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記事全訳

2014年5月30日号掲載の記事(ST編集部訳) print 印刷用に全て表示
Top News

More people oppose than support use of collective self-defense (p. 1)

憲法解釈変更、反対が過半数

共同通信の調査によると、政府による日本の集団的自衛権の行使を法的に容認することに国民の48.1%が反対、39%が賛成だという。この調査で、平和主義憲法を改正する代わりに、これを解釈変更することによってそれを起こらせる(集団的自衛権の行使を容認する)という安倍晋三首相の計画に対して、51.3%が反対しており、一方、34.5%がその試みに賛成していることもわかった。

有権者がいる1449の家庭への電話調査は1021件の回答を得た。

安部首相が5月15日に集団的自衛権の行使、すなわち武力攻撃を受けている同盟国を防衛することへの自ら課した禁止を、国際紛争の解決に武力を用いる権利と戦争をしかける権利を放棄している憲法9条の解釈変更によって解く意向を発表した後の5月18日に調査が実施された。

政府は何十年もの間、日本は集団的自衛権を有してはいるが、憲法9条によって課された制限があるのでこれを行使できないという立場をとってきた。

この問題についての連立政権との議論に関しては、政府と安倍首相の自民党が設けた秋の期限に関わらず協議を設けるべきだと79.3%が回答した。

Easy Reading

Japan's women retain top spot in life expectancy, men eighth (p. 3)

日本女性の平均寿命87歳で世界トップ、男性は8位

世界保健機関が5月15日に発表した報告書の中で、日本女性は2012年の平均寿命で、スペイン、スイス、シンガポールを抜いて、世界トップを保持した一方、日本男性はスイス男性と並んで8位となったと発表された。

日本はこのリストで20年以上の間、高い順位につけてきたが、日本では特に男性の間で喫煙率が上昇しており、日本に追いつく国が多くなると予想されていた。

日本女性の平均寿命は前年の報告書の86歳から87歳に伸び、日本男性は79歳から80歳に平均寿命が伸びた。

アイスランド男性は平均寿命が81.2歳と最も長く、スイスがこれに次いで80.7歳だった。今年の報告書で、日本男性はオーストラリア、イスラエル、シンガポール、ニュージーランド、イタリアの男性にも抜かれた。

Easy Reading

Asada to sit out next season, think about retirement (p. 3)

浅田真央、来季休養を発表

フィギュアスケートの浅田真央選手はスケート競技に1シーズン出ない予定で、そのスポーツ(フィギュアスケートのこと)に復帰する確率は50%だと述べた。

5月19日の記者会見で語った浅田選手は、精神的にも肉体的にも疲れていて、大学へ通うことも含め、人生のほかの側面に集中する機会が欲しいと述べた。

「バンクーバーからソチまでとてもハードでした。1年間休養する頃だと感じています。休養の後で私がどう感じるかを見ましょう。現段階では五分五分です」と、2010年冬のバンクーバー五輪で銀メダルを獲得した23歳の浅田選手は話した。

浅田選手は5歳でフィギュアスケートを始め、2005-2006年のシーズンにシニア・デビューした。初の世界タイトルを2008年に獲得した。長年にわたるライバルの韓国のキム・ヨナ選手はソチ五輪の後引退した。

National News

'I sent the emails, I'm a psychopath': IT expert (p. 4)

片山被告、PC 遠隔操作の容疑認める

ハッキングした他人のコンピュータから暴力的な脅迫を送った事件について公判中のコンピュータの専門家は、驚くべき自白で自分自身を「変質者」と呼び、自分に罪があることを認めたと、彼の弁護士が5月20日に述べた。警察が以前に誤った容疑者を逮捕していた事件はこれで終結するかもしれない。

元IT企業社員の片山祐輔被告(32)は何ヶ月も自分は「完全に無実だ」と主張していた。しかし、彼の弁護士によると、最終的に5月20日の朝に「うそが自然に出てくるから私は変質者だと思う」と述べて自白したという。

National News

Government moves to boost cybersecurity role (p. 4)

安倍政権、サイバーセキュリティー対策強化へ

政府は5月19日、世界的なインターネット犯罪の増加に懸念を示し、サイバーセキュリティーの強化にもっと積極的に取り組むと述べた。

サイバーセキュリティーに関する問題を調べるタスクを与えられた政府の委員会は、日本政府がインターネット犯罪の脅威に組織的な対応を開始できるようにするために、2015年に政策フォーラムを創設することを構想している。

「サイバーセキュリティーの確保は国家の安全保障と危機管理の上で極めて重要な課題だ」と安倍晋三首相は委員会の会議で伝えた。

National News

3/11 victims' relatives have day in court (p. 4)

津波犠牲の児童の損害賠償訴訟始まる

2011年3月の津波で亡くなった小学生23名の遺族が仙台地方裁判所で5月19日に証言し、学校側と宮城県石巻市当局は海水が建物を飲み込むまでの約45分の間に子どもたちを海抜の高い場所に連れて行くべきだったと申し立てた。

「判断の遅れが取り返しのつかない(損害)を引き起こした。あれは単なる人災だった」と鈴木義明さんは法廷で述べた。鈴木さんの息子の遺体は学校から1kmほど離れたところで発見され、娘は未だ行方不明のままになっている。

National News

SDF could join U.N. forces, Ishiba says (p. 4)

石破氏、自衛隊の多国籍軍参加に含み

自民党の石破茂幹事長は5月17日、もし国民の支持が十分にあれば日本は将来的に国連が率いる集団自衛活動に従事する可能性があると述べた。しかし、安倍晋三首相は以前、こうした動きを否定していた。

「国民の意識が数年で変化すれば、日本だけが国連軍あるいは多国籍軍に従事していないという事実は変わるかもしれない」と石破幹事長は読売テレビの番組で述べた。

安倍首相は5月15日に自衛隊はそのような活動に従事しないと述べていた。

World News

Turkish police detain 24 in mine investigation (p. 5)

トルコで起きた炭鉱爆発事故、会社幹部に過失致死の疑い

トルコの警察は、5月13日の炭鉱事故の取り調べが始まり、5月18日に炭鉱会社の幹部と社員を含む24人の身柄を拘束した。同日、最終的に301人の犠牲者が埋葬された。

身柄の拘束は事情聴取の最初で、炎が死に至る一酸化炭素をトルコ西部ソマにある炭鉱に流した5日後となった。この出来事はトルコで過去最悪の事故を引き起こした。

この事故はトルコ中で、安全を怠った炭鉱保有者に対する抗議運動を引き起こした。

World News

After huge win, India's Modi begins victory lap (p. 5)

インド総選挙、野党圧勝でモディ氏新首相へ

(インドの)新首相は選挙で自身の政党を圧倒的な勝利に導き、5月17日、ニューデリーで何千人もの人々がインドの次期首相を歓迎した。ナレンドラ・モディ氏は支持者に勝利のサインを見せて、この勝利は「人民に新しい自信を生んだ」と支持者に述べた。

5月16日に発表された数週間にわたる投票の結果では、モディ氏とヒンドゥー教の国家主義政党インド人民党がインドの過去30年間の選挙で最も決定的な勝利を収め、国民会議派を権力から排除した。

World News

Brazil police clash with anti-World Cup rallies (p. 5)

ブラジルで大規模なW 杯反対デモ、警察とデモ隊が衝突

5月15日、ワールドカップ開催に反対するデモと公共サービスの改善を求める集会がブラジルの数ヵ所の都市で起こり、サンパウロではデモ隊と警察が衝突した。

ブラジル最大の都市(サンパウロのこと)の警察官は、中央の通りを封鎖するためにゴミの山に火を付けたデモ参加者に向けて催涙ガスとゴム弾を放った。デモ隊は来月のサッカートーナメント開催に何十億というお金が使われることを非難し、乏しい公共サービスを改善することへの投資不足と彼らが読んでいるものに関心を向けて欲しいと述べた。

World News

Pistorius to be sent for psychiatric evaluation (p. 5)

義足ランナーのピストリウス被告、精神鑑定へ

オスカー・ピストリウス被告は、5月14日に殺人事件を巡る裁判で、彼が恋人を殺害したときの精神状態は専門家に見てもらうべきだと判事が命じ、精神鑑定を受けることとなった。恐らく、裁判の進行は2ヵ月遅れるだろう。

両足を切断したオリンピック選手(ピストリウス被告のこと)が全般性不安障害で、このことがリーバ・スティンカンプさんを2013年2月14日に自宅のトイレのドアから射殺したときに彼の判断に影響を与えたかもしれないと被告側の精神科医が証言し、今回の命令が出された。

Essay

The smoking debate (p. 9)

喫煙をめぐる議論

ディベートは全ての学生が身に付けるべき重要なスキルだ。初めてディベートを見た時のことを今でも覚えている。小学生だったころにさかのぼる。当時10歳だった。

題材は「喫煙は禁止されるべきだ」だった。1チームは喫煙は良いことだと主張し、もう1チームは喫煙は悪いと主張するように、先生が2チーム指名した。両チームには準備に1週間与えられた。

ついに重要な日がやってきた! 喫煙に反対するチームが先に答弁した。自信の笑顔で演台に立った。彼らは簡単な仕事だと分かっていた。喫煙が悪いことは誰だって知っている! それでも、準備を十分にしてこなかったことは明らかだった。彼らの主張は単純で繰り返しだった。彼らは「喫煙はあなたによくない」、「理由は喫煙が悪いからだ。それがあなたが喫煙すべきでない理由だ」と言った。 

次は喫煙に賛成のチームの番だった。静かな決意とともに演台に上がった。彼らが宿題をたくさんやったことは明らかだった。彼らは「タバコは主要な産業で社会を支えている」と話を始め、「タバコの販売から得られる税金は我が国の経済を支えている。何千人もの労働者がタバコ産業に頼っている。もし喫煙を禁止したら、彼らは失業し、彼らの家族は貧困に陥るだろう」と言った。とても説得力があった!

弁論の後で、一番上手だった弁士を選ぶ決を採った。喫煙に賛成するチームが楽に勝った! 先生は弱々しく抗議した。「喫煙賛成のチームが勝った」と先生は認め、「でも、喫煙は悪いこと。どうかタバコを吸わないで!」と言った。その日、私は貴重な学びを得た―説得力のある話者は、どんな話題であれ、とても納得させることができるということだ!

私にとって、このディベートは単なる授業の活動を超えるものだった。実は、父は医者だった。父は医学雑誌や会議で喫煙とガンについての研究を何年も追い続けていた。父は毎週、地元の病院で肺ガンで亡くなる喫煙者を見ていた。喫煙の危険性を生で知っていて、自分の子どもたちに劇的な方法で警告したがっていた。

ある夜、父は大事な話があると言って私たちをリビングに呼んだ。片手に父はタバコを持っていた。もう一方の手にはマッチがあった。

「子どもたち。君たちにタバコを吸うように、もうすぐ誰かが誘うか、けしかけるだろう。そういう人たちはタバコはカッコイイと言う。しかし、それは間違っている。君たちが吸ってみたい気持ちになる前に、私はこのタバコを私の目の前で今ここで吸ってもらいたい」と父は言った。

父はドラマのようにタバコにマッチで火をつけた。私たち子どもたちに火のついたタバコを手渡し、吸い込ませた。私たちは全員、鼻と喉に入ってきた吐き気のする感じから急に咳き込んだ。「カッコイイかい?」と父は聞いた。私たちはかっこ良くないと認めた。とても効果のある教え方だった。私たちの誰もそれ以来タバコを吸ったことはない。

世界保健機関によると、タバコは毎年600万人の命を奪い、受動喫煙だけで60万人が亡くなっているという。毎年5月31日は世界タバコ撲滅デーだ。喫煙の賛否を議論するのに良いタイミングだ!

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