週刊STに過去に掲載された「Newsmakers」です。著名人の発言に日本語訳を付けて紹介しています。
10日、英国アカデミー賞作品賞を受賞した『つぐない』(原題:Atonement)は、英小説家イアン・マキューアン(59)の同名小説(邦題:『贖罪』)の映画化。物語では、政府官僚の娘と使用人の息子という身分の違う男女の愛が描かれるが、労働者階級育ちで貧しい暮らしをしていたマキューアン自身の体験が、作品にも反映しているという。大学生のころ、大学教師の娘だった恋人の家庭を訪れ、食卓に並んだクロワッサンやヨーグルトを初めて目にしたときの思い出を語って——。
"To me it was a revelation —— such wonderful food. No one I knew had squeezed orange juice for breakfast. No one fussed over grinding coffee. And for me it was something of a moment. I suppose you could call it a moment of peering over a class barrier."
(目からうろこの体験でした。あんなに素晴らしい食べ物があるなんて。朝食に絞りたてのオレンジジュースを飲む知り合いなどいなかったし、コーヒーのひき方にこだわる者もいなかった。だから、あれは私にとってはかなり印象的な瞬間でした。階級の境界を垣間見た瞬間とでもいえるかもしれません)