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2014年2月14日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

Something in the air (p. 9)

何かの気配が…

愛の気配が感じられる。そしてそれはどうもチョコレートみたいな匂いなのだ。バレンタインはさまざまな方法で世界中で祝われているが、どうやらアジアの人々が一番プレゼントにお金を費やすようだ。

日本では、お正月が終わるとすぐにチョコレートとチョコレートを作る道具一式の蔓延が急にあからさまに目につくようになる。どの通路の端にもバレンタインデーが近づいていることを思い出させる物がある。どのショッピングモールの入り口にもあなたがチョコレートを作る腕前で愛を印象づけるワークショップを勧める女性がいる。

日本の3つのバレンタインデー(2月14日、3月14日、12月25日)でさえ過剰だと思っているが、韓国では毎月14日が愛に関連する日になっていることが分かった。韓国では4月14日はブラックデーとして知られている。この日は、2月14日と3月14日にチョコレートやプレゼントをもらえなかった人たちがレストランに行って黒い麺を食べ、独り身の生活を嘆く日だ。しかし、相手がいない立場の悲しみに浸るよりも、デートの相手を見つけるいい機会にもなっていると思う。レストランに行って、黒い麺の丼ぶりにむせび泣いている誰かを探せばいいだけだ。

独り身の生活を嘆かなければならないという、その考えだけでも食べ物を前に泣きたい気分にさせる。社会にはパートナーを見つけないといけないというプレッシャーがあり過ぎる。誰か特別な人を見つけることは素晴らしいことだけれど、独り身だったら不完全、あるいは不適格なのか? それは不健康な考え方だ。しかし、それこそまさしく、チョコレートやジュエリー、麺のメーカーが金儲けをするやり方なのだ。弱みがある、あまり自信のない消費者は、自分の抱えている問題を解決できそうに見えるものなら何にでもお金を払う。そして、マーケティング担当者は何を狙うべきかを知っている― 一人になることを恐れている人々、あるいは、みんながしていると言われることをしないことで仲間外れになることを恐れている人々だ。しかし、そう考えてみれば、誰か特別な人にあなたの存在に気づいてほしいなら、目立つことはきっといいことだ。

こう思うので、「義理チョコ」という概念が私にはことさら理解しがたい。好きだというわけではない人々にも同じようにしないといけないのに、どうやって特別な人にあなたの時間とお金を集中させるつもりだろうか? 「超義理チョコ」(嫌いな同僚に贈る安いチョコ)は特に分からない。求めているのがチームの仲間たちとの親しさなら、チームでランチに行ったらどうか?

世界中のバレンタインデーがフィンランドのバレンタインデーのようにロマンチックな愛や義理からは遠く、友人間の愛に関するものであったらいいのにと思う。そうすれば、涙や買い物は少なくて、笑顔が増えるはずだ。

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