(1) Look at you!
いきなり口語特有の表現が出てきました。直訳すれば「あなたを見なさい」となりますが、ここでは久しぶりに見た同僚の姿を見て思わず出てしまった感嘆のニュアンスがあります。このように、私たちが学校で習った意味とは違うニュアンスで使われる口語表現はたくさんあります。
例をあげましょう。Tell me about it.という口語表現があります。文字通りの意味では「それについて私に教えてください」となります。これが口語で使われると、「そうそう、そうだよね」とか「その通り」という相槌の意味になるのです。
こういった表現は出会ったときに覚えていくしか習得の方法がありません。映画やテレビドラマを見ているとこういう口語表現にたくさん出会います。そのつど覚えていきましょう。そして、覚えたら誤用を恐れずにどんどん使ってみることです。ネイティブがそのまま会話を続ければあなたの用法が正確な証拠。「?」といった表情をされたらそれは間違った使い方です。そうしたら、「自分の言い方はなぜおかしかったの?」とたずねてみるのも上達の近道です。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言いますよね。
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(2) How've you been?
僕が学生時代にアメリカに留学していたころ、How are you?という挨拶が頻繁に使われていることにまず驚きました。知っている人に出会ったらまずHow are you?と挨拶します。「アメリカ人ってずいぶんと挨拶好きだなあ」と感心したのを覚えています。
このHow are you?にはたくさんのバリエーションがあります。How are you doing? How is it going? What's happening?などです。
僕が中学生のころは「初めまして」の挨拶は「How do you do?」だと習いました。ただ、僕はアメリカでこの台詞を聞いたことはほとんどありません。初めて会った人でもHow are you?(上で触れたバリエーションも同様に使われます)と挨拶するのが普通です。
AはHow are you?が現在完了形になったもので、しばらく会っていなかった友人などに向かって使われます。
ところで、こういった挨拶はとても早口で言われるので慣れないうちは聞き取れないかもしれません。How are you doing?はまるで「ハウヨォドゥーイン」、How is it going?は「ハウズィットゴーイン」と聞こえます。ただ、ネイティブにとっては私たちが発音しがちな「ハウ・アー・ユー・ドゥーイング」よりもよっぽど自然に聞こえるものなのです。
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(3) Great to see you back.
これも会話でよく使われる決まり文句のひとつです。
初めましての挨拶ではHow do you do?やHow are you?以外にも「お会いできて光栄です」という意味のIt's nice to meet you.(Nice to meet you.と省略しても結構です)もよく使われます。Bはこれのバリエーションのひとつです。初めて会う人にはNice to meet you.と言うことが多いですが、知り合いにあったときにはGood to see youとかGreat to see youが使われます。GoodのほうがNiceよりもくだけた感じがあります。また、meetは初めて会う人に使われることが多いのに対し、seeは知り合いに対して使われます。また、Goodの代わりにGreatを使うと「会えてよかった」という気持ちがより強調されます。
Bで末尾にbackが使用されているのは「お帰りなさい」というニュアンスを出すのが目的です。
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(4) since you left for the States?
ここでsinceという言葉が出てきました。後で説明するagoやbefore、afterと同じように時間の前後を表す単語のひとつです。そのなかでもsinceはある特定の時点から現在まで継続する時間の流れを表現する単語です。Cで「ある特定の時点」というのは(when) you left for the Statesですね。つまり、ジムがアメリカへ行ってから現在まで続く時間の流れがtwo yearsだったということなのです。
sinceは継続性を表す単語ですから現在完了の文章の中で頻繁に使われます。Cが含まれる文章も現在完了の文章であることを確認してください。
left for〜は「〜に向けて出発する」という意味のイディオムです。また、StatesはUnited States(アメリカ合衆国)が省略されたものです。
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(5) things look pretty different from two years ago
ここではagoが出てきました。agoは現在を基準にしてどのくらい過去なのかを言い表す単語です。Gの解説で詳しく説明します。
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(6) Speaking of differences…
Speaking of〜は「〜と言えば」という決まり文句で、相手の言葉の中に出てきたキーワードから話を発展させたいときに使われます。
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(7) I quit smoking.
quitという単語は「やめる」という意味ですが、この意味で使う場合にはその後に続く単語は必ず「−ing」形になります。つまり、quitが「やめる」という意味で使われるときには不定詞(to+動詞原形)はquitの後には続かないということです。これはやはり「やめる」、「止める」などの意味を持つstopでも同じことです。
不定詞を使うと「〜する目的でquit/stopする」という意味になり、「〜をやめる」という意味にはならないことに注意しましょう。例えばI stopped to think.とすると「考えるために立ち止まった」という意味になり、「考えるのをやめた」という意味にはなりません。
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(8) before you used to smoke
さてbeforeが出てきました。beforeはある特定の時点よりも過去のことを表現する単語です。Dで触れたagoと用法が似ていますが、決定的な違いがひとつあります。それは、agoは必ず「現在よりも過去」という意味になることです。beforeにはそういった制限がないので、現在よりも過去を表現するだけでなく、ある過去の時点よりもさらにさかのぼった過去を言い表すことも可能です。
例えば2010年の今、two years agoと言えばそれは必ず2008年のことです。ところが、two years before 2008とすると、ある特定の時点(2008年)よりもさらに2年前ということですから2006年になります。ちなみに語尾の2008を言わずに単にtwo years beforeと言えば、現在から2年前、すなわちここでも2008年のことになります。
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(9) after they stop smoking
afterはbeforeと対照的な意味を持つ単語で、ある特定の時点から先のことを表現します。
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(10) And I did.
doという単語が動詞で使われる場合、「〜をする」という意味(例:Do it yourself.)とは別にほかの動詞の代役を務めるという便利な用法が可能です。ただし、あくまでも代役ですから主役(本来の動詞)がすでに会話や文章の中で出てきていることが大前提です。
では、Iのdidはどの動詞の代役を務めているのでしょうか。Iの直前の文章(But they usually say that people gain weight after they stop smoking.)には3つの単語(say、gain、stop)が使われています。この3つのいずれかの代役をIのdidは果たしているのです。
Butで始まる文章ではsayに対する主語はthey、gainに対する主語はpeople、stopに対する主語はtheyです。ここで使われているふたつのtheyはいずれも特定の「彼ら」をさすのではなく、「一般的な人々」という意味を持ちます。その意味では同文で使われているpeopleと同義です。
Iのdidが「一般的な人々」を主語とするsay、 gain、 stopのどれかの代役を務めているならば、なぜ主語をtheyやpeopleから「I」に変えたのでしょうか。
それは、theyやpeopleを主語にしている動詞(say、gain、stop)の言い表す内容のいずれかがI(=Takuro)にも当てはまるからです。最もよく当てはまる動詞はどれでしょうか。
「people gain weight after they stop smoking」と言っているのはジムではありませんからsayではありません。彼は実際に禁煙に成功したのですから、あえてここでそれを繰り返す必要もありません。したがってstopでもなさそうです。残るはgain。これが正解です。つまり、一般的に言われていること(people gain weight after they stop smoking)が実際に自分にも当てはまったということを言いたいがためにジムは主語をIに変え、gainの代わりにdidを使ったのです。
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(11) No pain, no gain.
これは言わばことわざのようなものです。文字通り「痛み(pain)なくして得るもの(gain)なし」という意味です。これは僕の好きなアメリカンフットボールでよく使われます。痛い思いをして相手とぶつからなければボールを前に進められない(フットボール用語でボールを前に進めることをゲインと言います)からです。
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(12) Of course not.
Of courseが「もちろん」という意味なのはご存知ですね。否定する内容を当然とする言い方がKです。日本語では「もちろん違う」という意味になります。
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