(1) I'll take a pass
takeとはとても便利な単語で、口語ではよく使われます。僕が学生時代にアメリカに留学したとき、getやtakeといった容易な動詞が頻繁に使われていることにまず驚きました。例えば「〜を得る」という意味の英単語は、学校ではobtainなどを習います。でも、実際の英会話で使われるのはgetが圧倒的に多いです。obtainは文章で使われることが多く、口語で使うとちょっと固い印象がもたれます。
ここでのtakeは動詞を名詞的に使う効果を持っています。@はI'll pass.というようにpassを動詞で使っても同じ意味になります。@ではpassは名詞として使っています。そこにtakeという動詞を使うことでtake a pass=pass(動詞)という関係が成り立っているのです。
同じような使い方をするものでポピュラーなのはtake a look atでしょう。これは動詞のlook (at)とまったく同じ意味です。では、動詞を使えばすむものをなぜわざわざtake+名詞などというまだるっこしい言い方を使うのでしょうか。
それは、文章にバリエーションを与えるためです。動詞を名詞に変換すると形容詞で説明することができます。look at carefullyをtake a careful look atと言い換えることができるのです。形容詞はさらに副詞でも説明できますから、例えばtake a very careful look atなどと言い添えることも可能です。動詞を名詞に変換したほうが説明語句を付加しやすいのです。
また、名詞を動詞で使うと単語数が増えますから、言葉のリズムが変わります。I'll pass.は「タン(I'll)・タン(pass)」という2節のリズムですが、I'll take a pass.と言うと「タン(I'll)・タタ(take a)・タン(pass)」という3節のリズムに変わります。英語はイントネーションやリズムが重要ですから、こういったバリエーションが生まれたのですね。
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(2) I'm just…not so interested in baseball It's an interesting matchup too
この二つは一緒に説明しましょう。英語には動詞+ing形と動詞過去分詞形で意味がまったく変わる単語があります。この二つのinterestがその例です。
interestのもとの意味は「〜に興味を持たせる」です。ところが、日本語では「〜に興味を持つ」というのが一般的です。この日本語と同じ意味を持つ英語を作るには「興味を持たせられる」という受動態の文章にしなければなりません。日本語では興味を持つという行為は自発的なものですが、英語では何か外的要因によって「興味を持つ状態にさせられる」と発想するのです。
ですから、「〜に興味を持つ」はbe interested in 〜と受動態で表現する必要があるのです。では、interestingはどういう意味でしょうか。これはもとの意味に近く、「〜に興味を持たせるような」→「面白い」という訳語がふさわしいでしょう。
似たような使い方をする単語にexcite(ワクワクさせる)、 surprise(驚かせる)などがあります。いずれも誰かがワクワクしている、驚いているという意味を表現する場合にはbe excited (by) / be surprised (by)と受動態にします。「ワクワクしている」と言うつもりでI'm exciting.などと言ってしまうと場合によっては変に誤解されてしまうので注意しましょう(どんなふうに誤解されるのかはご想像にお任せします)。
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(3) it takes like four hours for a game to end
またtakeが出てきました。ここでは時間の長さを表現する意味で使われています。時間の長さを表現するときにはitを主語、takeを動詞にして使います。ここでのitは天気を現すit(It is fine today.=今日はいい天気だ)と同じく形式的に主語として使われるもので、「それ」という意味はありません。
この表現はいつものように公式で覚えてしまいましょう。「○○するのにXX(時間)かかる」は
It takes XX to ○○.
となります。ついでに、「○○するにはどれくらいの時間がかかりますか」という疑問形も覚えましょう。これは、旅先で目的地までの時間を尋ねるときにとても役に立ちます。その公式は以下のとおりです。
How long does it take to ○○?
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(4) Enjoy yourself!
enjoyも上で説明したinterestやexciteなどと同じく日本語と発想の違う動詞です。英語での原義は「楽しませる」です。「あなた自身を楽しませなさい」が日本語で言う「楽しんでください」にあたります。これは決まり文句として覚えてしまいましょう。
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(5) You bet
これも決まり文句です。このまま覚えてしまいましょう。betは本来は「賭ける」という意味です。つまり、もともとの意味は「あなたが賭けなさい」です。それが転じて、「賭けても損はない」→ 「間違いない」→「きっと〜だ」という意味になるのです。
この文は命令形に主語がついたパターンです。本来、命令文は主語がつきませんが、そこにあえてyouという主語をつけることで意味を強調することができます。主語は必ずyouです。なぜなら、命令とは二人称(you)にするもので、一人称(I、we)や三人称(heやshe, they)にはすることができないからです。逆に言うと、命令形の主語は常にyouなのでそれを省略することが可能なのですね。
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