続けて第3パラグラフ。ここも要約すると「彼女は(今まで身を隠していたが)2年前に死んだブーガーを複製するために公の場に出た。過去の『がらくたのような話』ではなく、愛犬複製のことに注目してほしかった」ということ。「過去の『がらくたのような話』(the "garbage" of the past)」とは、もちろん31年前の拉致・監禁事件を指します。被害者にとっては大事件ですが、彼女に言わせれば「がらくた」なんですね。
:先生、Booger って犬ですよね?なのに who を使ってもいいんですか?
確かに「who は人間に対して。動物に対しては which や that を使う」と書いてある文法書もありますが、これは話し手の「気持ち」によって変化します。例えばペットを飼っている人にとっては、たとえ動物でも家族同然でしょう。そんなときは who を使うこともあります。同じく犬や猫を it ではなく he や she で表すこともありますよ。
続けて第4パラグラフ。ここでのポイントは2文目の recognize。辞書を引くと「認識する」という難しい訳語が出ていますが、要するに <recognize + 人>で「人が誰だか分かる」ということです。このパラグラフを要約すると「(愛犬を複製した)Bernann McKinney と(宣教師を監禁した)Joyce McKinney は非常に似ている。誕生日や出身地などの情報から、英国のタブロイド紙が Bernann McKinney が Joyce McKinney であることを突き止めた」ということ。ちなみにここに出てきた resemblance がQ1(2) a similarity between two things or people の答えでした。「類似」という意味で、resemble 「〜に似ている」の名詞形です。
続けて第5パラグラフ。ここで難しいのは2文目の left him with no question ですね。〈leave + 人 + with 〜〉で「人に〜を残す」という意味です。
His tragic death left her with an everlasting scar.(彼の非業の死は、彼女に一生消えない傷を残した)
本文では、with no question なので「疑問を残さない」、すなわち「(かつて Joyce の事件のドキュメンタリーを制作したユタ州の映画監督が Bernann と犬の写真を見て)彼女が Joyce McKinney であることに疑問の余地はなかった」ということです。
第6、7パラグラフは続けて見ていきましょう。内容を要約すると「(愛犬複製のため)韓国にいる間、彼女は脚本家であると称しており、名刺にハリウッドの住所が書かれていたが、それは実在しない住所だった」。「Joyce McKinney の事件は安っぽい小説の筋書きのようだった。出身はノースカロライナ。彼女はミス・ワイオミングに選ばれるほどの美貌の持ち主だったが、大学でモルモン教徒の学生にほれ込んだ」。最後の文にある obsessed は単に「好きになる」という意味ではなく、「四六時中〜のことが頭から離れない」という、少し病的なニュアンスを持つ語です。
続けて第8パラグラフ。「そのモルモン教の学生が(布教のために)イギリスに行くと、彼女は私立探偵を雇って彼の居場所を探した」という内容です。
:そこまでするなんて怖すぎです!
こうなると完全なストーカーですね。さて、そうして彼の居場所を突き止めた彼女は、男の共犯者とともに、とんでもない行動に出ます。第9パラグラフ。「彼女と男の共犯者(accomplice)は、その21歳のモルモン教の宣教師を誘拐し、(イングランド南西部の)デボンにある『ハネムーン・コテージ(と彼女がそう呼んでいる場所)』に彼を閉じ込め、ミンクの毛皮の付いた(mink-lined)手錠でベッドに縛り付けた」。これはもう完全に犯罪です。
:・・・なぜ手錠にミンクの毛皮が付いているんですか?
おそらく彼女の「趣味」だと思われます。そうすることで興奮するんじゃないでしょうか。ただ、これは本人に聞いてみないと分かりませんね。さすがに怖くて聞けないけど…。ちなみにここに出てきた accomplice がQ1(3) a person who helps someone to do something bad 答えでした。「共犯者」ということです。続く第10パラグラフは「そこで彼は彼女から何度も性的暴行を受けたが、自力で脱出し、警察に通報した」ということ。その様子を想像するだけで怖くなりますね。
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