不運にも滅多にない病状に襲われたら、担当医が適切なTVドラマを見ていることを期待した方がいい。
これは、深刻な心不全と、熱、失明、難聴、リンパ節肥大という当惑するような複合症状が何ヵ月間も医師を困らせた、一人のドイツ人男性が得た教訓である。
この55歳の男性は、米国のテレビの医療ドラマ「ドクター・ハウス」のファンであるユルゲン・シェーファー医師の診察を受け、初めて病気が診断された。
この男性の症状は、架空のグレゴリー・ハウス医師がコバルト中毒を原因として特定したエピソードの患者と、ほとんど完全に一致していると、シェーファー氏は述べた。
このドイツ人の患者をそれまでに診た医師たちは、心臓の移植が必要だと考えたが、彼が、自分の症状はセラミック製の人工股関節を交換する前回の手術の後で始まったと訴えたのを受け、シェーファー氏とその同僚たちは、患者のコバルトのレベルをすぐに検査した。
シェーファー氏によると、セラミック製の股関節の小さな破片が残り、交換した金属にこすりつけられ、それによりコバルトやクロミウムが患者の血流に漏れていたという。股関節が交換されると、この患者の心臓は回復し、その他の症状も改善した。