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2017年5月19日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Finding role models (p. 9)

ロールモデルを探す

良いロールモデルを見つけるのは難しい。あなたにはいるだろうか? もしかしたら、あなたのロールモデルは親や祖父母かもしれない。職場の上司や学校の先生かもしれない。ずっと昔の歴史的人物がロールモデルかもしれない。

私は子どものころ、大人になるのが楽しみではなかった。大人になるということは退屈でストレスが多いものだと思っていた。人生を本当に楽しんでいるように見える大人を全く知らなかった。もちろん、ずっと子どものままでいることはできないのは分かっていて、それで悲しくなった。

15歳のとき、私は大人になりたいと思わせてくれるロールモデルを見つけた。私はもう子どもではなかったが、大人だというわけでもなかった。それは、せたな町という北海道の南部の小さな町で起こった。私は経営に四苦八苦している若い酪農家のグループを手伝うボランティアとして働くために、せたな町へ行った。それは面白くて有意義な夏休みの過ごし方だった。

そのせたな町の若い酪農家たちは私がこれまでに知っている誰よりも懸命に働いていた。その頃、彼らはお金がなかったので農場の機械をたくさん買うことができなかった。乳牛を育てることから、干し草やアルファルファ(牧草の一種)を植えて収穫して貯蔵するための準備に野焼きをすることまで、彼らは全て手作業でしていた。今までの経験で一番きつい肉体労働だった。

ぐったり疲れたある日の最後に、私の作業用のゴム長靴に空いた穴をふさぐように言われた。長靴は、私たちが農場を切り開いていたときに笹の鋭い茎で切り裂かれていた。私は四角いゴムから丸や四角の継ぎ当て用のゴムを切り始めた。私よりもずっと疲れているに違いなかったその農家の人は、自分の長靴の穴をふさぐ継ぎ当て用のゴムを三日月や星、ハートの形に切っていた。

私は突然、大人の責任がある大人になることは、単調でつまらない仕事の人生を必ずしも意味するものではないと気が付いた。それどころか、一番大変な時でさえ、遊び心と楽しみを持つことはできる。その日、私は自分がなりたいと思うような大人の1つのロールモデルを見つけた。私は、ユーモアと好奇心とクリエイティブな精神をもって大人の人生の難題を楽しみにするようになった。

その日から数十年がたち、私の人生のさまざまなステージで、子育てのモデル、年をとり、死を迎える準備をするモデルなど、新しいロールモデルを見つけてきた。私は暮らしの中からロールモデルを見つけ、古代の過去からロールモデルを見つけた。いつか、どこかで、私の後に続く人々のロールモデルに私もなれるのかもしれない。

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