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記者ほど素敵な商売はない

By Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

ジャパンタイムズ運動部記者、アメリカンフットボールライター、TV解説者のさまざまな顔を持つ生沢浩が15年間の記者生活のなかで見聞きしたこと、思ったことなどを紹介するコラムです。
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Hiroshi Ikezawa / 生沢 浩

Vol. 67 : W杯総括

 川崎市で開催された第3回アメリカンフットボールワールドカップは、初参戦のアメリカが過去2度優勝の日本を延長戦の末に破り、初優勝を飾って幕を下ろしました。日本はW杯3連覇を逃すとともに最大の目標であったアメリカ打倒を果たすことができませんでした。

 日本がアメリカに勝つためには体格差を克服する必要がありました。このため、日本代表チームは早くから準備を進め、スピードとテクニックを重視したチームを作り上げてきました。

 予選で対戦したフランスやスウェーデンにはこれで十分に対抗できましたが、やはり本場アメリカにはいまひとつ及ばずに敗れてしまいました。

 それでも、日本チームのテクニックの高さは素晴らしいものがありました。パワーを前面に押し出してくるアメリカのラン攻撃には苦戦しましたが、パスは成功率を5割以下に抑え、得点を最小限に抑えました。日本のオフェンスはパスを中心に展開し、獲得距離ではアメリカを上回る数字を残したのです。

 結果的にはフットボールの発祥地であるアメリカがその面目を保った形になりました。アメリカを倒して真の世界王者になることを目標としてきた日本の落胆は想像以上です。

 しかし、このW杯は日本にとって大きな意味を持つものでした。日本ではマイナースポーツであるアメリカンフットボールに大きな関心が寄せられたのもそのひとつです。公式ホームページは8日間の大会中に80万件以上のアクセスがあったそうです。これは昨年やはり日本で行なわれたバスケットボールの世界選手権を上回る数字なのだそうです。試合直後などはアクセスが集中してページがうまくつながらないということもありました。

 台風4号の影響が心配されたにもかかわらず、決勝戦には1万人を超える観衆が集まりました。緊迫した試合内容はもとより、場内アナウンスを務めたスポーツアンカーマンの近藤祐司さんの好実況もあって、スタジアムは大いに盛り上がりました。観客が一体となってフットボールを楽しむ姿は、これまでの日本のアメリカンフットボールの試合ではあまり見られなかったものです。日本チームが活躍し、優勝を賭けて戦った試合だからこそ、観客も感情移入して楽しめたのだと思います。

 今大会にはチビっ子ファンも多く駆けつけてくれました。そして、選手は彼らにサインを求められると丁寧に応じていました。こうしたことで将来のフットボール選手が誕生することになれば競技の底辺が広がり、アメリカンフットボールの更なる普及につながることでしょう。

 日本代表チームのプレーの精度の高さは目を見張るものがありました。壮行試合からずっと取材してきましたが、かつてはたまにした成功しなかったような難しいプレーが大会中には面白いほどに決まるようになっています。僕自身はこのことが一番の収穫だったと思います。

 日本代表に集まった選手たちはこれから社会人リーグや大学リーグの各チームに戻り、秋のシーズンに向けて準備を進めます。代表チームで培った高度なテクニックが各チームで生かされれば日本のフットボールはもっともっと強くなると確信しています。

 今回のW杯で日本は惜しくも優勝を逃しました。しかし、将来のアメリカンフットボールの普及と発展に向けて希望の種がまかれたことも事実です。あとはこの種を大事に育てていき、実を結ばせなければなりません。それには選手・コーチはもちろん、フットボール協会関係者、ファン、そして、僕たちメディアの協力と努力が必要となるでしょう。W杯は終わりました。でも、日本におけるアメリカンフットボールの発展は今、ようやく新たな1ページをめくったに過ぎないのです。

次回予告:反省会!

 今回のアメリカンフットボールW杯では久しぶりにほぼ張り付きの取材(大会のすべてにわたって取材すること)を経験しました。その中で自分自身の新聞記者としての活動でいろいろと反省することが出てきました。次回はその反省会を通して、新聞記者の取材活動の実例を紹介しましょう。

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