「ST」は紙名を新たに「Alpha」として2018年6月29日より新創刊しました。 Alpha以降の全訳はこちら
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記事全訳

2014年3月7日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

Japan's eight-medal haul delivered several Olympic success stories(p. 1)

ソチ冬季五輪閉幕、日本はメダル8個

失望も数多くあったが、日本はそれでも、2月23日に閉幕したソチ五輪で記録を打ち立てた。スキージャンプの高梨沙羅選手、フィギュアスケートの浅田真央選手をはじめとする(メダル獲得を)確実視されていた人気選手はメダルを獲得できなかったが、日本はそれでも8個のメダルを手にし、海外での冬季五輪における日本の過去最高記録となった。スキージャンプの葛西紀明選手(41)は2個のメダルを獲得した。

2月11日、10代の選手2人が、今大会日本人初のメダルを獲得した。中学生の平野歩夢選手はスノーボードの男子ハーフパイプで銀メダルを獲得し、高校生の平岡卓選手は銅メダルを獲得した。渡部暁斗選手はその翌日、ノルディック複合のノーマルヒルで銀メダルを獲得し、日本の3個目のメダルとなった。フィギュアスケートの羽生結弦選手は、男子シングル競技で金メダルを獲得し、自国にバレンタインデーのギフトをもたらした。羽生選手は、その前日の卓越したショートプログラムのおかげで、ミスの多いフリーを乗り切った。

日本からソチ五輪に参加した選手は男子よりも女子の方が多かったが、男子がメダル獲得者の一覧を支配した。竹内智香選手が女子パラレル大回転で銀メダルを獲得し、日本人女子で最初のメダルとなった。また、小野塚彩那選手がスキーの女子ハーフパイプを銅メダルで締めくくった。

Easy Reading

'Always falling' comment may give Mori regret: Asada (p. 3)

真央会見、森発言に「後悔しているのでは」

ロシアから帰国したフィギュアスケートの浅田真央選手は2月25日、東京五輪組織委員会の森喜朗会長に対して、慎重に選んだ言葉を述べた。

森会長は2月20日に浅田選手が試合で「いつも一番大事な時に転ぶ」と責めた。

浅田選手は2月19日の女子個人ショートプログラムでトレードマークのトリプルアクセルを決めようとしていたときに転倒し、16位になった。その後、翌日のフリースケートで持ち直して自己最高を記録し、全体の競技を6位で終えた。

東京の外国人記者クラブで浅田選手は「森さんの言ったことを聞いたのは滑り終わった後だったので、私の反応は『ああ、私のことをそんな風に言ったんだ』でした」。そしてこう付け加えた。「たぶん、森さんはそんなコメントをしたことを後悔しているのではないかと思います」。

Easy Reading

Okinawa set to launch first railway project

沖縄で鉄道計画が始動、検討委立ち上げへ

沖縄は初の鉄道整備計画を具体化するため、2014年度に専門家から成る委員会を立ち上げる。

沖縄は那覇のモノレールを除いて鉄道がない唯一の県だ。鉄道がない中で自動車が主な交通手段であり、そのため、ひどい交通渋滞が日常生活の一部になっている。

沖縄には軽便鉄道がかつてあったが、第二次世界大戦の終わり頃に沖縄で起こった激しい戦いで破壊されてしまった。

沖縄県庁は、乗客が沖縄島南部の那覇と北部の名護を1時間で移動できる69kmの鉄道を敷く計画だ。これには、宜野湾市の普天間米海軍基地によって占拠されている土地に基地移設の後に駅を建設する計画も含まれている。

National News

Tokuda quits Diet over election scandal (p. 4)

徳田毅衆院議員が辞職、選挙違反めぐり

徳田毅衆議院議員は、姉が日本最大の医療グループ徳洲会の職員に現金を渡して違法に2012年の選挙活動を支援した疑いで公判中で、2月24日に国会議員を辞職した。

徳田議員(42)は、選挙活動で重要な役割を果たした姉のスターン美千代さんが執行猶予付きであってもなくても禁錮刑を言い渡されると、いわゆる連座制で衆議院の議席を失う。判決は3月5日に下される予定だ。

National News

Nagoya man rents car, runs over 13 people (p. 4)

名古屋で車が暴走、13人が重軽傷

名古屋駅付近で2月23日、故意に歩道に車を乗り上げ、13人をはねた殺人未遂の疑いで男が逮捕されたと、警察が発表した。

「車で人を殺そうとした」と大野木亮太容疑者(30)は捜査員に言ったと伝えられている。

警察によると、大野木容疑者は午後2時ころに車を借りて、数分後に、歩道に突っ込み、車が木にぶつかって止まるまで、35メートルほど走行して歩行者を突き飛ばした。

大野木容疑者は現行犯逮捕された。死亡者はいなかった。

National News

Anne Frank's diary defaced in Tokyo libraries (p. 4)

「アンネの日記」破られる、都内図書館で

東京都内の図書館でアンネ・フランクの『アンネの日記』や関連する書籍が破られているのが数百冊見つかったと、図書館職員が2月21日に発表した。

1月から少なくとも265冊に損害があったと31の図書館で報告されている。

ある図書館では、ホロコーストの間にアムステルダムに住んでいたそのユダヤ人の少女が書いた日記(アンネの日記のこと)が自由に閲覧できる書棚に置いている間に何冊も破られたようだと述べている。

アメリカにあるユダヤ人の人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センターは、「この破壊行動に対して衝撃と深い懸念」を示した。

National News

Human error may have caused leak: Tepco (p. 4)

福島第1原発汚染水漏れ、人為的操作ミスの可能性:東電

2月に貯蔵タンクから高濃度の放射能汚染水がおよそ100トン放出された原因が機器損傷ではなく人為的操作ミスの可能性があることを、事故で損傷した福島第1原発の経営者が発表した。

東京電力は2月20日にこの事件について初めて公表した際、弁の故障のために、すでに満杯に近いタンクへ水を流れ込ませてしまった可能性があると述べていた。

しかし、その電力会社(東電のこと)は後になって、人為的操作ミスのせいだった可能性があると述べた。

「状況を確認しなければなりません」と東電の広報担当者は報道陣に2月21日に述べた。

World News

Uganda's president signs harsh anti-gay bill(p. 5)

ウガンダ大統領、反同性愛者法案に署名

2月24日、ウガンダのヨウェリ・ムセベニ大統領は、同性愛者に対して厳しい罰則を科す、議論を呼んでいる「反同性愛者法案」に署名した。

この新法案は、初犯に対し、懲役14年の刑を科す。同意した成人同士が繰り返し同性愛行為を行なった場合、終身刑が科される。

この法案への署名に際し、ムセベニ大統領は欧米に対し、ウガンダの子どもたちを同性愛へと「誘い込もうと」していると糾弾した。

ウガンダ国内の同性愛者グループはこれを否定し、ムセベニ大統領は保守的な同性愛反対のアメリカの福音主義者たちに影響を受けていると述べた。

World News

Chinese used water cannon: Filipino fishermen (p. 5)

中国監視船、フィリピン漁船に放水

中国の海洋監視船が係争関係にある浅瀬から追い出すためにフィリピンの漁師たちに放水したと伝えられたと、フィリピンの軍事トップが2月24日に述べ、フィリピン軍もトラブルを回避するよう努めるが、領土問題に関係する国がフィリピンに武力を行使したら、それに対応すると付言した。

エマニュエル・バウティスタ参謀総長は、軍では1月27日にスカボロー礁付近で起こった出来事について調査していると述べた。中国軍は、2012年にフィリピン船隻と激しい対立があった後、この浅瀬を実効支配している。

World News

Italy's new premier wins key confidence vote (p. 5)

イタリア、レンツィ新政権発足へ

イタリアのマテオ・レンツィ首相は、2月25日に上院で彼の全く新しい政権に対する信任投票が可決されたが、イタリアの沈滞した経済をどう持ち直すのかについては詳細をほとんど提示しなかった。

レンツィ首相が過去の3人の首相はできなかったが、イタリアが機能を取り戻せるようにすると主張した後、何時間か経ってから上院で169対139票の採決が出た。

レンツィ首相(39)はイタリア最年少の首相で給与税を大幅削減して雇用を促進する新しい法を作ると約束したが、イタリアの低い税収をどうやって埋め合わせるかについては語らなかった。

World News

Oldest Holocaust survivor dies; film up for Oscar (p. 5)

世界最高齢のホロコースト生存者、死去

世界最高齢のホロコースト生存者と思われているアリス・ヘルツゾマーさんが2月23日に亡くなった。110歳だった。

その熟達したピアニスト(アリスさんのこと)の死去は、ナチスの収容所で2年間を生き延びた驚くべきストーリーを彼女が語った1週間後だった。アリスさんは、生き抜くことができたのは音楽と息子への愛があったおかげだと語っていて、その映像はアカデミー賞候補にノミネートされた。

ヘルツゾマーさんは2月21日に健康上の問題があると診断されたあとで入院していた病院で亡くなったと、義理の娘のジュヌビエーブ・ソマーさんは述べた。

『ナンバー6の女性』はアカデミー賞ベスト短編ドキュメンタリーにノミネートされた。

Business & Tech

Japanese gamers finally get their hands on PS4 (p. 6)

ソニーの次世代ゲーム機「PS4」、日本発売

ソニーが2月21日の夜中に、本拠地でこのゲーム機を発売して、日本の筋金入りのゲーム愛好者たちはついに新型プレイステーション4を手にすることができた。

待望の発売は、アメリカとヨーロッパでの輝かしいデビューの後になった。アメリカとヨーロッパでは、11月以来、540万台以上が売れていて、主要な個人向け電化製品の売上が何年も暗かったソニーに明るい希望の光を差している。

最初の100人の購買者は、国内向け一般発売に数時間先がけて、新型ゲーム機を持ち帰ることができた。

Business & Tech

Facebook buys WhatsApp message service (p. 6)

フェイスブック、チャットアプリ会社を買収

フェイスブックは2月19日、急成長を遂げている携帯電話用メッセージサービスのワッツアップを現金と株式を合わせて160億ドル(1兆6000万円)以上で買収したと発表した。この取引で、世界最大のソーシャル・ネットワーキングサービス(フェイスブックのこと)にワッツアップの4億5000万人のユーザーが追加されて、強化された。ワッツアップは独自の基盤でこれからも運営される。これは、フェイスブック最大の買収で、マーク・ザッカーバーグ氏の会社(フェイスブックのこと)が、最も収益が上がっているITセクターでの株式公開で160億ドルを記録してから2年もたっていない。

ワッツアップはクロスプラットフォーム型のモバイル・アプリで、ユーザーは通信料を払わずにメッセージのやりとりができる。

Business & Tech

Volvo to turn cars into 'post boxes' (p. 6)

通販購入品を車にお届け、ボルボの新サービス

スウェーデンの車メーカーボルボは2月20日、消費者の家ではなく車に直接オンラインショッピングで買った物を届けることができるシステムを開発中だと発表した。

同社は、1回だけ使用でき、郵便や宅配サービスが車の位置情報を特定することができるデジタルキーを作ったと述べた。そのシステムで、「消費者はどこにいようとも、買った物を車に直接届けてもらえるようになる」と、同社は声明で発表した。

この技術は移動中の人々と、家やオフィス以外の場所で配達物を受け取る必要がある人々に解決策を提供する。

Business & Tech

USJ eyes new them parks in Asia by 2020 (p. 6)

USJ、アジアにテーマパーク新設へ

大阪でユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するUSJは2月20日、2020年までに1つ以上のテーマパークを新設する予定だ。

新テーマパークの数はまだ決まっていないが、九州と沖縄、ジャカルタ、ムンバイ、台湾が建設候補地に挙げられている。USJは、2020年の夏の東京五輪が始まる前の完成を目指している。建設費は何千億円規模に達すると予想されている。USJは、何社かとチームを組んで、計画を実行する。

Business & Tech

China firm sets record for thinnest condom (p. 6)

中国企業、世界一薄いコンドームでギネス記録

中国のメーカーが0.036ミリメートルと測定される世界一薄いラテックス製コンドームで記録を作ったと2月20日にギネス・ワールド・レコーズが発表した。

広州大明連合ゴム製品のコンドームAONIは日本で作られていたコンドームの記録を破ったと、ギネス・ワールド・レコーズは述べた。「以前の記録保持者はオカモトだった。世界一薄いコンドームは薄さ0.038ミリメートルだった」と、ギネス・ワールド・レコーズ中国のマネージャーチャールズ・ワートン氏はプレス向けイベントで語った。

同社のジェネラル・マネージャービクター・チャン氏によると、この広州の企業は年に2億個のコンドームを生産していて、主に中国本土で販売しているという。

Business & Tech

Singapore named best Asian city for expats (p. 6)

生活環境水準、アジア1位はシンガポール

シンガポールは2月19日、外国人にとってアジアで最も環境のよい都市に関する国際調査でトップに立った。バングラデシュの首都ダッカは最下位だった。日本はアジアのトップ5の1位以外を占め、東京は2位、その後を、神戸、横浜、大阪が続いた。このランキングはマーサーコンサルティンググループが毎年実施している。世界全体では、ウィーン、チューリッヒ、オークランドが生活に最も適した場所とされ、ミュンヘンとバンクーバーが続いた。政治の不安定さ、犯罪、汚染レベルが、マーサーの調査では考慮に入れられる要素とされ、同社は世界460都市について調査を実施した。

This week's OMG

Obama sends apology note for art history quip (p. 7)

オバマ大統領、美術史教員からの苦情に直筆の手紙で謝罪

オバマ大統領が先月した発言に対し、美術史の教授が怒り、オバマ大統領はお詫びをしようとした―直筆の謝罪文で。

先月、オバマ大統領は、ウィスコンシン州の工場で経済について話しているときに、「人々は、きっと熟練した製造技術や商売に精通することで、美術史の学位で稼ぐよりももっとお金を稼ぐことができる」と述べた。

この米国のリーダー(オバマ大統領のこと)はすぐに「とはいえ、美術史の学位は何も悪いことではない。私は美術史が大好きだ。だから、みなさんからたくさんの(苦情の)Eメールは来ないでほしい」と付け足して、大衆の笑いを誘った。

しかし、テキサス大学オースティン校の美術史の教授アン・コリンズ・ジョンズさんはやはり侮辱されたと感じ、ホワイトハウスのウェブサイトから抗議を送った。

数日後、ジョンズさんは人生で最大の驚きを体験した。その最高司令官(オバマ大統領のこと)から返事が来たのだ。

「即興の発言について謝罪させてください。私は、美術史の価値についてではなく、雇用市場について話したいことがあったのです」と手紙には書かれていた。

「たまたま、美術史は高校時代に私が一番好きな教科の1つでした」と添えられていた。

Essay

Who won? (p. 9)

誰が勝ったの?

常識はそこまで常識ではない。自国で明らかなことでも、海外では知られていないかもしれない。われわれが当然だと思っていることを外国の人が理解してくれないときはじれったいことがある。これについて、一つ話をして、説明させてもらいたい。

数年前、国際会議に出席するために、ジョージア州のアトランタへ飛行機で行った。日本からの長時間のフライトで私は時差ボケをしていたが、そのイベントに出席したかった。運良く、会議場は私のホテルから近かったので、歩いて行くことにした。そうすれば足を伸ばして、街が見られると考えた。途中で、おかしな出来事が起こった。

広々とした通りを歩いていた。遠くの方で、通りの向こうから、私に向かってくる人が見えた。背の高い黒人男性で、アトランタの地元の人のようだった。突然、私たちは道の反対側にいるにもかかわらず、彼は私の方に手を振り始めた。

「誰が勝ったの?」と彼は差し迫った口調で叫んだ。私は驚いてしまった。彼は私に話しかけているのか? 背の高い人懐こい男性のようだが、とてもイラついているようにも見えた。「誰が勝ったの?」と、彼はもう一度叫んだ。「分からないよ」と私は叫び返した。彼は驚きの表情を浮かべて、「おいおい! 誰が勝ったの? スコアはどうだった?」と繰り返した。彼は、私が知らないということを信じられなかった。

その日にスポーツの大きな試合が開かれていたことを知るのに、探偵である必要はなかった(探偵でなくても分かった)。明らかにアトランタ対そのライバルの重要な試合があったようだ。私たちが道を挟んで叫んでいる時、私は日本から着いたばかりだと説明しようとしたが、彼は私の言い訳を受け入れてくれなかった。彼にとって、私が知らないということは理解できないことだった。彼はやっと歩き去っていき、信じられないという様子で首を降っていた。

彼の思考の流れを想像しようとしてみた。今日は大事な試合がある。人々は何週間も楽しみに待っていた。その日のビックニュースだった。誰もが結果を知っているはずだ。どうしてあの人は知らなかったのだろう? あの人は異国の人か? それとも洞窟の中にでも住んでいたのか?

私のめいもニュージーランドでホストファミリーのもとで過ごしていた時に、似たような経験をしている。日本の野球選手のイチローの話を始めると、ホストファミリーの表情がぽかんとなった。「信じられなかったの。彼らはイチローが誰か知らないのよ!」とめいは説明した。「イチローは有名。いつもテレビに出ている。みんなが彼を知っているわ!そのとき、私は日本の常識は海外では当てはまらないことに気がついたの」。

どんな国でも自分の国が宇宙の真ん中だと思っている。そして、そこに住む人々にとっては、自分の国が中心だ。どの国家も、「誰もが知って」いて、当たり前に思っている人々や場所や出来事についてのニュースやうわさ話にどっぷり浸かっている。私たちはみな、文化的に隔離された区域に暮らしていて、それなのに、それが世界の全体だと思っている。

海外旅行をすることがとても大切なのはそのためだ。海外旅行をすれば、自分たちの隔離された区域を離れて、視野を広げ、ほかの世界のことを学ぶ機会を得ることができる。そして、それが国際理解への第一歩だ。

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