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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 2 : 記念すべき初原稿

 新聞記者をやっていて、最もうれしい瞬間は自分の原稿が活字になって新聞に載ることです。ひとつの記事を仕上げるまでにはそれなりの苦労があるものですが、ひとたび新聞に載るとその疲れも吹き飛んでしまいます。今年でジャパンタイムズに入社して16年目を迎え、これまでにいくつもの記事を書いてきた僕ですが、この気持ちは今も変わりません。

 入社して1週間の研修を終えた僕は運動部(当時は報道部運動担当)に配属されました。同期もそれぞれの部署に配属されました。そのうち記者職は僕を含めて7人。誰が一番先に「活字になる記事」を書くのか、競争したものです。

 記者といえば現場で取材し、それをもとに原稿を書くというイメージがありますよね。実際に現役でバリバリやっている記者はそのとおりです。でも、入社したばかりの僕らにはまだ英字新聞の記事を書くテクニックが全くありません。ほとんどが留学や海外での生活経験があるので、それなりの英文は書くことができます。しかし、英作文と英文記事はまったく違います。ST本紙の「これであなたも英文記者」というコラムを読んでいらっしゃる方にはよく分かるでしょうが、ただ文法的に正しく書けばいい英作文と必要な情報をできるだけ多くコンパクトに書く新聞記事では全く似て非なるものなのです。

 当然、僕たちはそのテクニックを学ぶことから始めなければなりません。僕の場合はプロ野球の記事を翻訳することがその練習でした。共同通信から配信される試合の日本語の記事を英語に直すのですが、ここで僕は大きな壁に直面してしまったのです。

 僕が一番苦戦したのは、野球特有の言い回しを英語でどう表現すればいいかということでした。「3安打4打点の活躍を見せた」、「押し出しの四球で決勝点を挙げた」、「清原の適時打などで3点を追加し、」などをどう英訳すれば全く分からなかったのです。

 ここには2つの問題点がありました。ひとつは専門用語です。打点をRBI、四球で打者を歩かせることをwalkということなどは入社するまで知りませんでした。しかし、これは時間をかけて専門用語を覚えていけばいいから、それほど焦りはしませんでした。僕は毎日、ジャパンタイムズとにらめっこしながら野球で使う英語をピックアップし、それをカードに書き込んで覚えたものです。

 もうひとつの問題は、これよりも少しだけ深刻でした。それは、日本語と英語の記事のスタイルの違いです。例えば、日本語の記事では上記のように「清原の適時打などで」という言い方は日常的に使われます。しかし、英文記事では「〜などで」のようなあいまいな表現は許されません。誰が何点入れて、誰が何本のヒットを打ったのか、こういった事実の記述が必要になるのです。

 また、日本語の記事は「前文+本記+雑感」という構成になっているのが普通ですが、英文ではこういった構成はありません。全体がひとつの物語のようになっているのです(それが証拠に、ジャパンタイムズの編集部では記事を指すのにarticleよりもむしろstoryという単語がよく使われます)。日本語の記事構成になっているものを英文記事のスタイルに直すのは意外に難しいのです。日本語の記述に忠実に翻訳するとそれは英語を使ってはいますが、およそ英文記事とは呼べないものが出来上がります。これを英文記事らしいものに仕上げるまでにはやはり時間がかかったものです。

 くる日もくる日も僕はプロ野球の記事の翻訳に精を出すことになりました。翻訳を意識しながら英文を読むと、改めて大きな発見がたくさんありました。先述の専門用語もそうです。同じホームランを意味する言葉でも、home runを始め、 homer、 four-bagger、 roundtripperなどいろんないい方があります。野球記事の中には「ホームラン」という記述が何度も出てきます。それをすべてhome runとしていたのでは記事が単調になってしまいま す。英語は同じ単語を繰り返し使うのを嫌うので、これも勉強になりました。

 さて、しばらく翻訳で記事のスタイルを勉強していた僕にも現場に出て取材するチャンスが訪れました。そのお話はまた次回に。

次回予告:初めての取材!

 初めての取材はアメリカンフットボールの試合の記者発表でした。せっかく勉強してきたプロ野球の記事の書き方が全く役に立たない…どうする?!

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