●英字新聞社ジャパンタイムズによる英語学習サイト。英語のニュース、よみもの、リスニングなどのコンテンツを無料で提供。無料見本紙はこちら
英語学習サイト ジャパンタイムズ 週刊STオンライン
『The Japan Times ST』オンライン版 | UPDATED: Wednesday, May 15, 2013 | 毎週水曜日更新!   
  • 英語のニュース
  • 英語とエンタメ
  • リスニング・発音
  • ことわざ・フレーズ
  • 英語とお仕事
  • キッズ英語
  • クイズ・パズル
  • 留学・海外生活
  • 英語のものがたり
  • 会話・文法
  • 週刊ST購読申し込み
     時事用語検索辞典BuzzWordsの詳しい使い方はこちら!
カスタム検索
 

スポーツ名言集

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

世界各地で知られるスポーツの名言を集め、それを紹介しています。
筆者へお便りを送る

Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 9 : ハンク・アーロン

"I don't want them to forget Babe Ruth,I just want them to remember me!"
(ハンク・アーロン)

 ハンク・アーロンは説明がいらないくらいに有名な選手でしょう。1952年から76年までメジャーリーグで活躍し、755本の通算本塁打のMLB記録保持者です。この記録は王貞治現ソフトバンク・ホークス監督が1977年(昭和52年)に抜きましたが、アメリカ人の中にはこの事実を知らない人も多く、今でもハンク・アーロンの755本が「世界記録」だと言われることがあります。

 アーロンは74年4月8日に通算715本目のホームランを打ち、ベーブ・ルースのMLB記録を塗り替えました。しかし、この快挙は必ずしもすべての野球ファンから祝福されたわけではありません。伝説のプレーヤーとして絶大な人気を誇るルースの記録が破られることは、一部のファンにとっては認めたくない事実だったのです。彼らにとってアーロンはルースが築き上げた聖域を侵す外敵に見えたのでしょう。また、アーロンがアフリカ系アメリカ人であったがために、露骨な嫌がらせも受けました。人種差別の言葉を並べた悪意の手紙を送られたことも一度や二度ではなかったそうです。

 ルースの記録に近づくにつれて、アーロンの周りはにわかに騒がしくなります。当時のアーロンはこういっています。「最近は『ベーブ・ルース』の言葉を聞かない日はないよ」と。メディアは記録更新の話題を毎日取り上げ、野球を知らない人までがアーロンの活躍に注目するようになります。それでも、人々にとってルースはあまりにも偉大すぎる存在だったのです。そこで、標題の言葉が生まれたわけです。

 この言葉ではforget とrememberの対比がうまく使われています。Forgetは文字通り「忘れる」という意味ですが、rememberは「思い出す」のほかに、「覚えておく」という意味合いがあります。この場合、「忘れない」と訳すと日本語として自然な感じが出ます。

 アーロンはこのrememberをどちらの意味で使ったのでしょう。「ベーブ・ルースのことばかり話題にしないで、その記録を破った私の名前も覚えてほしい」との意味にも解釈できますし、また、「ベーブ・ルースとともに私のことも忘れないでほしい」との意味にも受け取れます。ただ、アーロンが受けた人種差別のことを考えると、前者の意味が強いような気がします。そして、「覚えてほしい」というよりも「認めてほしい」という気持ちが入っていたのではないでしょうか。

英語のニュース |  英語とエンタメ |  リスニング・発音 |  ことわざ・フレーズ |  英語とお仕事 |  キッズ英語 |  クイズ・パズル
留学・海外就職 |  英語のものがたり |  会話・文法 |  執筆者リスト |  読者の声 |  広告掲載
お問い合わせ |  会社概要 |  プライバシーポリシー |  リンクポリシー |  著作権 |  サイトマップ