肩の骨折を回復しつつ病院で横になっていると、見舞いに来た友人は、交通事故で死ななかったなんてツイてるね、と言うものだった。その事故で私は入院することになったのだ。
私は「ツイてるってどういう意味?僕は入院しているんだよ」と答えたものだった。
病院はほぼ科学の場所だ。だから、縁起とは関係がないと思うかもしれない。
先週、病院へ親戚のお見舞いに行くと、12号室だと告げられた。12号室は、14号室のすぐ隣にあった。13号室はどこだったのだろう?
きっと13列目の航空券が買えないことや、ホテルの多くに13階がないのと同じ理由で、病院には13号室がないとしか考えられなかった。この数字は欧米の文化では不吉なものだと考えられている。
アイルランド政府が今年、車の登録システムを変更したのも同じ理由だ。アイルランドでは、経済学に興味のある人ならだれでも知っているように、苦しい時期を経験している。ポルトガル、アイルランド、ギリシャ―3匹の子豚(3国の頭文字をとるとPIG=豚となる)と呼ぶ人もいる―は、国際通貨基金の救済を受けなければならないEU諸国に入っている。
失業率は高く、税金は上がり、賃金は削減されている。だから車の販売数が落ちていて、2007年に経済が破綻して以来、輸入は60%近く減っている。日本にとってさらに悪いニュースになるが、2012年にトヨタは、アイルランドで最も人気のあるメーカーの座をフォルクスワーゲンに奪われた。
今年までに登録されたアイルランドのナンバープレートは、10-D-23450のようなかたちで、その車は2010年にダブリンで販売されて最初に登録を受けた(Dはダブリンという意味)ということを表していた。だから、もし自動車業界の介入がなければ、今年ダブリンで購入された車は13-Dとなっていただろう。
自動車業界は、ナンバープレートが不吉な13という数字で始まっていたら車を買う気が失せるだろうとうまく主張した。政府は耳を傾け、今年、前半の6ヶ月で販売された車は131で、後半に販売された車には132で登録することになった。
私が東京に住んでいたとき、多くの日本人が縁起のいい数や不吉な日にちと年を重視していることに驚いた。妻と私が結婚の準備をしていたとき、我々のウェディングプランナーは吉日でないほど結婚式が安く挙げられると教えてくれた。
日本で13という数字が何か意味を持っているかどうか定かでないが、どうやら韓国では縁起がいいと考えられているらしい。サッカーの朴智星選手がマンチェスター・ユナイテッドに加わったとき、彼は縁起をかついで13番のシャツを選んだ。
朴選手はチームを離れたが、マンチェスター・ユナイテッドのファンは今、別のアジアのスーパースターを迎え、香川真司選手を応援している。この日本人選手(香川選手のこと)は26番のシャツを着ている。きっと朴選手の2倍運がよくなるだろう。あるいは、朴選手より2倍うまくプレーするかもしれない。