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スポーツ名言集

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

世界各地で知られるスポーツの名言を集め、それを紹介しています。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 25 : シーホークス TE ジェラミー・スティーヴンス、スティーラーズ LB ジョーイ・ポーター

"It's a heartwarming story, but it will be a sad day when he leaves without that trophy."
(シーホークス TE ジェラミー・スティーヴンス)

"I've been asleep all week but I got woke up. I've got my first taste of blood and now I'm thirsty for more."
(スティーラーズ LB ジョーイ・ポーター)

 現地時間2月5日(日本時間6日)にアメリカのミシガン州デトロイトで行なわれたNFLの第40回スーパーボウルから紹介する名言集の第2回です。

 NFLに限らず、大きな試合の前には両チームの選手による「舌戦」が繰り広げられます。フットボールではこれを特に「トラッシュ(ゴミ)トーク」と呼び、まるでゲームの一部分であるかのように注目を集めます。ひと昔に比べると、現在のNFL選手は優等生発言が多く、話題を呼ぶトラッシュトークも減りました。ただでさえ緊張とプレッシャーで神経をすり減らす大舞台を前にして、余計な心配の種をまくなというチーム首脳陣の教育が徹底していることも理由の一つです。

 それでも、普段から歯に衣着せぬ発言をして楽しんでいる選手が急に黙れるはずはありません。今年もやってくれました。

 最初に「ケンカ」を吹っかけたのはシーホークスのTEジェラミー・スティーヴンスでした。今回のスーパーボウルはスティーラーズのベテランRB ジェローム・ベティスの故郷デトロイトで開催されたことが話題で、彼がこの試合を最後に引退する予定であったことは前回ご紹介しました。スティーヴンスの言葉の冒頭でItと言っているのは、ベティスが現役最後の試合を故郷で迎えることを指しています。

 Heartwarmingとは文字通り「心温まる」という意味の単語です。一時日本語で「ハートフル」と言う言葉が流行りましたが、これを「心温まる」とか「心のこもった」という意味で使うならば和製英語です。英語にheartfullという単語は存在しません。ここでいうハートフルの英訳に相当する言葉がheartwarmingなのです。ちなみに「ハートフル」の音に近い単語ではhurtfulがありますが、これは「有害な」という意味なので注意しましょう。

 スティーヴンスは「ベティスのホームカミングは確かに心温まるエピソードだ」と言います。ただし、その後に続く言葉が相手を挑発しているのです。「トロフィーを持たずに(つまり負けて)帰ったら悲劇だ」というのです。

 ここでifではなく、whenを使っていることに注目してください。Ifは仮定の話に使うのに対し、whenはもう少し確実性の高いことを話題にするときに使用する単語です。Ifを使えば「仮に負けて帰ったら」との意味になりますが、whenを使うことによって「負けることは分かりきっているが」というニュアンスがこめられるのです。そこには、「せっかくの美談を悲劇に変えてやる」という底意地の悪い意思が読み取れます。

 さて、これを翌日に伝え聞いたスティーラーズのLBジョーイ・ポーターがまんまと挑発に乗ります。ポーターは人一倍ベティスを尊敬している選手です。デトロイトにおもむくチームのチャーター機で、いきなりチーム全員にベティスの大学時代のレプリカユニフォームを配布し、彼への敬意をチーム全体で表したのはポーターのアイディアでした。また、スーパーボウルの選手入場では、ベティスを先頭に立たせておいて、彼には内緒でチーム全体の入場を遅らせ、結果的にベティスひとりだけが先にフィールドに入ってスタジアム全体の注目が浴びられるようにという計らいを実行したりしました。そのポーターがベティスを侮辱される言葉を聞いて黙っていられるはずがありません。

 ポーターはまず「今週はずっと眠っていたけど、ようやく目が覚めた」といいます。これは、トラッシュトークを控え、おとなしくしていたことを比ゆ的に表現したものです。そして、自分を吸血鬼にたとえ、「血の臭いをかいだらもっと欲しくなった」と続けます。ただでさえ血気盛んなポーター。言うに事欠いて「俺は今血に飢えている」と応酬したのです。

 これは、試合中に流血騒ぎが起きるのではという連想を呼び起こします。このふたりのトラッシュトークはがぜんメディアの格好のターゲットとされ、試合まで地元紙を派手に彩ることになります。幸いに流血騒ぎはもとより、乱闘もありませんでした。

 残念ながらスティーヴンスはこの発言で必要以上に注目されたことがマイナス要因になったのか、試合では普段の彼にも似つかわしくないような落球を相次いで犯し、敗因の一つを作ってしまいます。しかし、彼の発言によって注目度の低かったシーホークスに焦点が当たったことは事実で、それがまたシーホークスの選手の発奮材料になったことも確かです。フットボールのトラッシュトークにはこういった効果もあります。それだけに、後々まで語り継がれる名言(時には迷言)も生まれるのです。

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