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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 17 : 初の大舞台 スーパーボウル取材!

 スポーツ取材で最も大きな舞台といえば、リーグ優勝を決める試合の取材です。プロ野球なら日本シリーズ、JリーグならJリーグチャンピオンシップですね。

 アメリカンフットボールをしていた僕にとって、最大のビッグゲームといえばNFLのスーパーボウルです。現役時代は「一生のうちに一度でいいから生で観てみたい」と思っていたものです。よもやそれが実現するとは当時は夢にも思っていませんでした。

 僕が初めてスーパーボウルを取材したのは1994年1月のことです。きっかけはひょんなことでした。92年の秋ごろだったと思いますが、他社の先輩記者と飲んでいる席で僕は何気なく「一度でいいからスーパーボウルを見たいなあ」とつぶやきました。するとその先輩は「じゃあ、取材すればいいじゃん」といったのです。

 目からうろこをナイフでえぐり取られるような気がしました。当時の僕はスーパーボウルという試合をあまりに大きなものととらえていたので、自分自身が取材するという考えが全くなかったのです。それほど僕にとってスーパーボウルとは大きくて、現実味のないものでした。

 さっそく取材申請書を取り寄せてNFLに送付します。今でこそ電子メールでやりとりをしますが、当時はファックスでの申請でした。送信した直後、もしかしたら自分は大それたことをしてしまったのではないかと不安になりました。僕ごときがスーパーボウルを取材していいのだろうか。いったい費用はいくらかかるのだろうか。スーパーボウルってどんなにすごいんだろう・・・

 そんな夢想が徒労だと分かるまでに時間はかかりませんでした。NFLからあっさりと取材を拒否されたのでした。NFLはメディアを非常に大切にする一方で、取材実績のない会社に対しては閉鎖的な一面を持ちます。ジャパンタイムズのようにアメリカでのNFL取材の実績がない「一見さん」は門前払いを食ってしまうのです。

 こうなると、申請書を送信したときの不安はどこへやら、逆に「絶対に取材許可を取り付けてやる」と燃えてくるのでした。前述の先輩のアドバイスを受けて、僕はNFLに存在感を示すべく、積極的にアプローチしました。まず、ジャパンタイムズに掲載されたNFLの記事の切り抜き、僕自身が書いたフットボール記事のコピー、さらには日本のフットボール雑誌に寄稿した原稿をニューヨークのNFL本部に送付したのです。

 そして、申請が却下されてからちょうど一年後の93年秋にNFLから取材許可証が交付されました。許可証がファックスで届いたと、同僚からの電話で知らされたとき僕は思わず寝ぼけ眼で「よっしゃあ!」と叫んでガッツポーズをとったものです。あのときの感動は今でも覚えています。

 こうして、翌年の1月にアトランタで初めてスーパーボウルを取材することになったのです。初めて自分から取材を懇願し、すべて自分でお膳立てをした取材でした。僕は100年を超えるジャパンタイムズの歴史上でスーパーボウルを取材した初めての記者となったのです(といっても、この価値が分かる社員はほとんどいない)。

 あれから12年。僕は毎年スーパーボウルを取材し続け、その回数も13回となりました。新聞記者としては日本人最多で、アメリカの記者でもここまで回数をこなしている人はそうは多くありません(それでも、第1回から今年の第40回大会まですべてを取材している人が4人もいます)。

 僕が多額の費用を負担するにもかかわらずスーパーボウルを取材し続けてきたのには理由がありまず。それはまた次回にお話しましょう。

次回予告:スーパーボウル取材は記者の登竜門

 スーパーボウルで僕が経験したのは、NFL最高峰の試合だけではありません。スーパーボウルの取材を通して、新聞記者のあり方を学ぶことができました。スーパーボウルでの経験は僕の記者生活のすべてを大きく変えるほどにインパクトの大きなものだったのです。

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