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2017年3月17日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

The gluten-free fad (p. 9)

グルテンフリーブーム

10年ほど前、東京で働いて暮らしていた頃、一緒に働いていたアメリカ人の翻訳者2人と築地でランチに定食を食べてから職場に歩いて戻っていた。1人は能の楽器のスペシャリストで、日本でワークショップを開こうとしていたのだが、アメリカ人の女性から日本ではグルテンフリーの食事が手に入るかどうかを尋ねるメールが来たと話していた。

彼は、その女性のことをどうかしていると思っていた。私は「ソバは聞いたことがある? ソバの実からできていますよ」と言った。ソバの実は、キヌアやアマランサスといった疑似穀類と同じようにグルテンフリーだ。米、大豆、トウモロコシ、ジャガイモもグルテンフリーだ。

その翻訳者は、グルテンフリーダイエットは「ブームを起こす要素」があるのかと疑問を口にした。グルテンフリーにする必要がある人がいるのは事実だ。こうした人々は、セリアック病(CD)に苦しんでいるからだ。CD患者は、小麦のような穀類に含まれるグルテンを食べると、小腸に傷がつき、下痢や便秘、過敏性大腸症候群などを含む症状を引き起こすことがある。やがて、この病気は深刻な健康問題につながることもある。

世界中で約1%しかこの病気にかかっている人はいないのだが ― アメリカにいればきっとそこらじゅうにいると思うだろう。グルテンフリー食品の広告はインターネットでもテレビでも至るところにある。2011年には、ベストセラーになった本『Wheat Belly』(直訳すると「小麦のお腹」、日本語版『小麦は食べるな』)は現代の小麦が有毒で中毒性があると主張している。しかし、この本は疑わしい科学が満載だ。

2012年に、ポップ歌手のマイリー・サイラスがこうツイートした:「グルテンはくずよ」、それから「みんな1週間グルテンをとらない生活をしてみるべきだわ。肌や、心身の健康の変化は驚くべきものよ!」と付け加えた。

皆さん、ちょっと待ってほしい。時間とお金を浪費する前に、医師のところへ行ってあなたが本当にCDにかかっているかどうか診察してもらってはどうだろうか?

私の妻は、医療関係の編集者をしているが、グルテンフリーブームはバカげたことだと確信していて、私もそう思う。われわれが快便でいるのに必要なのは、善玉菌が含まれたヨーグルトやヨーグルト飲料だ。

評価の高いミネソタ州のマヨクリニックも同意見だ。CD患者でなければ、「グルテンフリーダイエットが特別な健康上の効果をもたらす証拠はほとんどない」と述べている。

グルテンフリーブームは、アメリカに住んでいて私たち2人が理解できないことの1つに過ぎない。もう1つ理解できないのは、ケーブルテレビで延々と流れてくる医薬品のテレビCMだ。視聴者の皆さん、本当にこんな商品が必要ですか、費用を考えてみてください! 単一支払者制度や日本にあるような皆保険制度にしたらどうだろうか? オバマケアはあっても ― 議会を支配するトランプ大統領と共和党員らはこれを廃止しようとしているが ― アメリカはいまだに国としてのヘルスケアがないOECDで唯一の国だ。

この夏、水がもっと温かくなったら、国民保険制度があり、グルテンフリー製品のテレビCMが少ないカナダまで私たちは泳いでいくかもしれない。

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