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2013年9月20日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

No regrets (p. 9)

後悔しない

20秒はそれほど長い時間には思えないが、7月のある天気のよい日曜日のこと、20秒が20分に感じられた。午後5時9分、私は気づくと机の下にうずくまっていた。棚から物が落ちるのが見え、ガラス瓶がガチャガチャ言う音がだんだん大きくなっていくのが聞こえた。これはウェリントンであった中でも最大級の地震で、ものすごく怖かった。

同時に、私の中で妙に落ち着いた気持ちに浸っている部分もあった。もしこれが最後なら覚悟はできているとおもった。「もし〜しさえしていたら」というような後悔の気持ちは1つもなかった。

後悔はモヤモヤした気持ちだ。なぜなら、その時に戻って、してしまったことを変えることは不可能だからだ。そのときは、物理的な危険の恐れから何かをしないことに決めたのかもしれない。しかし、日常生活では、拒絶や気恥ずかしさ、未知のものへの怖さが原因となっていることも多い。間違うのが怖いから英語を話すのは難しいと言ったことのある私の学校の生徒の多くは特にそうだ。

ネイティブ・スピーカーも含め、初めから完璧に言語を話せた語学学習者などいない。英語のネイティブ・スピーカーでも文法やスペルのミスで悪名高く、広告掲示板でも誤りが見られるときさえある。語学学習者として覚えておくべき重要なことは、一度に一つのことしか心配できないということだ。発音、イントネーション、文法などすべてを一度に取り組もうとしてはいけない。その日に取り組みたいことを決めて、それに集中するのだ。そして一番重要なのは、間違ったことを後悔しないことだ。そうしないとどうやって身に付けるのか?

変化に対する恐怖も私たちを改善から遠ざけたり、より満足した人生を見つけることを阻んだりしている。語学学習者の中には、新しい勉強の仕方を恐れる人もいる。ストレスを多く抱えていたり、仕事に満足していない大人の中には、状況を変えることを恐れている人もいる。私のフィットネスクラスのインストラクターがいつも私たちに言うように、物事が困難になり過ぎたら、いつでも選択肢はある。少しずつ前進することは、まったく前進しないことよりよいことだ。

今年、私は新しいスポーツに挑戦し、会議で発言し、自分が自分でいられるようにして、自分の胸の内を率直に明かすこともした。気まずさや気恥ずかしさもあり、スポーツに関しては傷やあざも少しできた。しかし、新しい友だちができ、新しいスキルを身に付け、自分の身体と心の限界は今まで思っていたところにはなかったことに気が付いた。いつも少しずつ限界を押し広げることができている。

勉強している言語を話すなどちょっとしたことでも、自分自身や仕事を改善することでも、恐れや疑い、緊張はいつもあなたを試そうとして存在している。だから、次に何らかの理由で自分を抑えていることに気が付いたとき、緊張していないのならもしかしたら正しく取り組んでいないのかもしれないということを思い出してほしい。机の下に潜って、死を意識するとき、過ぎ去った可能性に思いを巡らせる自分であってはならない。

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