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「ちょびつき留学英語日記」好評発売中!
未知の世界に飛び込んで、文化的背景の異なる人々と出会い、いつかその人たちのことを書いてみたい——。幼いころからそんな夢を抱いていた著者が、16歳で単身アメリカの高校へ留学。英語がほとんど通じず苦労したり、文化の違いにショックを受けつつも、さまざまな人に助けられながら卒業するまでの3年間をユーモラスにつづった青春記。

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留学日記[作家編]

By Kana Ishiguro / 石黒 加奈

16歳で単身アメリカ留学。コロンビア大学卒業生石黒加奈が、留学生活、ジャパンタイムズ電子メディア局部長を経て作家生活をスタート!子どものころからの夢だった『物書き』の日々を書いた「ちょびつき」留学日記・作家生活編
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Kana Ishiguro / 石黒 加奈

Vol. 20 : The Artist Date の巻

私は今も、英語のライティング練習のために、The Arstis's Way というテキストを使用しています(「芸術の秋の巻」http://st.japantimes.co.jp/study_abroad/writer_kana/writer_kana.htm?v=006を参照)。

そのテキストの中では、artist dateと呼ばれるものが推奨されています。これは、「週1回2時間ぐらい、一人で自分の好きな場所へ出かけていきましょう!」というだけものですが、自分の好きなことを楽しんだあと、また夢中に物事に取り組むことで、いいアイディアが浮かんだり、自分自身についてもっと深く知ることができる、という考え方が基本にあります。

さて、私がartist dateに一番頻繁に出かけていく先は、文房具屋さん。工夫された文房具や、パソコンの文字が印刷可能な、さまざまな和紙を見ていると、ほんとうに退屈しません。文房具屋さんから買ってきた戦利品を開くときは、30過ぎているくせに目が子どのように輝いている、と笑われます。

次によく行くのは、ライブやコンサート。ジャズやクラシックだけでなく、アフリカン・ドラムから三味線にいたるまで、いろいろなジャンルの音楽を聴きにいきます。

そして、次に多いのは、博物館や美術館のたぐい。恐竜の展覧会なんかに行ったら、まず夕方まで帰ってきません(苦笑)。そして帰路につくと、「あ〜、今からでも考古学者になれるかな〜」と、必ずキャリア・チェンジを考えてしまいます。もっとも、お寺に行くと、お坊さんになればよかった、と思っているもう一人の自分が…(笑)。

今月に入ってから、モディリアーニの展覧会とレオナルド・ダ・ヴィンチの展覧会を見に行く機会がありました。モディリアーニについては、以前、アンディ・ガルシア主演の映画で、成功者ピカソと異端児モディリアーニ、そして彼の最愛の妻ジャンヌを描いた『モディリアーニ〜真実の愛』を見たことがあったので、ハンサムなアンディ・ガルシアのイメージを持ったまま美術館へ行ったのですが、実際のモディリアーニとジャンヌの写真は、映画の中よりさらに素敵でした。「へ〜、こんなこともあるんだな〜」と心地よく1本取られた感じです。

ところが、肝心なアートのほうはというと、ピカソにもその才能をうらやまれたというモディリアーニの素晴らしさが、悲しいほど理解できないのです…。

"I remember feeing exactly the same way when I saw the Picasso at MoMA."
(そういえば、この悲しい感覚、ニューヨークの現代美術館でピカソを見たときと、同じ感覚じゃ…)

と、ひそかに嘆きながら、展覧会を後にしたのでした。

私は、小学校のときの図工の成績は1か2というお粗末なもので、中学生になっても美術史を勉強した学期以外は、かなり悲惨な成績を取っていました。作家だから文章が書ければいいのであって、絵は下手でもいい、と言ってしまえばそれまでですが、作家でも画家でも「観察力」が必要なことに変わりはありません。日本の白樺派の作家の絵画展を見たときなんかも、それを確信したものです。

「下手でもいいから、自分も絵を描こう!」

そう思い立って、数年前から花や人物のスケッチを始めたのですが、ささやかな努力の甲斐もむなしく、現代アートの巨匠の価値を理解できない日々が続いているというわけです。

そんなふうに美術鑑賞能力の低い自分に失望しながらも、昨日は、従姉がチケットくれたので、気を取り直し、artist dateの一環としてダ・ヴィンチ展へ行ってきました。

ダ・ヴィンチ展では、彼の才能の幅広さをあらためて見せつけられた思いです。絵画だけでなく、geometry(幾何学)やphysiology(生理学)などにかかわる膨大な数のスケッチやメモが、解説とともに展示されていました。

それらを前にして、

"There are certain simple questions that need to be asked and you should make sure you ask them of yourself.
(素朴だが、当然疑問に思ってしかるべき点を、自分に問いただしてみること)

の大切さを、しみじみ身にしました。

人はなぜ歩けるのか、とか、木の幹と枝葉にはどんな関係があるのか、などということは、あまりに当たり前であったりささいであったりするがために、毎日の忙しい生活の中でほとんどの人は、気に留めることがありません。でも、そうした見過ごしがちな物事の仕組みや成り立ちについてじっくり考えてみると、そこには驚くべき感動があるんだな、と思ったのです。

「今日から、もっと自分の身の回りのことに、curiosity(好奇心)を持ちたい」

と、考えた筆者は、家に着くなり食卓に春巻を発見し、スケッチをしながら、

「今夜のおかずは春巻である。中身は、豚のひき肉、もやし、人参、しいたけ、たけのこ、わけぎである。この場合、人参は、どのぐらいの太さに切れば、もっとも歯ごたえよく、おいしくいただけるのか?」

と、瞑想にふけったのでありました(笑)。

つづく

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