私のシンガポール人の友人にとって非常に残念なことに、私が初めてダウンロードした携帯アプリはLINEだった。LINEは日本で人気のあるインスタントメッセージ送受信アプリだが、シンガポールではそれほどでもないようだ。
「LINEを使っている人も知らないくらいだよ!」と友人の1人は叫んだ。
実は、LINEはシンガポールにもそれなりにファンがいるようだが、WhatsAppの方が世界的にはLINEよりもユーザーが多い。私がインターネット上で見つけることができた中で最も信頼できる統計によると、LINEの世界のユーザー数は1億人の大台を1月に超えたそうだ。一方、WhatsAppは4月の時点で2億人のユーザーがいるという。
シンガポールでは、スマートフォンを持っている私の友人はみんな、WhatsAppを使っている。LINEを持っている人もいるが、「みんながWhatsAppを使う」のでLINEは滅多に使わない。どんなメッセージ送受信アプリでも、重要なのは他の誰が同じアプリを使っているかどうかで、個人的な好みではないのだろう。
私はWhatsAppとLINEの両方を使っていて、前者は私のシンガポール人の友人と、後者は日本人の友人と使っている。かわいいスタンプや愛らしい絵文字、日本式の表情豊かな顔文字がさまざまあるので、WhatsAppよりもLINEの方が好きだ。定番のドラえもんから、LINEオリジナルのキャラクターまで、あらゆる種類のキャラクターのスタンプがある。それらは会話を盛り上げ、見事に長ったらしい説明の代わりになることも時折ある。
「私はこれから丸一日踊っていられるほど幸せだ」と文字を打ち込む代わりに、コニーというウサギが喜んで跳ねているスタンプを付ける。友人を慰めるのに何と言ったらよいのか時間をかけて考えるよりも、私はハグのスタンプを選んでから、言葉で励まそうとしてみる。ブラウンという冷静なクマのキャラクターの上に石が降り注いでいるスタンプを使うときは、笑いを誘うその純粋な効果で笑ってしまう。
友人にLINEをダウンロードするように説得してみようと思った事があるが、ほとんどの人が説得されていないままだ。私にとって、スタンプは決め手となるものだ。こんなにかわいいイラストにどうやって耐えられるだろう? しかし、私の友人達はこうしたスタンプを子どもぽいと思っている。
私が自分のスタンプコレクションと、「スタンプショップ」にあるさらに何千ものスタンプを友人の1人に見せると、「それに、求めているものを見つけるためだけにこんなにたくさんのスタンプに目を通さないといけないなんて、面倒じゃない?」と彼は言った。
彼は核心をついていた。イラストは雄弁だが、恐らく、ぴったりのスタンプを探すのに、自分で表現する必要がある言葉を打ち込むよりももっと時間がかかっている。自分の感情を自分で言葉にできないほど、スタンプに頼るようになってしまったのだろうか?
大げさに聞こえるかもしれないが、スマートフォンの普及に伴って、スマートフォンが私たちに及ぼす長期的な影響を私たちは見くびるべきではないだろう。子どもが本のページの上で指を滑らせているのを見たことがある。その子たちは、タブレットやスマートフォンと同じように本も「作動する」と思っていたからだ。スマートフォンとメッセージ送受信アプリのすべての便利さと、現実生活の人間の交流が決して置き換えられないことを願う。スタンプがどれだけかわいくても、本物の笑顔とハグに勝るものはない。