今週も週刊ST掲載の記事の解説を通して、英語力を伸ばしていきましょう。今回取り上げる記事は、8月15日号の"Scientist in anthrax case commits suicide"(p. 7)です。まずは文章を読んで以下のExercise をやってみましょう。
Q1:本文中から以下の意味を持つ英単語を抜き出してみましょう。
(1) a substance in the form of very small grains
(2) a paper cover in which you put a letter
(3) the bad effects or results of a particular event, especially when they are unexpected
Q2:次の文章のうち、本文の内容と合致するものには「T」、合致しないものには「F」の記号を付けましょう。
(1) 炭疽菌事件が米国で起きたのは、9月11日の同時多発テロ事件直前の2001年のことだ。
(2) アイビンス博士は炭疽菌のワクチンの研究で有名で、この分野での特許も取得している。
(3) アイビンス博士は米司法省を訴え、和解金として約600万ドルを受け取った。
(4) アイビンス博士の研究所は炭疽菌事件が起きたことにより閉鎖に追い込まれた。
Q3:イギリス人の友人が、何やら怪しい白い粉の付いた封筒を開けようとしています。あなたなら、英語で何と注意しますか?
今回のお話は、2001年アメリカで起きた「炭疽菌事件(炭疽菌の入った郵便物が議員事務所やマスコミに送りつけられ、5人が死亡した事件)」の容疑者が自殺してしまったという話題です。亡くなったのはブルース・アイビンス博士。炭疽菌ワクチン研究の第一人者で、陸軍感染症医学研究所に細菌学者として長年勤務していた人物です。
:炭疽菌の研究者が、なぜ炭疽菌によるテロを起こしたんですかね?
そういった動機の部分も、博士が亡くなってしまった今となっては、はっきり分かりません。「事件を起こすことでワクチンの必要性を認識させることを狙った」や「ワクチンの効果を調べるためにやった」などさまざまなことが言われていますが、いずれも憶測の域を出ません。先日米司法省は、事件はアイビンス博士の単独犯行であったと断定し、捜査終結の手続きを始めると発表しました。これ以上のことを解明するのは難しそうですね。
さて、このアイビンス博士。優秀な科学者として名声を得る一方で、心には深い「闇」を持っていたようです。文章を読みながら、どんな人物であったのかを探っていきましょう。
では第1パラグラフから。まずはアイビンス博士の説明です。「ブルース・E・アイビンス氏は手品を披露し、園芸もしていて、教会で音楽を演奏し、赤十字のボランティアもこなし、優秀な科学者であり…」。これだけ読んだだけでも、とても多才な人であると分かりますね。
:先生、juggler は辞書に「手品師」って書いてあります。これはアイビンスさんの職業ではないんですか?
確かに日本語で「手品師」というと「手品を職業としている人」を表しますが、英語の -er はもう少し意味が広く、「趣味でやる人」くらいの意味まで含むことがあります。同じ文章内に gardener ありますが、これも「庭師」ではなく、この場合は「園芸好きな人」くらいの意味です。さて、大事なのは and から先ですよ。suspected 〜は「〜という疑い(容疑)がある」ということ。すなわち「複数殺人の容疑がかけられており、捜査の手が自分に伸びてきて、最近自殺をした」という内容です。ここで使われている動詞 commit に注意。commit は以下のように「(良くないこと)をする」という意味があります。
Vocabulary Pocket
【commit の用法】
commit a crime:「罪を犯す」、「悪事をはたらく」
commit (a) murder:「殺人を犯す」
commit (a) robbery:「強盗をする」
commit suicide:「自殺をする」
commit an error:「間違いを犯す」
commit a foul:「反則をする」
こうした基本的な例を覚えておけば、今後新しいパターンが出てきても対応できますね。しっかり覚えておきましょう。
続けて第2パラグラフ。ここから第4パラグラフまでは、2001年の炭疽菌事件について書かれています。要約すると「メリーランド州在住のアイビンス博士は2001年9月11日にニューヨークを襲った同時多発テロ直後に、炭疽菌の入った手紙を送りつけた疑いがある」ということ。
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