(1) You did a really good job working with us this week.
ここで使われているgood jobとは相手の行為を褒める決まり文句です。最近では日本語でも「グッジョブ」などと表記するのが一般的になってきましたね。ところが、いざ英語で good job を使おうとしたとき、動詞は何を使ったらいいのか迷いませんか?答は@のようにdoを使うことです。do a job で「仕事をする」という意味になります。
ただ、上記のように good job は相手がすでに行った行為を褒める言葉ですから、通常はdoを過去形のdidとして使うのが普通です。You did a good job. を決まり文句として覚えて、それに really を加えたり、good を great に置き換えるなどしてバリエーションを増やしていきましょう。
また、jobの後に「動詞+ing」の分詞を使うことでjobの具体的な内容を示すことができます。@では「私たち(日本の会社の社員たち)と一緒に働いたこと」がjobの具体的内容となっています。
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(2) It's been a great experience working here with you and the team.
体育会式英語塾の塾生にはおなじみの現在完了形の文章です。これを現在完了の代わりに過去形を使ってIt was a great experience. . .としても意味はほぼ同じです。でもニュアンスは微妙に違ってきます。
以前にも説明した通り、現在完了とは過去のある時点から現在まで継続していることを表す用法です。文脈から察するにロンの研修はこの日が最後のようですが、厳密にはまだ終わっていません。そういったニュアンスが現在完了によって生まれます。また、現在完了を使うことによって1週間という時間の流れを感じることができるので、毎日の日々がロンにとってgreat experienceだったという意味合いも生まれます。
もし、ロンが日本での研修を終えてアメリカに帰国した後にこれと同じ意味の内容を話したとするならば、その際は過去形を使わなければなりません。なぜなら、研修はすでに終了しており、過去のものとなっている、すなわち「現在」まで継続していないからです。
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(3) how was your first stay in Japan?
firstやsecondといった「何番目」を示す単語は「序数」と呼ばれます。序数にはtheをつけるのが普通ですが、theの代わりに所有を示すmy、 your 、his/her、their、itsなどをつけると「その人(または物)にとって何番目かの」という意味になります。所有を示すmyなどの単語とaやtheといった冠詞は同時には使えないので、冠詞を省略します。
stayは「滞在する」という動詞として馴染みのある単語ですが、「滞在」を意味する名詞でも頻繁に使用されます。「stay in/at +(場所)」は「(場所)に滞在すること」という意味でよく使われるので、このまま覚えてしまいましょう。
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(4) Speaking of which,
Speaking of 〜は「〜と言えば」という意味を表す決まり文句で、直前に出てきた話題(〜にあたる部分)から連想される新たな話題を提供するときに使われます。以前にも説明したイディオムでもありますので、ここまでは簡単です。ところが、ofのあとにwhichが続いています。これはいったいどういうことなのでしょうか?
ここで使われているwhichは、Which do you like?のような疑問文を作るものとは役割がまったく違います。どちらかというと、関係代名詞のwhichに近いと言っていいでしょう。つまり、前に話題に上っていた事柄の代名詞としての役割を持っているのです。その意味では名詞の言い換えとして使われるitと同じです。違うのはitがひとつの単語の言い換えとして使われることが多いのに対し、whichは前の文章の内容全体を指すということです。
もう少し詳しく説明しましょう。A friend of mine bought an iPad. I really want it, too.(「友人がiPadを買った。私も本当に欲しい。」)という文章を考えて見ましょう。ふたつ目の文章で使われているitは最初の文のiPadを指していて、繰り返しを避けるためにitに置き換えられています。
では、「友人がiPadを買った。そのことがとてもうらやましい」という文章を書いてみると次のようになります。A friend of mine bought an iPad. And that makes me envy him. ここで使われているthatは前の文全体の内容を指している代名詞です。thatの代わりにitを使っても間違いではないですが、itは単語の置き換えとして使われるのが一般的なので、文の内容を置き換える場合にはthatを使うほうが無難です(itを使うとそれがiPadを意味すると誤解される可能性もないではありません)。
さらにこの文章を関係代名詞を使って一文にすると、A friend of mine bought an iPad, which makes me envy him.となります。関係代名詞whichが前の文の内容をしめす「からくり」がこれで理解できたと思います。
それではCに戻りましょう。これまでの説明で、whichが前に出てきたtemplesやshrinesといった具体的な単語ではなく、内容全体を指していることがわかると思います。ロンはマヤに「古いお寺や神社を見てまわった」という事実(内容)を話している最中に、スカイツリーを見たことを思いだし、Speaking of whichと言って話題を変えたのです。
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(5) that huge tower I saw from a temple in Asakusa is just amazing!
ここではjustに注目します。justには「正当な」、「ぴったりな」という意味のほか、「まさに」という強調の意味があります。ここではまさに強調の意味で使われていて、amazingの度合いを強める役割を果たしています。口語でjustが使われるときにはこの強調の意味を持っている場合がほとんどです。
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(6) What do you mean?
これは相手の話している内容がよく理解できないときに、より詳しい説明を求める際の決まり文句です。マヤはロンが言ったinteresting experienceの意味がわからなかったので、こう聞いたのです。
では、Cで説明したwhichをここで応用してみましょう。whichは前の文章の内容を指すことができるのでしたね。これを使うとEはWhich means?と言い換えることができます。もちろんwhichはinteresting experienceを指しています。こういう言い回しはEよりも相手の説明を促すニュアンスが強くなります。
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(7) earlier in the week
earlierは言うまでもなくearlyの比較級です。比較の文章では比較される二つ以上のものをthanで結んで差を表現するものです。例えばYou are taller than me.(あなたは私より背が高い)という文ではyouとme(厳密に文法に従うならばI)をtallという基準で比較してどちらがより背が高いかという関係をthanによって明らかにしています。
ところが、比較の対象が前後関係や常識などによって明らかな場合にはthanが省略されます。earlyは時間の前後を表す単語ですが、比較級で使われてもthanが省略されるケースが多いです。その場合にはほぼ例外なく「現在」と比較されていると考えて間違いありません。
Fはthe week(ここではロンの研修がこの日までの1週間ということが明らかなので、わざわざthis weekと言わなくても「今週」の意味になります)のなかで「現在」よりearlierな時間を指しています。つまり、「今週のうち昨日以前のいずれか」と言うことです。ただし、こんな回りくどい訳語は不適切なので、和訳をする際は日本語訳の例にあるように「先日」とするほうが自然でしょう。
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(8) an elderly woman
ロンは年配の女性に席を譲ったそうです。「年配の女性」というとold womanと訳しがちです。もちろん間違いではないのですが、oldという単語を使うとあまりにも表現が直接的過ぎます。日本語でも「老人」という言い方と「年配の人」とではニュアンスがだいぶ違いますよね。elderlyはoldよりも控えめというか、相手に配慮した言い回しです。こうした表現も一つ一つ覚えていきましょう。
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(9) That was nice of you.
これは「あなたは素敵な人ですね」という際の決まり文句です。niceをkindに置き換えたものもよく使われます。大切なのはnice/kindといった形容詞の後にof youと続くことです。「あなたの中の素敵(親切)な部分」といった意味なのでしょうね。これは文法的な成り立ちを考えるよりも、決まり文句としてそのまま覚えましょう。
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(10) every time she said "sumimasen."
これは文法的には語順が正しくありません。本来ならばShe said "sumimasen" every time.とするべきです。なぜならば、Iの語順では「毎回『スミマセン』と言った」という意味ではなく、「彼女が『スミマセン』と言ったときはいつでも」という意味に誤解されてしまうからです。しかし、口語ではよくこうした語順が使われるのも事実です。
では、どのように見分け(聞き分け)ればいいのでしょうか?Iがこの語順の通り、「彼女が『スミマセン』と言ったときはいつでも」という意味で使われているのならば、その後にまだ文章が続くはずです。「いつでも」どうなのか、その説明が続かなければ話が尻切れトンボになってしまいますね。ここではロンの説明はありませんから、単に語順を入れ換えて言っていると判断することができるのです。こうした文脈からの判断というのも内容理解の上ではとても重要なテクニックのひとつです。
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