いよいよ北京五輪も開幕しましたね。競泳の北島康介選手が男子100メートル平泳ぎで見事2大会連続の金メダルを獲得しました。重圧と期待のなかでそれでも結果を出してしまうところがすばらしい。これも日々の鍛錬と練習の賜物。体育会式英語塾でも見習わなければ・・・・。
さて、前回は基本5文型について説明をしました。今回はそのなかでも難しい第IVと第V文型についてもう少し詳しい解説をしましょう。
第IV文型 主語+動詞(他動詞)+(間接)目的語+(直接)目的語
「○○に××を〜する」という意味になるのが第IV文型だということは前回説明しました。この文型の特徴は、動詞が「○○(=たいていの場合は人)」と「××(=普通は物)」という二つの目的語を必要とすることです。前回例文としてあげた文をもう一度見てみましょう。
I will give you this book.
この文では(will)give という動詞が you と this book という二つの目的語をとっています。
英語には動詞は数多くありますが、目的語を二つ必要とするもの、つまり第IV文型を作ることのできる単語はごくわずかしかありません。その一部を紹介しましょう。
give (与える)、hand (手渡す)、offer (提供する)、lend (貸す)tell (話す)、teach (教える)などです。いずれも「○○に××を〜する」という意味で使われることがわかりますね。
では、実際に英文を読んでいるときにこれが第IV文型であると判断するにはどうすればいいのでしょうか。ヒントのひとつは動詞です。上記のような動詞が使われている文章は目的語が二つ含まれていることが多いですから、第IV文型ではないかと判断できます。もうひとつのヒントは名詞(または名詞としての役割で使われる語句)が二つ続くことです。前回も言ったように二つの名詞が連続するのは「原則的に異常」なのです。そこでピンとくることができるのです。
次に第V文型をみましょう。
第V文型 主語+動詞(他動詞)+目的語+補語
この文型を作ることのできる動詞も実はごく少数に限られています。そして、それらは「見る」、「聞く」など五感に関する動詞(文法用語では「知覚動詞」と呼ばれます)、または「〜させる」と意味の動詞(「使役動詞」)に大別できます。文法的な説明をするよりも、実際の例文を見ていきましょう。この文型で最も重要なことは目的語と補語の間には「主語と述語の関係」が隠されているということです。
1)知覚動詞
例文@:I watched him crossing the road.
この文では watch(見る)という知覚動詞によって第V文型が作られ、himが目的語、crossing the road(道路を横断する)が補語です。him と crossing the road の間には「He is crossing road」という主語と述語の関係が隠れているのがわかりますね。
この主語と述語の関係に気づくことは日本語訳するときに役立ちます。him を「彼を」と訳してはこの文の意味が正しく理解しているとはいえません。「彼が道路を横断しているのを(私が)見た」というのが正確な和訳です。him と crossing the road にある主語と述語の関係をきちんと和文に反映させましょう。
例文A:I saw him go to school.
今度はhim が目的語、go to school が補語です。ここでも目的語と補語の間には主語と述語の関係があります。例文@では補語は「動詞+ing」でしたが、ここは go という動詞原形が使われていることに注意してください。
@はhimが道路をまさに横断している瞬間を目撃してことになります。つまり、補語の crossing the road は He is crossing the road という現在進行形の文章の述語部分と同じ意味合いを持っているのです。
それに対してAでは動詞原形を使っていますから、これは現在形と同じ意味合いを持っていると考えることができます。つまり、「彼が(習慣として毎日)学校に行くのを見た」という意味になります。動詞の現在形とは「今現在行われていること」を表すのではなく、「日常的、習慣的に行われていること」を表現するものです。
さて、前回の夏合宿で「動詞は補語になれない」と説明しました。ところが、Aでは動詞が補語に使われています。なぜでしょう?
実はAで使われているgoは動詞原形(現在形)の形をとっていますが、文法的には「動詞」ではなく、不定詞(to+動詞原形)の to が省略された形なのです。ひとつの文章の中に and などの接続詞が使われずに動詞がふたつ以上使われることはありません。これはほぼ絶対的な原則です(唯一の例外として help が使われるケースがありますが、この場合の help は動詞というよりもむしろ can や will と同じような助動詞的な役割を持ちます)。
2)使役動詞
使役動詞ではmake、 have、 letが代表格です。make や have が強制的な意味合いを持つのに対し、let は許可を与えるニュアンスがあります。
例文B:I will make you understand.
この文ではyouが目的語、understandが補語です。you と understand には主語と述語の関係があります。意味は「(私が)あなたに理解させる」となります。
では、次の例文はどうでしょうか。
例文C:I will make you understood.
言うまでもなく you が目的語、 understood が補語ですね。そして、このふたつの間には主語と述語の関係があります。ここで、understood と過去分詞形が使われていることに注意しましょう。you が主語で understood という過去分詞形が述語となる英文とはどのようなものでしょうか。そう、受動態です。ですからここには You are understood(あなたが理解される)という受動態の文が隠されていることになります。ですから訳語は「あなたが(みんなに)理解されるように(私が)する」となります。
第V文型には目的語と補語に主語と述語があるということだけは覚えておきましょう。そして、和訳するときにはその主語と述語の関係がはっきりわかるように意識します。補語に使われる部分が動詞から派生した言葉である場合、それが原形(現在形)の形をとっているのか、現在進行形なのか、過去分詞なのかによってそれぞれ意味が変わります。その意味合いの違いも訳にしっかりと出すようにしましょう。
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