英語には虹の各色を使った表現があるようだ。人が怒っているときは"you see red"(赤いものを見る=激怒する)と言う。"Feeling blue"(青い感じがする=落ち込んでいる)は悲しさを表現している。"be green"は未熟であるという意味だが、"green with envy"(ひどくうらやましがる)とも言える。
これらの表現の語源は定かではないが、私が確信を持って一つ言えるのは、マーケティングのエグゼクティブたちの間では黄色が安いという意味になっているということだ。
派手でどぎつい注目を要求する黄色は、広告ではオレンジ色と競って「私を買って! そんなに高くないから!」と叫ぶ。
これらの色は、日本文化では類似の潜在的意味はないかもしれない。しかし、私は(日本で)安くてすぐに食べられるものを必要としたら、店のカラーが黄色の松屋か、オレンジ色が特徴的な吉野家で牛丼を食べていたことを覚えている。
ヨーロッパでは値段が手ごろな家具の代名詞ともなっているイケアは、青と黄色の配色だ。ドイツの格安スーパーアルディとリドルもそうだ。アルディとリドルは近年ヨーロッパ中に店舗を拡大している。
かつてリドルの地元の店舗に電話をかけようとしたことがあるが、電話番号がないことが分かった。どうやら事務所にかかるコストを削減するためらしい。勤務を始める責任者と勤務を終える責任者の間で携帯電話を使い回している。
アルディの創始者が1971年に誘拐されたとき、身代金300万ドル(2億5900万円)が支払われた。被害者はその後、裁判所へ行き、身代金の一部を課税控除対象の事業経費として損金処理してもらおうとした。
この話には別のバージョンもあるが、ヨーロッパ人の多くがドイツ人に対して抱いている倹約家、もっと言えばケチな国民という固定観念に確かにはまっている。
ヨーロッパ最大の低コスト航空会社ライアンエアーのCEOマイケル・オリアリー氏はかつて、「ドイツ人は安い料金のためなら裸で割れたガラスの上を這う」と言ったことがある。
オリアリー氏は、アイルランドの無名の地域航空会社からヨーロッパ第2の規模の航空会社に成長した会社の、うるさく、ずうずうしく、無礼で、口の悪いことが多い社長だ。
彼は以前、たぶん冗談だと願いたいが、短距離のフライトでは乗客を立たせ、トイレの使用料と請求する計画を発表した。
それでも、顧客は航空運賃を安くするためにほとんどどんな侮辱にも耐えるようだ。それがライアンエアーの得意なことだ。
日本で恋しい一つのことは、普通の顧客に期待できるサービスだ。温かいおしぼりから無料のお代わりまで、JALはヨーロッパのほとんどの航空会社が捨て去ってしまって久しい水準のサービスを提供している。日本に就航したピーチなどの格安航空会社が成功するのかは見ものだ。
ライアンエアーの配色はもちろん、黄色と青だ。そしてヨーロッパで2番目に大きい余計なサービスなしの航空会社であるイージージェットはオレンジ色の飛行機だ。