では、本文に戻りましょう。踊ってみせてくれと言われた静御前は、どうしたのでしょうか。She did で始まる文章から。「彼女は踊ったが、踊りながら義経への愛を歌った」。did は danced の代わりに使われています。このとき静御前は以下のように歌ったとされています。
「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき」
吉野は静御前が義経と別れた場所。義経を恋い慕う歌ですね。これに対して「頼朝は激怒した(furious)」とあります。その次の ordered … killed. は、もう大丈夫ですね。
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「彼女が殺されるように」、つまり「彼女を殺せ」と命令したってことですね。
その通り。先ほどの構造ですね。最後の文。「しかし頼朝の妻が彼を止めて、情け(mercy)をかけるようにお願いした」ということ。ここでも plead という動詞が使われているので、show が原形になっています。ちなみにここに出てきた furious と mercy がそれぞれQ1(2)と(3)の答えでした。furious は angry よりも、さらに怒っている様子を表します。
続けて第6パラグラフ。Meanwhile は「一方」という意味で話を変えるときの表現。 wherever は「どこでも」ということ。全体を要約すると「一方義経はどこに行っても追ってくる頼朝の家来から逃げて北へ向かい、(義経派であった)藤原秀衝のいる平泉に着いた」。
続けて第7パラグラフ。ここでも「拒否」の意味を表す would not 〜の形が使われていますね。「どうしても許可を与えようとしなかった」ということです。全体を要約すると「頼朝は(義経をかくまった)平泉を攻めたかったが、法皇は許可を与えず、頼朝はひたすら待った」。
最後のパラグラフ。「間もなく秀衝は病に倒れて亡くなった」。次の文の made は「使役動詞」と呼ばれるもので、文法的に非常に大切な働きがあるのですが、今回はスペースの関係で説明は省略します。今後出てきたときにじっくり解説しましょう。簡単にいうと「〜させた」ということ。「秀衝は3人の息子に義経を守るように約束させた」。次の文が複雑なので、細かく見ていきましょう。
But Yoritomo persuaded the cloistered emperor「しかし頼朝は法皇を説得した(←何をするように説得?)」、to allow him「頼朝に許可する(←何することを?)」、to attack Hiraizumi「平泉を攻める」、and this caused「そしてこのことが引き起こした(←何を?)」、Hidehira's son to betray Yoshitune「秀衝の息子が義経を裏切る(betray)」。
つまり、頼朝が法皇から平泉を攻める許可を受けたため、秀衝の息子の一人は身の危険を感じ、父の遺言を無視して義経を裏切ってしまったということです。次の文の under attack に注意。under には「〜が進行中」という意味があります。例えば under construction で「建設中」。この場合は「自分が攻められて(attack)いる」すなわち「頼朝の軍勢が迫っていることに気付いた」ということ。最後の文の There is no choice but to 〜は「〜するよりほかにない」という決まり文句です。「義経は最後の抵抗をするよりほかになかった。最後まで忠実だった弁慶が義経を守って死ぬ中、彼自身も自ら命を絶った」。こうして義経は、その短い生涯を閉じたのでした。
Exercise解答
Q1 (1) weaken (2) furious (3) mercy
Q2 (1) Because his wife stopped him, pleading that he show mercy. など
(2) Because one of Hidehira's sons betrayed him. など
Q3 Shizuka, listen closely. I'm going north, but I can't take you with me. I don't want to put your life in danger. You go back to the capital. Don't worry. I promise I'll come and get you as soon as everything is settled. など
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