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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 33 : 新聞記者の夢

 以前にも書いたように、僕は文章を書くことが好きでした。ですから、新聞記者という職業に就いたことはそれなりに希望がかなったと思っています。

 新聞記者の仕事をやっていてよかったと思うのは、自分の書いた記事が活字になって公に発表されることです。初めて自分の書いたものが新聞に載ったときはとてもうれしかったものです。今までたくさんの記事を書いてきましたが、自分の記事が新聞や雑誌に掲載されるときの喜びは当時から少しも変わっていません。

 僕は新聞記者になったとき、この仕事をやめるまでにかなえたいという夢がありました。それは本を出版することです。

 新聞記者に限らず、ものを書く仕事をしている人は少なからず同じような希望を持っているようです。僕がこれまでに一緒に仕事をしてきたライターのなかには、会社を辞めて独立し、本を出版した人が数多くいます。

 ある人はついに小説家になってしまいました。その人はスポーツ新聞の記者を経て雑誌社に入社、アメリカンフットボールや相撲の雑誌を経て小説家として独立しました。彼はとても文章がうまく、内容もさることながら文章そのもので読者をうならせるライターでした。僕も彼の文章が大好きで、今でも僕が使う文章テクニックのいくつかは彼の文章から盗んだものです。数年前には彼の作品がミステリー小説に贈られるある賞の最終選考にまで残りました。

 またある人はフリーライターとなって、得意のラグビーに関する著書を出版しました。本を出版するということは自分の仕事が形に残ることを意味します。だからこそかなえたい夢なのかもしれません。

 僕は本を出版するという夢はすでに10年ほど前にかなえました。ベースボールマガジン社から97年に刊行された『NFLに学べ!フットボール強化書』というのがそれです。名前のとおり、アメリカンフットボールのためのテクニックや練習方法を紹介した教則本です。もとはアメリカの大学フットボールでコーチ経験の豊富なトム・バス氏が執筆し、アメリカで出版されたものですが、僕が日本語に翻訳して出版することになりました。

 実はこの原本は僕自身がアメリカで見つけてきた本なのです。93年にアメリカを旅行したときにニューヨークの本屋でたまたま見つけました。日本でも、一部のフットボール指導者の間では知られていたようです。本屋でこの本を読んだときは、なんてすばらしい教則本なのだろうと思いました。そして、帰国後すぐにベースボールマガジン社から出版している月刊『アメリカンフットボールマガジン』の編集部に話を持ち込んだのです。

 当時、すでに僕はフットボールマガジンには寄稿していましたから、話はスムーズに進みました。まずは雑誌の中で連載をして、まとまったところで書籍にしようということになりました。

 雑誌で連載していたのは1年半ほどだったと思います。その後は急ピッチで残りを翻訳して本にすることになりました。原稿が全て書きあがって、出版社と打ち合わせをしているときのことです。編集担当者が「この部分はこういう体裁でいこうと思いますが、『先生』はどう思われますか?」とたずねてきたのです。先生って誰?

 打ち合わせをしている部屋には編集担当者と僕しかいません。「えっ?!先生って俺のこと?」と分かるまでに数秒かかってしまいました。出版者では執筆者のことを先生と呼ぶのが当たり前なのでしょうか。あまりにくすぐったい思いがしたので、とりあえずは先生と呼ぶのはやめてもらいましたが、まあ、悪い気持ちはしませんでした(笑)。もっとも、先生と呼ばれたのは後にも先にもこれだけですが。

 『フットボール強化書』以外には複数のライターが寄稿する本にも原稿を書いたことがあります。本の出版は何度やっても気持ちのいいものです。今度は自分の言葉で書いた本を出版してみたいと思っています。でも、ネタがないんだよなあ。アメフトネタでは売れないだろうし(苦笑)。誰かいい話ありませんか?

次回予告:署名記事の意味

 新聞記事には書いた記者の名前が付記されているもの(署名記事)とそうでないものがあります。これはどのような違いがあるのでしょうか。次回は署名記事の意味についてご紹介します。

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