦しい。日本では、近くに古着屋がないこともあり、ニュージーランドにいたときよりも服を捨てることが多い。ニュージーランドでは、中古の服などの品物をチャリティー活動用に受け取ってくれる店が、家からちょっと歩いたところに見つかるのは珍しくない。

日本では中古品は、ニュージーランドほど安くない。日本の中古品店でかび臭い通路を歩き回ると、「中古品でおしゃれ」という感覚があるようだ ― 中古の品物に何らかの理由で高値が付く。日本の中古品店では新品とほぼ同じくらいの値段がする品物を見たことがある。

しかし、古いものを見るのはいい。家族が座っていたであろう食卓を見ると特別な感じがする。「何を食べていたんだろう? どんな話をしたんだろう?」と思わずにはいられない。使い古された革製のハンドバッグを見ても「このバッグを持ってこの人はどこに行ったんだろう?」と思う。きっとこうした思い出もまた値札の一部なのだろう。

まさにこの理由から、私は気付けばいつも粗大ゴミの日を楽しみにしている。他の人が捨てたものを見るのが好きだ。他の人がどんな暮らしをしているのかを垣間見るようなものだ。秋には、ゴルフセットがいくつか捨てられているのを見た。「上司に言われてゴルフを始めたんだろうか? それとも、純粋にゴルフを楽しんでいたんだろうか?」 キーボード、テラス用の家具、いつも気味の悪い感じがするスーツケースも目にした(捨てられたスーツケースはいつも私の思考をダークな世界へ連れて行く「何が…誰がこの中に入っているの?」)。これまで見た中で一番面白かったのは、ロデオで乗り手を振り落とそうとする跳ね跳ぶ馬にまたがるシミュレーションをするエクササイズマシーンだった。「これを使っていた人は運動の目標を達成できたのだろうか?」と思った。

私はいつも、こうした物の以前の持ち主がそれらを無駄にしなかったことを願う。便利さや値ごろ感、廃棄のしやすさなどのためにあまりにも多くの物が作られている世界で、あのゴルフセットが参加したトーナメントがたくさん、あのキーボードが弾かれたコンサートがたくさん、テラス用の家具を囲んで楽しまれた飲み物がたくさん、あのスーツケースが訪れた国がたくさんあったことを願う。なぜなら、人生のとても多くの場面で、どれだけたくさん持っているかではなく、物を有効に活用するために何をするかが重要だからだ。

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