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2014年3月21日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Essay

A note on pronunciation (p. 9)

発音の話

私の町にもようやく日本食レストランがオープンした。何年もの間、インド料理や中国料理はここでも楽しむことができたが、今まではここはすしがない場所だった。店のオーナーは中国人、料理長はマレーシア人、ウェイトレスは韓国人かもしれないが、餃子とうどんは、この町の小さな日本人コミュニティーが設けた本場の味かどうかを確認するテストを通過したようだ。

妻と妻の友人にとって、それはふるさとの味だった。それに、私が七味とチヂミとしじみを混同していたとき、彼女たちが私の日本語の発音をからかうチャンスともなった。

私は仕返しに、私の後に続いて発音するように彼女たちに頼んだ。−立て続けに、laboratory(実験室)、lavatory(お手洗い)、rubber tree(ゴムの木)と言ってみせた。英語のlとrの音を区別する上での日本人特有の難しさをターゲットにしているので、私はこのことではやや残酷だったことは認める。

しかし、英語は正しく発音するのが難しい言語だと思うのは日本人だけではない。何千年もにわたるケルト人、ローマ人、アングロサクソン、ヴァイキング、ノルマン人によるイギリスへの入植と侵略の波の結果である奇妙なつづりの慣習が英語にはある。

英語を基本的に構成するブロックは古期ドイツ語、古期ノルド語、ラテン語、フランス語に由来しているが、語彙は地球上の全ての他の言語ほとんどすべてによって豊かになった。tycoon(大物)、honcho(リーダー)などの英語の単語は、日本語に由来している。

ネイティブスピーカーとして、youと(あなた)yew(イチイ)とewe(雌羊)が同じように発音されるのは当然に思える。英語にはそのような発音が似た同音異義語がある。しかし、ネイティブスピーカーでない人たちの気持ちもわかる。あなたがtear(涙)を流すとき、tearの発音はbeer(ピール)と韻が同じになるが、ページをtear(破る)するときはbear(熊)と発音が同じになると、どうしてあなたに分かるだろうか。

ロバート・マクラム氏は彼の言語の歴史の本「The Story of English」で、shの発音がつづられる13の異なるやり方を特定した。つづられる(spelt)は、もしアメリカ英語の方が好きならつづりはspelledになる。

shoe(靴)、sugar(砂糖)、issue(号)、mansion(大邸宅)、mission、nation、suspicion(疑い)、ocean、conscious(意識)、chaperon(付き人)、schist(片岩)、fuchsia(フクシア)、pshaw(ちぇっ)などの語がこれにあたる。ここに挙げたうちのいくつかは広く使われておらず、英語のネイティブスピーカーでも覚えて使いこなされている語彙に入っていない。しかし、英語の発音がどれだけ難しくなりうるかをこのことは実に示している。

このことは日本食レストランでの私の困難とつながって話がまとまるだろう。日本語は英語話者にとってとても難しい言語だと考えられているが、英語のネイティブスピーカーが日本語のイントネーションと強調をマスターすれば(ちなみに私はまだ)、発音にはほとんどバリエーションがない。

ロンドンかニューヨークのレストランに次に行くことがあったら、sugarとshellfish(貝類)のshの音が同じように発音されることを思い出してみて欲しい。そうしたら、おいしいシャンパン(champagneもshの音)の1杯を自分のために奮発しよう。

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