今週も週刊ST掲載の記事を利用して、英語の総合力を付けていきましょう。今回取り上げる記事は、9月12日号の"Sun and sewage equals progress"(p. 7)です。まずは文章を読んで以下のExercise をやってみましょう。
Q1:本文中から以下の意味を持つ英単語を抜き出してみましょう。
(1) to remove the dirty parts from something
(2) people who are walking past a place
(3) not far away
Q2:本文の内容に合うように、以下の英文の空所に当てはまる語を入れましょう。(最初の1文字目のみ与えられています)
(1) Kaltouma Tahir's water purification project has (r ) cases of waterborne disease in Kibera.
(2) It is estimated that there are 1.1 billion people in the world who lack (a ) to safe drinking water.
(3) (B ) produced from human waste is used for cooking and light in Kibera.
Q3:あなたが本文中に出てきたスラム街の住民だとしたら、飲み水を浄化するプロジェクトを始めてくれた Kaltouma Tahir さんに何と言いますか?英語で言ってみましょう。
今週は、ケニアのスラム街に住む貧しい人々の生活を改善した、ある技術に関するお話です。いつもより英文が長いですが、頑張って読んでいきましょう。
では、第1パラグラフから。ここで使われている動詞 grow に注意。「成長する」という意味だけでなく、〈grow + 形容詞〉で「〜な状態になる」という become に近い意味があります。
Nose hair grows faster, as we grow older.(年をとるにつれて、鼻毛の伸びが速くなる)
grow が2回出てきますが、最初は「成長する」、2番目は「〜になる」という意味です。本文では、grow worse(worse は bad の比較級)なので「よりひどくなる」ということ。全体を要約すると「下水溝からのにおいは、太陽の下でさらにひどくなる。しかしある人々にとっては、これは進歩(progress)のにおいだ」ということ。
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これってどういうことですか?
ここで分かる必要はありません。英文記事ではインパクトを出すために、最初のパラグラフは「なぞかけ」のように、あえて分かりにくい書き出しで始めることがあります。あまり深く考え込まず、「この先を読みながら理解すればいいや」という気持ちで読み進めていきましょう。
続けて第2パラグラフ。要約すると「ナイロビのキベラ地区に広がるスラム街に住む人々は、高騰する食糧・燃料価格や劣悪な衛生環境(poor sanitation)を、いくらでも存在する(they have a lot)2つのものを利用することで切り抜けている。それは下水(sewage)と日光だ」。ちなみにこの文章では、sewage を少し特殊な意味で使っています。辞書的な意味は「下水」ですが、ここではいわゆる「下水」ではなく、「清潔でない水」くらいの意味で使われているので注意しましょう。
さて、ここまで読んでもまだよく分かりませんね。筆者の「なぞかけ」がまだ続いているからです。先を読んでいきましょう。続けて第3パラグラフ。1文目が難しいので細かく見ていきましょう。
Some have helped「手伝った人もいる(←何を手伝った?)」、to build「建設することを(←何を建設?)」、a network of public latrines「公共トイレ網を(←どんなトイレ?)」、that recycle human waste「人間の排せつ物(waste)をリサイクルする」、into gas「(リサイクルして)ガスに変える(←何のためのガス?)」、for cooking and light.「料理や明かりに使用する(ガス)」
要するに、排せつ物から燃料としてのガスを生み出すトイレを作ったということです。「recycle までは意味が分かったけれど、into から先が分からなくなった」という方も多いと思います。
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私もそうです!どうして into gas で「リサイクルしてガスに変える」って意味になるんですか?
以前、「into には変化を表す意味がある」ということを扱いましたね。そのとき具体的な例をいくつか紹介しました。もう一度復習しましょう。
Vocabulary Pocket
【変化を表す into】
change [turn] into 〜:「〜に変わる」
change [turn] A into B:「AをBに変える」
translate A into B:「AをBに翻訳する」
divide A into B:「Aを分けてBにする」
My mother divided the cake into eight pieces.(母はケーキを8つに分けた。)
この「変化」のイメージが頭にあれば、たとえrecycle A into B「AをリサイクルしてBにする」という意味を暗記していなくても、内容を理解することができますよ。では、本文に戻りましょう。Others で始まる文からです。この Others は1文目の Some と対比されて「〜な人もいれば、…な人もいる」という意味になります。
Some go on a trip during the winter holidays and others visit their relatives.(冬休みの間旅行する人もいれば、親せきを訪ねる人もいる)
本文では「(トイレの建設を手伝った人もいれば)日光を利用して飲み水を浄化する人もいる」ということ。最後の reducing はこの講座で何度も出てきていますね。文の最後に加えられた ing形には特に意味はなし。and でつないで読み進めましょう。「(そして)水を媒介とした病気の発生件数を減らした」ということ。このように、排せつ物のリサイクルや、日光を利用した飲み水の浄化で、スラム街の住民たちは、燃料費高騰、劣悪な衛生環境を切り抜けているということです。具体的なことは、この先に詳しく書いてあります。
ちなみに、ここに出てきた purify がQ1(1)の答えでした。「浄化する」ということ。purify の-ify (または-fy)はさまざまな語と組み合わさって、その語を動詞にする働きがあります。
・beauty「美しさ」+ ify:beautify「美しくする」
・solid「固い」+ ify:solidify「固める」
本文では、pure「きれいな」+ ify で purify「きれいにする」ということ。こうした知識があれば、知らない単語が出てきても、形から意味を推測できますね。すべての単語の意味を暗記するなんて絶対無理!こうした知識を駆使しながら英文を読解していきましょう。英文をスラスラ読める人は、実はこうした知識が豊富だったりしますよ。
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