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2013年6月28日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Feeling old (p. 9)

年をとったと感じる

ここでは、日本はときどきしかテレビのニュースで扱われない。

普段は、経済に関連する話だが、ソニーの最新の技術革新であったりもする。北朝鮮のロケットを巡っての地域的な緊張状態が最近ではよく取り上げられた。そしてもちろん、日本の地震や自然災害は世界中で大きなニュースになっている。

最近新聞やテレビのニュースで大きく取り上げられた話は、三浦雄一郎さんと、三浦さんが80歳にしてエベレストを制覇したことだった。

このニュースは、日本人は健康と長寿のことになると超人的であるというアイルランド人の感覚にとても合致した。世界保健機関によると、日本の平均寿命は83歳で、世界一だ。アイルランドでは平均寿命は81歳でアメリカと英国をわずかに上回る。

「オキナワ・ウェイ」という本は、主に食事についての本だが、アイルランドではベストセラーになり、たくさんの二番煎じが出回っている。私は日本に数年住んでいたので、友人や同僚がときどき、まるで私が権威であるかのように、何を食べるべきか相談してくる。

そんな彼らには、私が日本に住んでいたのは20代前半で、「オキナワ・ウェイ」からはほとんど影響を受けていないのだと言わなければならない。大きなどんぶりの塩辛いラーメン、脂の乗ったマグロの切り身、肉汁が滴る焼き鳥とアサヒビール、これらはどれもたいへんお薦めできるが、体重を減らしたい、あるいは、90代まで生きたいのなら、やめておいた方がよい。

私は先週、自分の誕生日が過ぎたときに、三浦さんのことを考えていた。その特別なとき(誕生日のこと)は、20歳よりも40歳の方がずっと近くなってからは、祝いたい気分になるような日ではない。三浦さんの年齢まで生きるかもしれないが、今後それまでに自分がエベレストをスキーで滑り降りている姿をどういうわけか想像できない。いつまでも若々しい日本人の登山家(三浦さんのこと)を見て、私は年をとったように感じる。

実は、日に日に年を感じ始めている。クラッシック音楽とワインが、ロックとビールよりも好きになってきた。ショーウィンドーに飾られた動力工具に見とれずに工具店を通り過ぎることができない。10代の若者の格好を見て苦々しく思うようになってきた。

週末にダブリンで、日本で知り合いになった旧友(彼は私よりも年下だが)と会う約束をした。オリーは私の地元の大学の卒業生だ。その大学はアイルランドで日本語を勉強できる数少ない場所のひとつだ。彼は、福島県の小さな町に住んで、日本語がほぼすらすらとはなせるようになり、私はうらやましく思っている。

オリーは、言語能力と同様に、家族のことでも長けている。私はたった1人の息子でもどうにかやっているというのに、彼には3人の子どもがいて、もうすぐ4番目が生まれる。

面倒を見なければならない子どもがそんなにたくさんいるので、オリーと私は二人とも、パブで会うのはもう適切ではないだろうと思った。そこで、会う場所はガーデニングの展示会かイケアという選択になった。私たちは、家具のスーパーストアを選んだ。私は100歳くらいになった気がした。

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