(1) We have to go to that cherry-blossom viewing I told you about last week
この文章の難しいところは、I told you about last weekの部分を「先週について君に話した」と解釈してはいけない点です。なぜこのように解釈してはいけないのでしょうか。
それはI told you about last weekはthat cherry-blossom viewingを説明している言葉だからです。文法的に言うとthatからlast weekまでがまるでひとつの名詞のような役割をする「名詞句」になっています。そして、cherry-blossom viewingとIの間には関係代名詞が省略されているのです。
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cherry-blossom viewingとIの間に関係代名詞が省略されているのであればI told you about last weekはcherry-blossom viewingにかかる言葉だということになります。ですから「先週君に話した花見」と訳すのが正しい解釈です。aboutに続く言葉はlast weekではなく、cherry-blossom viewingなのです。
では、@の文章は関係代名詞が省略された文だとどうしてわかるのでしょうか。実は見分け方は簡単です。名詞のあとに接続詞もなしに「主語+動詞」が続いていればまず間違いなく関係代名詞が省略されています。そして、関係代名詞に変換された言葉はかならず関係代名詞の直前にある名詞(または名詞的に使われている言葉)です。
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(2) it was a shame that the weather was bad
「〜だったことは残念だ」という内容を辞書で調べるとit is a pity〜という例文が出てきます。これでも間違いではないですが、実際にはAのようにit is a shame〜と使われることが多いです。ちなみに、ここでのshameには「恥ずかしい」というほどの強い意味はありません。
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(3) it just sounds like a good excuse
ここではjustの使い方について説明します。justが副詞(動詞や形容詞を説明する言葉)として使われる場合は「ちょうど」とか「少しの(=only)」といった意味をもちます。ただし、Bではもっと重要な役割がこのjustにはあります。それは文のニュアンスを変えることです。
justを使わない場合、it sounds like a good excuseとなりますが、Bの文と意味の上では大きな違いはありません。どちらも「言い訳に聞こえる」という意味です。ところが、justを加えることによって「言い訳に聞こえる」という意味をやや強調するニュアンスが生まれます。日本語で言うとすれば「言い訳にしか聞こえない」といった感じでしょうか。後者のほうが「言い訳」を批難する気持ちがやや強い印象がありますよね。
英語ではこのようにニュアンスを変える目的で使われる言葉があります。rightなどもそうです。I'll be back. (帰ってきます)という文章にrightを加えてI'll be right back.とすれば「すぐに帰ってくる」といったニュアンスが加わります。また、thereやhereの前につけると「ちょうどそこに(ここに)」といった意味になります。The restaurant is right there. (そのレストランならそこにありますよ)といった具合です。
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(4) sakura is not "A" flower. It's "THE" flower
名詞にa(またはan)をつけるのか、theをつけるのかは私たち日本人には難しい問題です。日本語にはこういった「冠詞」をつける習慣がないからです。名詞にaをつけたらいいか、theをつけるべきなのか迷った経験は僕にもあります。
簡単に言うとaはいくつかあるもののひとつを指す場合に使います。逆にひとつしかないものにはtheがつきます。地球や太陽、月などはひとつしかないので原則的につねにtheがつきます。でも、moonには「衛星」という意味もあり、この意味で使うときにはaがつくこともあります。なぜなら、木星や土星などには地球と違って複数の衛星があるからです。
あなたが本屋さんで一冊の本を探しているとしましょう。「暇つぶしになるならどんな本でもいい」という気持ちで探している場合、あなたが探しているのはa bookです。逆に「東野圭吾さんのデビュー作がほしい」などと、探している本が限定されているときにはthe bookとなります。
マコトはサラに対して桜はa flowerではなく、the flowerなのだとわざわざ限定した言い方をしています。世の中に花はたくさんあるのになぜtheを使っているのでしょうか。それは、マコトは「桜は日本人にとってほかの花とは違う特別な花だ」と言いたいからです。
桜は日本人が最も好きな花であるといわれます。昔から和歌や短歌、俳句で「花」と言えば説明がなくても桜を指します。紀貫之が詠んだ「久方の光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ」に出てくる「花」は桜です。別の花を指す場合にはそれを説明しなくてはいけないのが和歌・俳句のルールです。ですから菅原道真はわざわざ「東風(こち)吹かば匂いおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」と言い分けたのです。マコトの言うとおり、桜は日本人にとってthe flowerなのですね。
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(5) I'm keeping my fingers crossed
keep my fingers crossedはお願い事をするという決まり文句です。これはこのまま覚えておきましょう。欧米では願い事をするときに人差し指と中指を交差させるという習慣があったそうです。それが転じて、このジェスチュアが「お願い事をする、祈る」という意味になりました。日本でも約束をするときにする「指きりげんまん」が「約束をする」という意味で使われることがありますよね。それと同じことです。
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