続けて第4パラグラフ。要約すると「前パラグラフのようなプロジェクトには差し迫った(urgent)必要性がある。キベラ地区に暮らす100万人の(貧しい)住民にとって、一食分を稼ぐのも難しい。食糧価格は倍になり、料理に使う石炭価格は25%(a quarter)上昇した」ということ。最後の by a quarter に注意。by は「(前と比べて)〜」という「差」を表す用法があります。以下の2つの区別をしっかりつけておきましょう。
@ increased by 10%:「10%(だけ)上昇した」
A increased to 10%:「10%に上昇した」
@は例えば、以前30%だったのが40%になったなど。すなわち「差」が10%あることを表します。それに対し、Aは例えば、以前5%くらいだったものが、10%にまで上昇したこと。すなわち「到達点」が10%であることを意味します。
続く第5、第6パラグラフは続けて見ていきましょう。「キベラ地区の『バイオ・トイレ』(bio-latrines)は孤児たち(orphans)の学校の隣に作られた。約600人が利用したことで、孤児たちの料理を作り、さらにシャワー室(shower block)にお湯を供給するのに十分なガスを生み出した」。「校長先生が言うには、『(排せつ物をリサイクルした)バイオガスが学校に来る前は、子どもたちは冬でも冷たい水で体を洗い、風邪をひくことも多かった』という。料理用の炭(charcoal)のために蓄えておいた(saved)お金は、(バイオガスがある今、もう炭は必要ないので)、2人の新しい(extra)先生の給料に使われた」。
すなわち、排せつ物をリサイクルしてガスを生み出すトイレのおかげで、孤児たちの学校にエネルギーが供給され、お金に余裕もできたので、先生を2人雇うこともできたということ。まさに、良いことずくめですね。
続けて第7パラグラフ。1文目は「そのプロジェクトは国際的な資金提供者の連合から資金が提供されており、地域によって運営されている」ということ。run は「走る」という意味ばかりでなく、「運営する」という意味もありますよ。run は意味がたくさんあるので注意が必要です。まとめておきましょう。
Vocabulary Pocket
【注意すべき run の意味】
run + 会社・団体など:「〜を経営する、運営する」
run for 〜で:「〜に立候補する」
川を主語にして:「(川が)流れる」
run a riskで:「危険を冒す」
次の文が難しいので注意。まず動詞は prove が使われています。<prove + 形容詞>で「〜であると分かる、証明される」ということ。
His theory proved right.(彼の理論は正しいと分かった)
この場合は proved so successful なので「成功であると分かった」ということ。さて、so successful that という形を見て、何か思い出しませんか?
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この so 〜 that...の形は、確か前にもやりましたね。
そうです。「とても〜なので…」という意味で、so の後ろが「理由」、that 以下がその「結果」を表す表現でしたね。
John is so generous that everyone likes him.
(理由) (結果)
(ジョンはとても気前がいいので、みんなから好かれている)
以上が分かっていれば大丈夫。「4年前キベラ地区に初めて建てられた(リサイクルの)施設は大成功であると分かったので、今やケニアでは34のバイオガスのプロジェクトが進行している」ということです。
続けて第8パラグラフ。もしお食事中の方がいたら、この部分は読み飛ばしてください。
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何だか、嫌な予感がします。
要約すると「バイオ・トイレの一つの大きな利点(benefit)は、住民たちが『フライング・トイレ』と呼ぶものが減ったことだ―それはスラム街の住民たちが用をたす(relieve themselves)ために使われるビニール袋(plastic bags)のことで、用をたした後に掘っ立て小屋(shack)のドアから通り(alleys)に投げ捨てられ、時折油断して歩いている通行人に命中していた」ということです。
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・・・信じられない話ですね。
ケニアの貧しい地域には清潔なトイレがあまりありません。そのためビニール袋で用をたしたり(それにしても、それを投げ捨てるのはひどい!)、女性は暗くなってから人通りの少ないところに行って用をたしたりしています。その途中で誘拐されたり性的暴行を受けたりすることが大きな問題となっています。ちなみに、ここに出てきた passers-by がQ1(2) の答えでした。「通行人」ということです。pass by 「通り過ぎる」を名詞にしたもので、単数形は passer-by、複数形は passers-by となるので注意しましょう。
さて、日本語でも「用をたす」と言うように、英語でも「トイレ」に関することは、直接的ではなく、遠まわしな表現をします。いくつか覚えておきましょう。
Vocabulary Pocket
【「用をたす」という表現】
go to the bathroom
relieve oneself ※直訳は「自分自身を楽にする」
do one's business ※日本語の「用をたす」と同じ発想
answer the call of nature ※call of natureは「便意」
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