今週も週刊ST掲載の記事の解説を通して、英語力を伸ばしていきましょう。今回取り上げる記事は、8月29日号の"英語で読む偉人伝(源義経)"(p. 8)です。まずは文章を読んで以下のExercise をやってみましょう。
Q1:本文中から以下の意味を持つ英単語を抜き出してみましょう。
(1) to make someone or something less powerful
(2) very angry
(3) kindness and pity to forgive someone that you have power over
Q2:以下の Why で始まる質問に、本文中の語句を使って英語で答えてみましょう。
(1) Why didn't Yoritomo kill Shizuka Gozen?
(2) Why was Yoshitune forced to make a last stand and finally kill himself?
Q3:第4パラグラフに「義経は静御前に都に戻るように説得した」とあります。このとき、彼は彼女に何と言葉をかけたと思いますか?義経になったつもりで、英語で言ってみましょう。
今週は、「英語で読む偉人伝」の「源義経」を取り上げます。最初に前回のあらすじを軽くお話しましょう。壇ノ浦の戦いで平氏を滅亡させた頼朝。その後、弟の義経との仲が悪化していき、ついに頼朝は義経を討つ決心をします。これを受けて、今週の内容です。
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兄弟なんだから仲良くすればいいのに・・・。
現在とは考え方が違いますからね。この時代、たとえ兄弟であっても覇権をかけて争うことは決してまれではありませんでした。では、第1パラグラフから読んでいきましょう。1文目の cunning に注意。日本語で「カンニング」というと試験での不正を意味しますが、英語では「巧妙な、狡猾(こうかつ)な、ずる賢い」という意味です。日本語の「カンニングする」は、英語では cheat を使います。
Tim cheated on the history test and got an A.(ティムは歴史のテストでカンニングをしてA評価をもらった)
このパラグラフは要約すると「(後白河)法皇は狡猾で、頼朝と義経を戦わせ源氏の勢力を弱めようとした。しかし頼朝が軍隊を集め始めると態度を翻し、(義経追討の)指示を頼朝に出した」ということ。この時代は天皇支配から武士の支配に変わるちょうど過渡期ですが、一応最高権力を持っているのは、まだ後白河法皇です。だから頼朝も法皇の指示がなければ、勝手なことはできないわけです。ちはみに、ここに出てきた weaken がQ1(1) to make someone or something less powerful の答えでした。「(何かを)弱める」ということです。この weaken のように en はいろいろな語に付いて、その語を動詞に変える働きがあります。いくつかパターンを見ていきましょう。
@前に付くパターン
・en + rich「豊かな」→ enrich「豊かにする」
・en + large「大きい」→ enlarge「拡大する」
A後ろに付くパターン
・weak「弱い」+ en → weaken「弱める」
・threat「脅し」+ en → threaten「脅す」
B前後に付くパターン
・en + light「光」+ en → enlighten「啓発する、教える」(※「光をあてて分からせる」ということ)
こういったことを覚えておくと、未知の単語に出合っても、形から意味を推測できるようになりますよ。続けて第2パラグラフ。1文目は「義経はこのことに驚き失望して(disheartened)、都(capital)から出て行く決心をした」。この場合の「都」とはもちろん京都のことです。2文目の set out は「出発する」という意味。「彼は僧兵(warrior monk)の弁慶や遊女の静御前など、忠実な(loyal)仲間と一緒に出発した」ということ。頼朝に狙われ、命の危険を感じた義経は、仲間と一緒に京の都を離れることにしたわけです。
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静御前って義経の奥さんだったんですか?
厳密に言えば奥さんではなく愛人ですが、かなり親密な関係だったようですね。静御前は義経の子どもも産んでいます。静御前の義経に対する想いがいかに強かったかを示すエピソードがこの後に出てきますのでお楽しみに。
続けて第3パラグラフ。最初の At first に注意。「最初は」という意味で、以下の例のように後で変わることを暗示しています。
At first I didn't like Mr. Johnson's class, but I really enjoy it now.(最初はジョンソン先生の授業が好きではなかったが、今はとても楽しんでいる)
また2行目の nearly にも注意。これは almost とほぼ同じ意味で使われる副詞です。大切な用法を持っているので、まとめておきましょう。
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almost/nearly の用法
@形容詞・副詞の前で「ほとんど〜」
A動詞の前で「もう少しで〜するところ」
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どちらも「あることに限りなく近いが、ぎりぎり届かない感じ」というイメージを持つ語です。例文で確認しておきましょう。まずは@の例から。
The bottle was almost [nearly] empty. <@>(ボトルはほとんど空だった)
このように「完全に空ではないが、ほとんど空といってよい状態」を表します。続けてAの例。
The drunken man almost [nearly] fell off the platform. <A>(その酔っ払いはもう少しでプラットホームから落ちるところだった)
このように動詞の前で使われると「〜しそうになったが、ぎりぎりしていない」という意味を表します。
さて、以上のことが分かっていれば、このパラグラフは大丈夫ですね。「最初、義経は九州に逃げようとしたが、嵐(storm)により船がほとんど難破してしまい、(都に)戻らざるをえなかった。1185年の冬、逃亡者の集団は吉野へ向かった(made their way)が、ここでも彼らは安全ではなかった。頼朝のスパイがすぐに彼らの居場所を突き止めた」ということです。
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