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私の子供の英語教育

By Mina Hisada / 久田 美菜

加熱する子どもの英語教育。小学校での英語教育がスタートするのもあと少し。このコラムでは、その年代のお子さんを持つママさんたちに登場していただき、どのような英語教育を子どもにしているか、どのような教育が理想的と思うか、といったお話をしてもらいます。
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久田 美菜

Vol. 10: 「英語=話せる」ではなく、「英語を使って何ができるようになるか」が大切

Nさん・ゆうちゃん(5歳)・めぐちゃん(1歳)

 

今回は、埼玉県桶川市に在住のNさんに登場していただきます。Nさんは幼稚園・年中さんのゆうちゃん(5歳)とめぐちゃん(1歳)のお母さんです。これまで登場してくれたキッズの最年少です。

♣ 英語と子どもたち ♣


二人のお子さんたち

まず、「胎教」についてお聞きしたいのですが、お子さんがお腹にいるとき、英語の胎教はしていましたか。

特に胎教を意識して何かをするということはなかったです。ただ、母親が出来るだけ幸せな気持ちでいることが大切だと思っていたので、好きなCDを聞いたりしていました。

そうですか。では、英語に関して、何かお家でやっていることはありますか。

うちでは、英語に限らず、すべてのことを「早めに」やらそうということはしないようにしているんです。「自然に」がモットーなので、なるべく本人たちが興味を持ったときにと思っています。英語のCDや本はありますし、NHKの『英語であそぼ!』なども、見てはいますけれど。というのも、今の生活では英語が生活の中に自然に入ってきていますよね。でも、強制はしていません。

なるほど。では、早期英語教育についてはどう思われますか。


とても工作が得意な二人のお子さまの力作の数々をごらんあれ!

早ければ早いほどいいっていうのはどうかなって思います。一人一人に合った時期というのがあるのではないでしょうか。私の周りでも、英語教育に熱心なママたちはいますが、何を目標にして、どうしてこれほどまで英語に熱を入れられるのか?と思うことがあります。というのも、小さいころってママも一緒に通わなきゃならないんですよね。それは、親にとっても負担であり、時間もお金もかかることですよね。果たして、そんなに手間暇かけて習っている英語を、将来その子は使うのだろうか。もしかして全然使わない可能性もあるのではないか、とか考えてしまいます。私の身の回りで、英語を小さいうちから習わせたいという人は「自分が英語で苦労したから」とか「勉強ばかりの英語だったから、楽しんで身につけてほしいから」っていう人が多いように思います。逆に、英語が得意なママの場合、子どもには何もさせていないっていう人もいますよ。

Nさんの上のお子さんは、幼稚園の年中さんですよね。英語の時間はあるのでしょうか。

はい、あります。ここは片田舎で、ちょっと車を飛ばすと田んぼがあったり、幼稚園にも「稲刈りの時間」があったりするところなのですが、この辺りでも英語の時間がない幼稚園は、ないんですよ。実は、「英語の時間がない」幼稚園に入れたかったのですが、逆に見つかりませんでした。(笑)週一回、外国人の先生が来て、カルタ取りをしたり、クイズをしたりしているみたいです。子どもは楽しんでいるようなので、それはそれでいいと思っていますが。

そうなんですか。英語の時間がない幼稚園が見つからなかったとは・・・。それほど親御さんからの要望が高いんでしょうかね。


そうだと思います。でも、結局、英語ってツールではないでしょうか。英語=話せるではなくて、「英語を使って何ができるようになるか」とか「英語を使って自分の専門分野がこなせるようになる」ことこそ大切なのではないかと思います。そういう意味では、発音よりも、中身だと思います。学生時代、津軽なまりの英語を話す先生がいたのですが、その先生の英語には、たとえたどたどしくても、相手に「聞きたい!」と思わせる何かがあったんです。つまり、中身ですよね。私は、そこが一番大事なのではないかと思います。

♣ 英語とわたし ♣

なるほど。では、Nさんご自身は、英語とどのように接してきたのでしょうか。

小学校6年生のころ、英会話教室に週一回から2回のペースで通っていました。英会話教室といっても、テキストを広げて文法事項を勉強したり、スピーチコンテストがあったり、劇をしたりと多岐にわたるものでした。

そうなんですか。それは、Nさんが通いたいと言い出したんですか。


親の勧めか自分からかは、よく覚えていないんですが・・・。当時、英語に対して「かっこよさ」というか「ほのかな憧れ」のようなものを感じていたんです。英語は楽しく、面白く、かっこいいものであって、そこで勉強したお陰か中学や高校に入ってからもずっと好きな科目でした。大学に入ってからは、論文を英文で読み書きしなければならなくなったので、訓練していくうちに、専門分野を英語で読み書きできるようになりました。その時は、まだ話す必要はあまりなく、読み書きに力を入れていました。私のいた大学の研究室には外国人の先生や留学生がたくさんいたので、そういった面でも刺激を受けていた気がします。大学卒業後、海外に住む機会があり、その時に初めてこれまで培った英語力を「話す」方にシフトを移していきました。そうですねぇ、「話す」ことに関しては、住んでいるうちに慣れるものなんだなぁと思いました。ペラペラとはいかなくても、困らない程度に暮らしていけましたから。

♣ 理想の小学校英語教育とは ♣

 

なるほど。でも、それはNさんの英語力にきちんとしたベースがあったからですよね。最後に2011年から、全国の小学校で「英語」が必須科目になりますが、それについてはどう思われますか。

いいと思います。楽しく少しずつ勉強するのであれば、問題ないのではないでしょうか。小学校から英語をやってくれるのであれば、なおさら外で英会話教室に通わせる必要はなくなると思います。

今日は、お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

あとがき

研究員をしていたNさんは、これまでアカデミックな世界で色々な人たちと接してきました。とても自然体で、優しくほんわかした雰囲気のお母さんです。「早期英語教育に必要性を感じないのは、ペラペラ話せなくても、国際会議で、対等に議論している先生方をたくさん見てきているからかも」とおっしゃっていましたが、まさにそこなのだと思います。そして、Nさんの言葉を借りるなら、それは「中身のある英語を話すこと」なのだと思います。何か大切なことに気づかされたインタビューでした。ところで、長女のゆうちゃんは、工作が大好き。(写真をご覧ください)。あれよあれよという間に、色々な物を作ってくれました。本人の自主性に任せると、可能性がたくさん広がっていくんだということも実感させられたひとときでした。

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