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『世界の英語教室 (小学校)』
      By Mina Hisada/Illustration by Puri/Photos by Mina Hisada


ALTインタビュー(オーストラリア出身・ジェイソン先生)  

今回は、前回登場してくださったJason先生と古閑結子先生 (こちらをクリック!) に引き続きご登場いただきます。現場ならではの話─ 先生方が意識されていること、今の英語教育が抱える問題点や、それを 克服するためにどんなことをされているか─ など、本音トークが繰り広げられました。  


小学生の英語
ジェイソン先生(左)と古閑先生(右)

■上手になるにはミスしなきゃ!

Q:前回の話と重なってしまうこともあるかもしれませんが、 日本人に英語を教えていて、一番克服すべきことは 何だと思いますか。

A: 「(人前で間違えるのが)恥ずかしい」という気持ちだとだと思います。もちろんみんなではないけれど、全体的にいえることだと思います。 でも、そのミスをしなければ上手になる方法はないんだってことを、わかってもらうのは本当に難しいです。 やっぱり、友達の前で恥をかきたくないとか、そういうのもあるだろうし・・・。

二ヶ国語(タイ語と英語)を話す環境で育てられて、今は日本語を勉強してる僕自身の経験から言えることは、外国語と間違えは切り離せない─ということ。 本格的に勉強してても、間違えはどうしてもしてしまう。今はラッキーなことに、(間違えても)成績をつけられる立場じゃなくなったけど。

古閑先生:You are learning!

そう。その「教師も努力してる」「勉強してるんだ」って姿勢を、生徒に見せるのが大事だと思ってて。 今、ちょっと考えてるのは、生徒たちに持たせている「ポイントカード」を 自分用に「日本語ポイントカード」を作ろうかなぁと。生徒に日本語を教えてもらって、できたら スタンプを押してもらうとか。自分達だけでなく、先生も勉強しているんだってことを 示すと、彼らも、見習わなきゃという気持ちになってモチベーションも上がるだろうし・・・。そんなことを考えてます。

古閑先生:That's great!

Q:授業で、意識してやっていることは、何ですか?

A: コミュニケーションしながら英語を体感してもらい、自信を持たせること。 どんな簡単な会話でもいいから、すべてを英語でパートナー(生徒同士でも生徒と教師でも) と練習すること。そうすることが自信につながり、モチベーションもあがると思います。

小学生の英語
Jason先生
例えば、「コミュニケーションシート」を使って、話す練習をさせたりしています。 コミュニケーションシートとは簡単な挨拶から始まって、相手と英語でコミュニケーションの 練習をするのに使っています。 最初にフレーズを読んで、覚えたら本を閉じて、会話スタイルでパートナーと練習する。きちんと言えたら、 パートナーにサインをしてもらって、次のフレーズに進むという感じです。

A: それから、意識することで付け加えるしたら、うまくできたらほめてほめてほめまくること!それは事実だし、自信もつけてもらいたいから。

■教師が抱える葛藤

古閑先生: ちょっといい?ジェイソン、さっきの「成績をつける」話だけど、「テスト」の存在はかなり 大きいんじゃないかな。

A: 本当にそうだね。

小学生の英語
古閑先生
古閑先生: テストで短い作文を書かせるとき、ものすごく気持ちやメッセージは伝わってくるけれど、 文法でたくさん間違いがあって、そのせいで、いい点数をあげれなかったり。こうせざるを得ないのは、 (本音を言えば)抵抗があるんだけど・・・。

A: 分かる!それ、本当につらいところだよね。学校教育には、成績がつきものだけど。 スピーキングには、アイディアや自分の気持ちがあれば、本当は流暢さは大したことではないと思うし・・・。 だから、いつも生徒に言い聞かせていることがあってね。それは「流暢さ」などは ケーキにのっているトッピングであって、自分たち自身はすでに立派なケーキの土台なんだってこと。 さっき話した中学一年生の「コミュニケーションシート」には"Do you speak English?"ていうのがあるんだけど、 これを聞くと必ず最初は"No"って答えてくる。でも、答えている時点で、「話してる」ってことは、立派な"English speaker"なんだから。 それを生徒にはわかってほしいんですよね。テストで点数をつけなければならないのは、正直つらいところではあるんだけれど、 だからこそ普段、こんなケーキのたとえ話をして何かを感じてもらえればと思ってます。

Q:コミュニケーションに点数なんかつけられない。でも、つけなければならない。 矛盾が起こるわけですね。

A: 確かに。でも、学校教育だから、どこかでやらなければならなくなる。どこかで線を引く必要は 出てくるのですが、それを折る必要はなくて、フレキシブルに対応すべき だと思います。

小学生の英語
Jason先生
■僕にとっての英語、みんなにとっての英語

Q:先生にとって「英語を教えること」って何でしょうか。

A: 人の役に立てることだと思ってます。 最初は恩師の何気ない一言ではじめたのですが、やっていくうちに、 自分が一番周囲の人たちの役に立てることだと思うようになりました。

Q:教えていく中で、特に大切にしていることはありますか?

A: コミュニケーションです。違うことばを話す教師と生徒ですが、互いが「コミュニケーションを学んでる」場にいるってことです。

Jason先生(左)と古閑先生(右)

Q:これから、小学校で英語を教える先生方にアドバイスをお願いします。

A: 英語という科目が増えるのは、ストレスになってしまうかもしれないけれど、 ポジティブにとらえて、責任感や使命感を持ち、そして気持ちをこめて教えてほしいと思います。『気持ち』は、何をするにも一番大切なことだと思います。 英語への気持ち、生徒たちへの気持ち、すべては話さなくても伝わるからです。

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